イベントレポート


2016.5.25
『断食芸人』トークイベントを開催しました。


足立正生監督待望の新作『断食芸人』の上映初日5/21(土)、足立監督にお越しいただき、鈴木創士さんとのスペシャルトークを開催しました。

まず最初に足立監督の「どうでした?」という問いに対して鈴木さんは「最初に『新宿泥棒日記』(大島渚監督・足立正生脚本)を思い出しました。あの争乱の時代の「新宿」が色濃く出ている」との事。さらに鈴木さんはカフカの「断食芸人」も大好きなのでこの原作をどう映画にして行くのかが心配だったが、足立さんの演出はとても良かったとおっしゃっていました。
あと、特別出演していた、詩人の吉増剛造さんの朗読の画面に感動したらしいです。ハンマーを叩いて、良い音が出た時に詩を詠むパフォーマンスに「真似したい」と。吉増さんは、足立さんとは同年代で交流もあり、出演依頼に快諾して下さったそうだ。監督もあの場面は楽しかったとのことでした。

足立監督は『断食芸人』の最後の言葉を強調するため、日本に置き換えて、敢て普通のドラマツルギーを一切廃止して「紙芝居」のようなものを作りたかったとのこと。
前作より間が空いたのは、休んでいた訳ではなく、脚本が通っても足立正生が監督するというとみんなビビって監督させてくれなかったそう。たまたま韓国の光州の国立アジア文化殿堂の芸術劇場のグランドオープンに招かれ、そこから半分ほど出資してもらえた。そうしてこの映画が何とか完成できたそうです。ちなみに次は上海国際映画祭に招かれているそうです。
足立さんは「海外では、みんな喜んでくれるんだけど、日本ではなぜ受けないのかねー。」と嘆いていました。鈴木さんは、この映画を退屈だと思った人は、本人たちが退屈だからだ。それはこの映画が「現実そのもの」だからだと言う。

ここで、鈴木さんは連合赤軍の話しも聴きたいと切り出した。高校生の頃は赤軍派に憧れていたそうで、足立さんと初めてお会いしたのも、2012年のリッダ闘争40周年記念に来日された、ライラ・ハリドさんを見に行った時だったという。ライラさんといえば、ハイジャックの女王と呼ばれ、当時の左翼青年に絶大なる人気があり、アイドル的な存在だったそうだ。

足立さんが言うには、71年に若松孝二さんと1本映画を撮ったのが当たり、若松さんと大島渚さん、吉田喜重さんらとカンヌ国際映画祭での日本の若手監督特集のため招待されたそうだ。その帰りに今パレスチナが凄い事になっているらしい。映画を撮りに寄ってみよう。ということでパレスチナに行ったそうだ。そうやって撮った映画が『赤軍-PFLP・世界戦争宣言』だったと言う。
そして、2度目にパレスチナに行った時に、日本の連合赤軍の人たちと合流し、そのままレバノンに残ってしまったとのこと。国際指名手配され、それから23年後に逮捕され3年間牢屋に入り、その後日本へ強制送還された。
足立さんは言う「私は人も殺していないし、飛行機も盗んでいないし、大使館に住み着いたりもしていない。なのに今では海外にも出国さえ出来ない」旅券を発行してもらえないそうだ。今でも公安に尾行されているとの事。
こんな壮絶な人生だが、当のご本人はレバノンで潜伏していた時を「海外出張していた」と笑いを込めて言う。

最後に、鈴木さんは「元赤軍の先輩たちは暗い人が多いが、足立さんは明るいから大好きです」と言い、足立さんは「レバノンでの危機的な状況でも、自分は鼻歌を歌っていた。よく考えてみたら、自分はそういう生き方しかできなかったんだと思う」と振り返る。

この歳になっても言葉の澱みも無い、バイタリティーの塊のような足立監督は、人間的にもとっても魅力的な方でした。

(おもしろ)


