イベントレポート


2014.12.17
『ショート・ターム』スペシャルトーク開催しました!

12月14日(日)『ショート・ターム』上映終了後、当館2階にてトークイベントが行われた。ゲスト講師は森茂起さん(甲南大学文学部教授)、森年恵さん(甲南大学文学部非常勤講師)。「トラウマ映画の心理学」(2002)などそれぞれ臨床心理学、映画学に精通している方々だ。

前半は森年恵さんの今作の解説からトークは始まった。解説と言っても年恵さんの話し方は手持ちカメラの特性や、鮮血の描写、始まりのシーンの重要性など初めて映画の解説を生で聞くお客様にも分かりやすく説明して頂いた。

さらに映画に直接セリフとして表現さていない登場人物の心の背景も"ドラマティックなシーン"として解説。ルイスの役柄を引き合いに出し、アメリカ映画独特の人種差別問題も表現していると語った。

独自の解説を交えながらも客観的な意見だけではなく、「擁護される子どもが可哀想という一方的な考え方の他に、擁護する、保護する側に心の負担が多いことを告発している」点も挙げていた。

最後に接写の多さに疑問を抱いていると漏らしているが、最後の引きのシーンが未来への明るい展望を表している」と褒める言葉で締めくくった。

後半は森茂起さんの児童養護施設を舞台にした映画の紹介からスタート。「少年の町」(1938)「みかえりの塔」(1941)など知らない作品ばかり。全く見たことのない作品ばかりなのに全て見たくなる説明だった。

日本の施設の現状だけでなく、オーストラリア、ドイツなどの外国の国の児童養護についての問題を例にあげて、外国の"ショート・ターム、日本の"ロングターム"と比較して"ソーシャルペタゴギー"(社会的養育)についてお話して頂いた。

日本の養護施設の職員は長期勤務するのが主な働きかたにも関わらず、外国ではすぐに職を転々とするのが主流なのが意外だった。日本は一方で養護の職についている人の社会的地位が欧米諸国に比べると劣っているのが現状。その点も意外だった。

私自身、テレビや学校の講義のみで児童養護施設がどんなものかを知った人間だ。初め、この映画を見た際は「子どもが可哀想、親はなぜこんなことをするのか」という単調的な意見しか浮かばなかった。しかし、最後の森茂起さんの言葉に自分の考え方が変わった。

「子どもは不安定な親を見ると、気持ちを抑え、子どもが親の世話役に切り替わる」。子ども時代を過ごした大人は誰でも一度は経験があるのではないか。映画の中に出てきた人物もそんな感情を持ち、克服した人もいる。具体的な解決策は思いつかないが、こういう問題が日本には存在することをお客様と共有できて個人的には大変満足した。

今日、トークに参加して頂いたお客様の中には映画を見て泣いた方もいた。そんな方に森茂起さん、年恵さんの話はどう聞こえたかまた聞いてみたい。映画を通じて何かを考える。こういう機会をもっと作って、映画を見て考える時間がもっと増やしていきたい。

  『ショート・ターム』は19日(金)まで。まだ見ていな人はぜひ見て頂きたい。

(P.N 芋洋甘)

 


2014.12.17
『和ちゃんとオレ』スペシャルトーク開催しました!

『和ちゃんとオレ』12月14日(日)の上映終了後、元気なヘルパー、ケア・マネージャーの廉田はるみさんほか、現役介護職の皆さんに混ざっていただいて、お話を聞き感想を話し合いました。
映画の中には親を介護する三人の男性が登場しますが、お話ではさまざまな介護の現状があるとのこと。認知症のかなり進行したお連れ合いをもうひとりの、ちょっと進行しかけた高齢者が介護していたり、認知症のお年寄りがヘルパーさんたちの援助の下でなんとか一人暮らしを続けていたり。一人で生活を続けておられる元営業マンの男性で、時間の厳守とヘルパーさんのスケジュールの「完璧さ」にこだわりながら、それが満たされることで落ち着いて介護を受けられている方もいらっしゃるとか。そんな多様な介護のありかたに必ずしも保険制度がついていけていないのが現状でもあるとのことでした。
人は誰も老いて病んで死ぬ、そして医療の進歩は―映画にもそのいくつかが描かれていましたけれども―人が老いを迎えてから死に至るまでの時間を長くできる、あるいは長くしてしまう傾向を避けられません。介護のあり方は、それまでの生活歴やかかわる人の考え方や条件によってさまざまであり、その選択は常に難しい。その時が来てあわてたり、後悔を残すような選択をしないためには―自分自身のこと、親しい誰かのことを―あらかじめ具体的にイメージしながら考えておくのがよいとのアドバイスは、参加者の皆さんの大きなうなずきで応えられました。

元町映画館、『和ちゃんとオレ』は12月19日まで。20日から1月16日までは安藤サクラさんの『0.5ミリ』、1月3日から9日までは三國連太郎『朽ちた手押し車』と、老いと介護を扱った新旧の作品が続きます。

(堀)

 


2014.12.13
「MOEBON」実践教室&編集会議開催しました!