2016.5.24
『火の山のマリア』トークイベントを開催しました。


5/22(日)グアテマラ先住民の母娘の苦難を描いたこの映画の背景について鈴木紀(もとい)さんにお話し頂きました。
鈴木さんは大阪の吹田市にある国立民族学博物館、通称みんぱく、でグアテマラに近いメキシコを人類学の方法で研究されています。
1983年メキシコ留学時に好奇心から初めてグアテマラを訪れたそうです。
当時グアテマラはリオス・モントという軍人の政権末期で内戦状態にありました。
鈴木さんはその危険な最初の訪問後も学会やフェアトレードの研究等で何回か行かれています。
地理は、メキシコの南、北東はカリブ海、南は太平洋に面しており、農業国でコーヒーが有名です。
先住民であるマヤ系民族には21もの系列言語があり部族もいくつかに分かれています。
トウモロコシを主食とし、宗教はカトリックです。
映画の舞台は南部の高地、そこの先住民はカクチケル族と呼ばれています。
ラディーノと呼ばれる民族区分があり人種的には先住民であっても公用語のスペイン語を話すことで「非」先住民に分類されます。
監督のハイロ・ブスタマンテはラディーノです。
映画に描かれた貧困と差別の現状は25~30年前のグアテマラの印象に近いようです。
しかし現在でも先住民と非先住民との格差、また同じ先住民間でも格差はあります。
また社会問題として生まれた赤ん坊を売買する児童売買がグアテマラの裏社会では行なわれています。
明るい話題としてマヤ民族の女性衣装はデザインに優れており、フェアトレードの商品として十分に魅力があります。
ようやく政情が安定し母国グアテマラを撮って欧米で評価されたブスタマンテ監督の次回作は早くも期待されるところです。
今回の作品はグアテマラ国内の問題でしたが大国の周辺としての動乱の歴史が描かれたらきっと凄いだろうと思います。
『火の山のマリア』は元町映画館にて5/27(金)迄の上映です。

(高橋)


2016.5.24
『キネマ純情』サイン会、舞台挨拶開催!


5/21(土)世界一?百合キスが多い映画『キネマ純情』のサイン会、舞台挨拶を開催しました。今回は主演のノーメイクスさんと井口昇監督にお越し頂きました。

サイン会を終えてからの舞台挨拶。まずは井口昇監督がお客様へご挨拶。続いてノーメイクスさんの出番。アイドルと役者モード、2通りの挨拶の方法があるようで、今回は後者。アイドルモードも見たかったのは本音です。

ノーメイクスさんのキャッチコピーは「女優アイドル」。メンバーでもあり当館で2015年に上映された『あの娘、早くババァになればいいのに」で主演を務めた中村朝佳さん(あちゃ)が「このメンバー5人と監督でこの場に立てて本当に嬉しい」と語りました。

荒川実里さん(みのりん)と柳杏奈さん(あむ)はともに神戸は初めてと言うことで「神戸は優しい。名古屋とはまた違う都会感、オシャレ」とポツリ。

井口監督は「こういう映画を撮りたくて企画書を書いたけど、どこも取り合ってくれなかった。だから自分たちでお金を集めて作った作品です」と語りました。クラウドファンディングで集めた資金は目標額を大きく超えていて監督とノーメイクスさんへの期待の高さが伺えます。

上埜すみれさん(すーちゃん)は本作で自分のキャラと違った役を演じたと言います。「上映前の私たちと本作を見終わった後のギャップに注目してもらいたい」とおっしゃいました。

大阪出身の洪潤梨さん(ゆんゆん)は「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」で出会ったキム・ギドク監督とのやり取りを紹介。

皆さんによると百合キス以外にもこエンドロールに注目してもらいとのこと。いい意味で「帰りづらい映画」と語り、監督は「アイドル映画としてではなく、彼女たちの演技、お芝居を見に来て欲しい」と締めくくりました。

そして最後は販売用のブロマイドを撮影、編集、袋詰め、納品書まで自分たちで行っているノーメイクスさんの「ハイ!敬礼」をお客様と一緒にポージング。

関西を回るツアー、皆さんお疲れ様でした。

『キネマ純情』は5/27(金)まで連日20:10から上映予定。

(芋羊甘)


2016.5.22
『もしも建物が話せたら』プレイベント@cafe Fish!開催しました!


世界の名監督6人が、もの言わぬ「建物」の心の声を描き出すオムニバス・ドキュメンタリー『もしも建物が話せたら』。当館での公開が間近に迫る5/19(木)、プレイベントをcafe Fish!にて開催しました。平日の夜にも関わらず、たくさんの方にご来場いただきました。ありがとうございました。

プレイベントでは6篇の内の1篇、ヴィム・ヴェンダースが監督した『ベルリン・フィルハーモニー』を上映しました。ベルリン・フィルハーモニーはハンス・シャロウン設計のコンサートホールですが、"コンサートホール"というある種の既成概念にとらわれることなく考えられた、緻密な計算や斬新なアイディアに思わず唸ってしまいます。代表的なところで言えば、楽団を取り囲むように設置された観客席がありますが、本作はそういった建物が持つ魅力を滑らかなカメラワークで美しく切り取った作品でした。

上映のお次は建築家・光嶋裕介さんによるトークショーです。「空間と対話する可能性」と題して、映画の内容に触れつつ、自身が長年をかけて知った「建物の豊かさ」についてお話しいただきました。

哲学とも言いたくなる内容でしたが、私なりにまとめると「空間は計ったり、比べたりできるものであるが、身体的、非言語的な次元にこそ、建物本来の豊かさは宿る」ということでした。光嶋さんが挙げた例ですごく納得してしまったお話をご紹介すると、駅から徒歩5分の映画館と、駅から15分の映画館を比較したとき、近い方の映画館が良いとは一概には言えないということです。こういった計れない次元が存在することを、それこそ私たちは身体的に知っています。
その身体的なもの、非言語的なものに答えはありません。そこを皆さんには"対話して"考えてみてほしいということをトークイベントを通して、光嶋さんは伝えたかったのだと私は思いました。

途中、光嶋さんが旅でスケッチした建物の絵を拝見することができましたが、その細かく描かれたイラストをみていると、光嶋さんが長い時間をかけて建物と対峙した姿を想像できます。そういった時間がまさに、"建物と対話する"時間だったのだと思います。

そのほか、光嶋さんがベルリンの建築事務所で働いていたときにヴィム・ヴェンダースと遭遇したことが何度もあるという話がありました。(映画館スタッフとしては、とてもワクワクしてしまいました!)大の映画好きでもある光嶋さんはヴィム・ヴェンダースの傑作『ベルリン・天使の詩』についても少しお話しくださいました。なんと、ロケ地のベルリン州立図書館もハンス・シャロウン設計とのこと!しかもベルリン・フィルハーモニーの本当に真向かいにあるという、関連性も紹介してくださいました。

イベントを終えると、見慣れた「建物」がまた違った風にみえてくるのが不思議です。cafe Fish!も安藤忠雄監修・フランクゲーリー設計の名建築物ですが、『ベルリン・フィルハーモニー』中の管弦楽団が演奏するシーンの、劇場とはまた違った音の響きの良さ、臨場感は、高い天井などきっとcafe Fish!特有のものなのだろうと、ふと気がつくと考えを巡らせていました。

『もしも建物が話せたら』はいよいよ5/28(土)から公開です!そして写真左の河野真弓さんチョークアート展はcafe Fish!にて『もしも建物が話せたら』上映終了日まで開催しています。ぜひ映画と合わせて、お楽しみください!

(斉藤)


2016.5.20
『火の山のマリア』公開記念イベント@salon i'ma開催しました!