電子書籍の発刊を目指した「MOEBON」プロジェクト。先日開催した「キホン文章教室」に引き続き、12月7日に「実践教室」と「編集会議」を開催しました。こちらで以前に第一回「実践教室」の様子はお届けしましたので、今回は「編集会議」についてご報告したいと思います。

今回、集まったメンバーは映画館のスタッフを含めて約20名。「こんなに集まるとは思わなかった」と企画の立案者である中元文月さんも驚きの表情でした。みなさんイベントに参加された理由は様々でしょうが、あらためてライターになれる「MOEBON」プロジェクトの魅力に関心してしまいます。

「編集会議」では簡単な自己紹介があったのち、「MOEBON」のコンセプトの発表がありました。それは……「元町映画館をもっと好きになってもらう!」。元町映画館をご存知の方はもちろん、遠方にお住まいで元町映画館に馴染みのない映画好きの人までを想定して書籍をつくっていくとのことです。そのためには映画のレビューに加え、映画館近辺のお店紹介なども「MOEBON」のコンテンツとなっていきます。

このように企画がはじまっていくワクワク感はたまりませんね。「面白い企画ならなんでも受けつけます」と中元さんは言います。自由度が高い(?)のも「MOEBON」の魅力のひとつです。
詳しい「MOEBON」のご案内はこちら→
次回の「キホン文章教室」は来年開催予定!ご興味のある方は当館HPをチェックしておいて下さいね!

(さいとう)

 


2014.12.13
『Life, Laughter & Loops』トーク第3弾!夢人塔・浅尾典彦さんの〈電子音楽とSF〉大全!

『Life, Laughter & Loops』最終日のゲストは関西におけるSF映画のオーソリティ・浅尾典彦さん。今回の上映を主催した音楽家の安井麻人さんとは、初対面時に日本最古のロボット「学天則」の話で盛り上がったそうです。

そんな2人でお届けするトークのテーマは「電子音楽とSF」!

まずは1919年ロシアで発明された電子楽器・テルミンを紹介。叩いたり擦ったり吹いたり…という動きを排し「楽器に触れることなく、美しい動きのみで演奏したい」という思いから発明されたんだとか。

安井さんはおもちゃのテルミンを持参して、実際に音を出してくれました。確かに宇宙音!でも、そんな音は実際に存在していません。UFOの音、光線銃の音、幽霊の音…これらはすべて人間が想像で創り出したもので、電子音はSFの世界観を表すのに一役買っているのです。

『地球の静止する日』『マーズ・アタック!』など、効果音として、また音楽としてテルミンが使われているSF映画のシーンを観ていきます。SFではないですが、イングリッド・バーグマンが主演したヒッチコックの映画『白い恐怖』にもテルミンが使われています。

知らない(または存在しない)世界に対する人間の想像力と工夫と遊び心を楽しめるSFの世界。でも、アポロ11号が月に着陸して以降、SFはいったん廃れかけたとのお話もありました。

怪獣や宇宙人ではなく、SF・ファンタジー映画の美女たちをたっぷり紹介する「幻想映画の美女図鑑」という書籍を来年2月に刊行予定だという浅尾さん。こちらも楽しみです!

(mirai)

 


2014.12.8
『Life, Laughter & Loops』トーク第2弾!四方宏明さんの古今東西「Popcorn」ガイド!

『Life, Laughter & Loops』2日目の夜は、前日に引き続きの安井麻人さんに加え、情報サイト「All About」でテクノポップガイドを務める四方宏明さん、芸術家(「"自称"ですか?」とのイジリあり…笑)の保山ひャン、大阪・難波のライブシアター「紅鶴」店長の人生さんと豪華メンバーによるトークイベントを開催しました。

この日はジャン=ジャック・ペリー本人について語った初日トークとは趣きを変え、ペリーと電子音楽ユニット「ペリー&キングスレイ」を結成していたガーション・キングスレイの名曲「Popcorn」の変遷を中心にお話しいただきました。

「Popcorn」はキングスレイが1969年に発表し、キングスレイを中心に結成されたグループ「Hot Butter」による1972年のバージョンが世界的に大ヒット。同年に66曲もカバー曲が作られ、現在までに同曲を演奏したアーティスト数は540にものぼるそうです。

世界各国でカバーされたPopcornの、スペイン版、ロシア版、ドイツ版(なんと歌詞がついている!)、ギリシャ版などを聴き比べ。醸し出されるお国柄が面白い!