5/14(土)・15(日)の2日間、兵庫区の稲荷市場にあるイベントスペースsalon i'ma(サロンイマ)にて、『火の山のマリア』公開記念イベント「グアテマラを知ろう!~グアテマラの手仕事と料理~」を開催しました。

稲荷市場は新開地商店街を南に抜け、国道を渡ったところにある古い市場。1回でたどり着けない人が多いと店主の三宗さんが言う通り、「え、こんなところに?!」と驚くような場所にsalon i'maはあります。下町好きにはなんともワクワクするロケーション!
salon i'ma→

そして店内はilo itoo(イロイトー)さんによるグアテマラの色で溢れていました。力強い発色、緻密な織りの柄、ハッとする色合わせ。こちらのパワーが弱っているとややもすれば圧倒されてしまうような"色"と"糸"は、生命力をそのまま布に再現したかのようです。

このイベントのために福岡から来てくださったilo itooの高崎さんは、青年海外協力隊として滞在していたグアテマラでの暮らし、グアテマラで出会った風景や珍しい風習、そしてilo itooの立上げに至った経緯や現地の工房の様子などをたくさんの写真や動画を見せながらお話ししてくださいました。年に一度グアテマラへのツアーも実施しているそうで、「絶対に観光では行けないところもお連れします!」という言葉に参加者のみなさんも興味津々。たくさん質問をされていました。

翌日は染織家の星野利枝さんによるお話しとマヤ織りの実演でした。村ごとに異なる民族衣装についてや、映画でマリアが着ているソローラト村の衣装の着方のお話しをしていただき、随時飛び交うお客さまからのご質問にも答えられながらのマヤ織りの実演。これにはみなさん前のめりで見入っていました。

そしてお話し会の後は「世界のごちそう博物館」の本山さんによるグアテマラプレートをいただきながらの交流会。プレートはポジョ・ギサド・コン・コカコーラ(鶏肉のコーラ煮込み)、フリホーレス(黒豆の煮込み)、セビーチェ(シーフードマリネ)。どれも美味しい!いろんな世界の味をインターネットでも購入できます。
世界のごちそう博物館→

展示で、お話しで、お料理で、めいっぱいグアテマラの魅力に触れられるイベントでした。

ilo itooさんは5/25~30に阪急うめだ本店9F祝祭広場で開催される「夏のインテリアスタイル フォークアートと暮らす」にも出店されています。5/29には星野さんの織りの実演もあります!
詳細はこちら→

グアテマラに生きる少女と母親を描いた『火の山のマリア』は、元町映画館で6/3まで上映しています。みなさまのお越しをお待ちしております!

(mirai)


2016.5.17
元町シネクラブvol.31を開催しました。


5/15(日)当館にて公開された映画の「あれ良かった」「ここはどうなっているの?」などなどの感想を話し合う、元町シネクラブを開催しました。
今回初めて参加したお客様もおり、まずは自己紹介からスタート。

『禁じられた歌声』
「あれってどういうシーンなの?」と疑問に思うことが多かったようです。参加者の中では「劇中のボールなしのサッカーをするシーンで水牛が通りすぎるのは、映画の神様が降りてきたんじゃないか」というコメントも。

『カミーユ、恋はふたたび』
男女で意見が真っ二つに分かれました。「この作品は女性監督だから撮影できた、男の監督であれば40代の姿のままタイムスリップしないだろう」という女性の意見、「もっと突っ走るものがあれば良かった。最後まで乗り切れなかった」と男性は語りました。カミーユと若者のベッドシーンの話しでは「男女のやり取りをここまで私は見たいんや!」説を披露。会場は爆笑です。

参加者の中にフリーペーパーで記事を執筆している方がおり、それをまじまじと眺める時間からなぜか老眼鏡の話へ。どこの眼鏡が良いとか、もう眼鏡なしじゃ、文章は…などなど。たまに映画の話題からそれることも。でもこれがちょうど良い息抜きになったり。

『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』
私も含めて「バンクシー」が一体どういう人物であるか全く知らない状況で作品を見たので彼の魅力が伝わらなかったと言う意見がありました。しかし、ある参加者が「バンクシー」の作品というよりも作品を使って人々の心を魅了する突発的、大々的なプロモーションがすごいことを伝える映画ではないかという意見もありました。アメリカ国民がそれにより翻弄されているのも異様な光景だったという意見もありました。

今回のシネクラブはドキュメンタリーからタイムスリップものまで幅広い作品でしたが、次回も邦画、洋画問わずの4作品。
6/19(日)13:30~から。皆様の参加お待ちしております。

(芋羊甘)


2016.5.17
『みんなのための資本論』トークイベント開催!


アメリカの格差社会についての映画『みんなのための資本論』公開初日5/14(土)に松尾匡さん(立命館大学経済学部教授)をお迎えしてトークイベントを開催しました。
ここの"資本論"は有名なマルクスのそれよりピケティの最近話題になった著作「21世紀の資本論」からとられていて、その著作の翻訳者、山形浩生さんはこの映画の字幕監修です。
クリントン政権時代の労働長官ロバート・ライシュが映画の主要人物でありピケティに近い立場の人だと思われます。
ライシュは格差社会の分析を雄弁にユーモアを交えて分析し映画の見所になっています。
一方、トークゲストの松尾匡さんはマルクス経済学がご専門です。
マルクス「資本論」から派生したソ連型社会主義(マルクス=レーニン主義)、その今と昔の対比がトークの底流となっていました。
マルクスの思想は客観的科学に基づく必然的法則であり資本主義の矛盾を乗り越えようとする社会主義、共産主義の根拠となるものです。
しかしこの思想の位置づけが長い歴史(ロシア革命、冷戦、ソ連崩壊)を経た今では随分と変わってきている。
例えば、ある時期まで労働者は社会主義的な大きな組織に守られてきたが、これからは一人一人がそのあり方、所得格差ではなくそのアイデンティティーをしっかり捉えることが重要である。
また次の選挙において景気対策という手段を与党が選挙大勝、憲法改正という目的のために行使する時、長期間の不況で苦しんできた労働者は我々のあり方、生活の実感(貧困は真)を手放してはならない。
実際のトークはもちろんこんなに散文的ではなく身近な話題に溢れていました。
映画はライシュが聴衆を鼓舞する形で終わります。
松尾先生のトークは私たちに沢山のヒントを与えていただきました。
ライシュ、松尾先生の"みんなのための資本論"は今なお困難な時代に生きる我々への切実なメッセージです。

(高橋)


2016.5.15
『いいにおいのする映画』トークイベント開催しました!


「MOOSIC LAB 2015」でグランプリほか史上初の6冠を達成した『いいにおいのする映画』。本作の単独公開を記念して、5月13日に酒井麻衣監督と直井卓俊プロデューサーのトークイベントを開催しました。監督の朗らかなお人柄もあり、終始和やかな雰囲気のトークイベントとなりました。

司会を務めた映画チア部の肥田さんの呼びかけで、酒井監督と直井さんが壇上にあがります。すると舞台中央のポスターにすかさずツッコミ(笑)!『いいにおいのする映画』公開記念のところ、同じ期間で開催していた「酒井麻衣監督特集」のポスターを出してしまっていました。(失礼致しました…!)