日本で最初に同曲が使用されたのは1982年にリリースされたセガのアーケードゲーム「ペンゴ」のBGMとして。意外なようで、妙に納得です。参考のゲーム映像がなぜかめっちゃ下手くそなプレイで、曲をちゃんと聴きたいのにすぐ死ぬ…というところが大ウケでした。「タモリの音楽は世界だ」出演時の電気グルーヴによる演奏も見せてくれました。

最後に、四方さんが今気になっているという、旧ソビエト時代のシンセサイザーにフォーカスしたドキュメンタリー映画「Elektro Moskva」のトレイラーを。軍事副産物として開発されたKGB時代のシンセなど、電子音楽好きでなくとも興味を惹かれます。
「次回の電子音楽映画祭ではこれを上映しよう!」と大盛り上がり。日本での公開予定はないようですが、どなたか配給してくれないものでしょうか?四方さん、ぜひよろしくお願いします!

さて、最終日の12/12(金)にはトーク第3弾!怪奇映画に使われた電子音楽について、浅尾典彦さんのトークを開催します。こちらもぜひお楽しみに!

(mirai)

 


2014.12.7
『Life, Laughter & Loops』赤松武子さん×安井麻人さんトークイベント開催しました!

ディズニーランドのエレクトリカル・パレードの曲を作ったことで知られる電子音楽家ジャン=ジャック・ペリー(以下JJP)のドキュメンタリー『Life, Laughter & Loops』。関西初公開となる12/6(土)初日の上映後、テクノポップユニット「クラフトワイフ」を主宰し、本作の字幕制作も手がけた赤松武子さんと、サウンドアーティストの安井麻人さんのトークを開催しました。

JJPが大好きな赤松さんが本作と出会い日本で公開するに至った経緯、映画で語られるJJP周辺のキーワードの解説などを、楽曲の紹介も交えながらしていただきました。70年代のミニアニメ「星の子ポロン」や特撮「サンダーマスク」「ウルトラマンタロウ」など、日本でも実は数多く使われているJJPの曲。実際に映像を見せてもらうと、そういえば子どものころはこんな音がよくテレビから流れていたな~と懐かしい気持ちになりました。ジングルでJJPの曲が使われていたサンテレビニュースは多くの方が「覚えてる!」と声を上げていました。

今日観るのが初めてだという安井さんは、本作と『ホドロフスキーのDUNE』が"勇気づけられた"二大映画だと話し、ぬいぐるみとのシーンは「まるで俺かと」と言って会場の笑いを誘っていました。

12/7(日)にはAll Aboutでテクノポップのガイドを担当する四方宏明さん、なんば紅鶴のスタッフ人生さん、電子音楽ファンの保山宗明玉さんをお迎えして広く電子音楽についてのトークを、最終日の12/12(金)には、関西でSFファンタジー映画と言えばこの人!の浅尾典彦さんをお迎えして、古い怪奇映画で電子音楽が使われているシーンをたくさん見せていただきながらのトークを開催。みなさまのお越しをお待ちしています!

(mirai)

 


2014.12.7
『思春期ごっこ』倉本雷大監督&青山美郷さん舞台挨拶開催しました!

『思春期ごっこ』は女子校に通う中学3年生の鷹音と三佳の揺れ動く関係性を描いた青春映画です。
初日に監督の倉本雷大さんと三佳役を演じた女優の青山美郷さんの舞台挨拶を開催しました。

少女だけが持つ、ある一時期の危うい魅力を撮りたかったと語る倉本監督。おっやる通り『思春期ごっこ』は思春期の多感な少女たち(=青山美郷さん、未来穂香さん)の魅力がしっかりと切り取られた作品となっています。
そんな青山さんも現在では20才。お会いすると劇中の幼い雰囲気はなく、わたくしの予定にない質問にも丁寧に答えてくださる大人な女性になっていました。
驚いたことは小説が大好きな三佳の役作りのために短い小説を書いたというエピソード。舞台挨拶で内容についてお聞きしましたが青山さんはあまり覚えていない様子。倉本監督の方が覚えていて、詩的な内容だったと教えてくれました。
映画でも三佳が書いたという設定の小説が登場します。映画をご覧いただくと分かるんですが、その内容としては青山さんの小説は相応しくなかったと、制作のこぼれ話もお聞きすることができました。
今回の上映では『思春期ごっこ』の前日譚である『水色の楽園』もショートバージョンで特別に併映します。鷹音と三佳の友情が深まったあるシーンが語られており、こちらも見逃せない作品に仕上がっています。

最後になりますが『思春期ごっこ』は12月12日までの上映です。個人的にも大好きな作品で女優さんはもちろん、練られた脚本と意志のある演出が素晴らしいんです。映画として文句のつけどころのない力作と言えそうです。女子学生の青春ものはちょっと・・と敬遠されてた方は観ないと損しますよ!

  (さいとう)

 

本日の上映作品

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