直井さんは「大前提にファンタジーがある」と酒井監督を解説します。いわくディズニー、ティム・バートン、ジブリで酒井監督の頭ができているとのこと。それを受けて酒井監督はご自身のルーツを振り返ってくださいました。映画館が近所にない環境だったので、映画は「金曜ロードショー」やレンタルビデオショップで親しんできたそうです。ハリウッド映画などがメインの映画遍歴だったので、大学で映画学科に入ったときに同級生たちがゴダールなどを観ていてカルチャーショックを受けたとのこと。「自分が信じていた映画と違う!」と戸惑いもあったそうですが、流石は酒井監督、ブレません!自身もファンタジーに助けられた経験があったそうで、そういった子たちに向けて、映画を撮っていこうと心に決めたと仰っていました。(ブレない酒井監督のことがよく分かる、当館のスタッフがインタビューした記事がありますので、ぜひご覧ください→

そこから学生時代の話に移り、「酒井麻衣監督特集」で取り上げられた過去作品についても触れつつ、酒井監督のパーソナリティを掘り下げていきます。大学では林海象監督から映画を学んでいたそうですが、林監督に「根性」だけは評価されていたはずと自己分析する酒井監督。そこから『いいにおいのする映画』劇中の、あるワンシーンの話になります。それは「照明やらしてください!」と主人公レイが頭を下げるシーンなのですが、直井さんはこの一連のシーンに酒井監督がすごく「自己投影」されていると語ります。たしかに「映画やらしてください!」と酒井監督が言っていても、まったく不思議ではないというか、言ってそうですね…!作家 性を隠そうにも出てしまう、こういったところにも本作の面白みがあるようです。

そのほかにも、Vampillia(ヴァンピリア)とコラボした経緯や制作現場の苦労話、画角4:3を採用した理由、タイトルの由来など話は尽きませんでした。突如、酒井監督が語り出した若者たちへのメッセージ(?)含め、酒井監督の人柄がとてもよく出ていたと感じ、トークイベントは大成功と言っても良いのではないでしょうか。また質疑応答で「カイトとレイはこの先どうなるんですか?」との直球の質問に、酒井監督は「私も考えたんですよ!」と持論を展開。やはり、レイに肩入れ気味でしたが(笑)、惜しげもなく考えを披露していただきました。とてもキャラクターへの愛情が伝わり、個人的にもトークイベントの中で印象的な場面でした。

『いいにおいのする映画』は当館での公開は終了してしまいましたが、機会を見つけたら、ぜひ観ていただきたい作品です。そしておそらく、いやぜったい!ファンタジーとなる次回作を期待せずにはいられません!!

(斉藤)


2016.5.4
『禁じられた歌声』トークイベント開催しました!


西アフリカ、マリの古都ティンブクトゥを舞台に、イスラム過激派の弾圧に立ち向かう家族の戦いを描いた『禁じられた歌声』。公開を記念して、5月1日に甲南大学文学部教授である中町信孝さんをゲストにお迎えしてトークイベントを開催しました。

トークイベントではまず、マリ共和国の時代背景などについてご説明いただきました。簡単に舞台であるティンブクトゥのことが分かったところで、お次は劇中で話されていた言語を頼りに、登場人物のバックグラウンドについて触れていきます。トゥアレグ民族(主人公)のタマシェク語、バンバラ語、ソンガイ語…モスクの長老が話していたアラビア語(綺麗なアラビア語で、彼の教養の高さを物語ってる)etc…多様な民族が映っていたとのこと。こういったことは私には気付きようもないことなので、識者である中町さんにはどのように『禁じられた歌声』が見えていたのか?ぐんぐんトークに引き込まれていきました。

次に中町さんは「何を根拠に音楽を禁ずるのか?」を切り口に映画の主題に迫っていきます。ずばりイスラム教の聖典であるコーランには記載がないとのことでしたが、ハディース(イスラム教の預言者ムハンマドの言行録)には賛否どちらとも解釈できる記載があるそうで、このグレーゾーンにつけ込み(?)本作では音楽が禁じられているとのことでした。しかし注意すべきは中東諸国でこういった例はむしろ稀であり、ポップスが流れているのが普通だということ。映画で描かれたのはイラスム教に則っているというよりかは現地民を統治するための口実としてジハード(聖戦)を利用しているのでは?という解説がなされました。

以上、イベントの内容を簡単に紹介させていただきましたが、あくまでも私の拙い理解によるものなので、より詳しい、且つ正しい解説はぜひ中町信孝さんの著書をご覧ください。新刊の『「アラブの春」と音楽 若者たちの愛国とプロテスト』はアラブ世界のポピュラー音楽を分析しながら「アラブの春」について書かれた書籍となるのですが、当館にて『禁じられた歌声』上映期間中、関連書籍として取り扱っています。

こう書いていると難しい映画と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、本作は特に予習が必要な作品では決してありません。映画はフランスのセザール賞で最優秀作品賞を含む7部門を獲得した一級品のドラマであり、また画も音楽もすごく美しいので、ぜひスクリーンで観ていただきたいと思います。

(斉藤)


2016.5.3
『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』ワークショップとトークイベントを開催しました。


5月1日は、『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』公開記念イベントとして、イラストレーターであり画家の廣中薫さんをゲストに迎え、当館2階にてワークショップとトークイベントを開催しました。

現在神戸芸術工科大学で教鞭をとる廣中さんには、2階待合室に壁画を制作していただきました。

その上からバンクシーがグラフィティ制作の際に使用しているステンシルの技法を使って壁画を仕上げるワークショップをスタッフ指導のもと行い、完成した壁画を背景にトークを行いました。舞台セットのなかでトークしているようで、なんだか不思議な感覚でした。

廣中さんは学生時代からとにかくアートや音楽の情報収集を熱心に行うそうで、実はこの映画の舞台となったバンクシーの1ヶ月のニューヨーク滞在制作をリアルタイムでインスタグラムでチェックしていたそうです。ニューヨークの街じゅうの人を巻き込み、かき回していながら、さらにSNSで拡散されたメッセージが本当に世界中に届いていたことに、バンクシーの今回の作品の規模の大きさを感じました。

そしてその規模の大きさもさることながら、緻密に作り込まれた全体のプロジェクトのクオリティの高さについて、きわめて技術力の高いスタッフと徹底された守秘義務の厳守によって保たれているものであり、それらは最終的には制度批判や資本主義に対するカウンターでありながらきちんとわれわれに「夢」を与えてくれているところが素晴らしいと評していらっしゃいました。

また、廣中さんは自身の作品制作や運営するギャラリーでの経験から公共の場に開かれたアートのあり方について、確かに街の中に芸術は必要ないという意見はあるけれど、アートによって景観が変わり、実際に治安が良くなったという経験から、街にアートがあることの重要性について語ってくださいました。

『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』は、元町映画館にて5月20日(金)まで公開です。


【『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』関連イベントのおしらせ】

☆4/30-5/20 (~5/30シャッター壁画 現在 公開制作中!)
「#バンクシーを追いかけて ( #iloveストリート )」 展
元町ストリートの 密度濃いレトロで楽しく可愛いイメージ を元町LINE化(可視化の線)に変換、元町イメージ風景にしました。

☆同時開催
「バンクシー キャラクター化 しました展」神戸芸術工科大学Vd.3年 (キャラクターデザイン受講生)

☆4/30・5/1  ワークショップ:バンクシー にインスパイア
【 ステンシル ➕プラス】
スプレーペイントで加筆しました。/指導スタッフ:#HNKzemi(神戸芸術工科大学Vd.)

☆展示&ワークショップ アーカイブ
随時記録 upしています。→

(舘)


2016.5.3
『劇場版501』ビーバップみのる監督&カンパニー松尾さんトーク開催しました!


元町映画館のGW恒例企画「ハイテンション映画祭」で上映の『劇場版501』にて、ビーバップみのる監督とプロデューサーを務めたカンパニー松尾さんのトークを開催しました。開催したのは5月1日…そう、ゴーマルイチ(501)です!

初めて開催した2014年の「ハイテンション映画祭」にて『劇場版テレクラキャノンボール2013』を上映して以来、すっかりテレキャノメンバーのファンになってしまった私(観た方ならわかりますよね?!)。松尾隊長をはじめ、昨年は『劇場版どついたるねんライブ』の上映で梁井一さん、そして今回はビーバップみのるさんと、みなさん可能な限り神戸まで足を運んでくださり嬉しいことこのうえなし。あと3人にもお越しいただける日を夢見てます!

トークでは、独自のたとえ話や唐突な雑学などを散りばめた話術を展開するみのるさんの言葉を受けて「今のはこう言ってます」と松尾さんが客席に解説。まるで外国人ゲストと通訳のよう(笑)!松尾さんはみのるさんのことを本当に面白いヤツだと気に入って可愛がってるんだろうなぁと思わず目を細めてしまいました。愛だなー。

本作のことを「まったくわからないと思う」と言い切り、解説に努めようとする松尾さん。劇中でのみのるさんの行動に「このときこういう気持ちだったんでしょ」と感情を付け加えてくれたおかげで、もはやカオスとも言える作品に筋道がついてゆくのを感じました。

松尾さんの解説に「そーッス!そーッス!」と言いながらみのるさんは年末に放送した嵐の二宮くんが主演のドラマ「赤めだか」にまつわる彼女とのやり取りや「深海のタコは墨を吐かない」という雑学を何度も話にはさんで来て、その度に場内は爆笑でした。

「いやほんと大したもんッスよ!」と本作のことを何度も繰り返していたみのるさん。「何がだよ!」と松尾さんにツッコまれつつもトークの最後に着地した結論は、《これはビーバップみのるの自己紹介である》というもの。未見の方にはわかりにくいかもしれませんが、観た方なら「ああ…!」と思いがけなく得心する言葉でした。2時間超の自己紹介…そりゃあ"大したもん"です、みのるさん!

『劇場版501』は、5/3(火)と5/6(金)のあと2回上映があります。ぜひビーバップみのるさんの壮大な自己紹介をご覧ください。

(mirai)


2016.5.3
『モッシュピット プロローグ版』カンパニー松尾さん舞台挨拶を開催しました。


恒例のGW企画「ハイテンション映画祭」で今回上映している『モッシュピット プロローグ版』。プロデューサーのカンパニー松尾さんの舞台挨拶を開催しました。

まず『モッシュピット』とはなんぞや?という方に。ちょっと調べてみましたら、「モッシュ」が主にロック・コンサートにおいて興奮した観客が密集した状態で無秩序に体をぶつけあうこと。とあり、そういう状態になっている場所のことを「モッシュピット」というらしいです。
本作は音楽映画であり、東京のアンダーグラウンドシーンのドキュメンタリーです。登場するバンドは、Have a Nice Day!(略称:ハバナイ)、NATURE DANGER GANG(略称:NDG)、おやすみホログラム(略称:おやホロ)などで、リーダー格のハバナイの浅見北斗さんを中心に映画は進みます。

本日ご登壇されたカンパニー松尾さんの会社「ハマジム」はもともとアダルトビデオのメーカー。それが、なぜ音楽ドキュメンタリーを撮るのか?
松尾さんによれば、以前アイドルのBiSの映画『BiSキャノンボール』を撮った事から始まったそうです。その流れで、今回ハバナイのPVを撮ることになったのだが、撮っている途中で、その先も記録を撮りたくなり、結局ドキュメンタリー映画に発展したとのこと。
今のハバナイの周りなどを盛り上げて来た人たちは、BiSの元ファン(=研究員)たちが多いのだそう。というわけで、研究員と相撲をとったら(何じゃそれ?)ファンたちにハマジムも認められたのでした。
松尾さんは『BiSキャノンボール』を撮っていた時に、実は主人公たちより「研究員」たちに興味がわいたそうで、そういう意味では『BiSキャノンボール』で出来なかった事を今回(『モッシュピット』で)やろうとしているように思う。と言っていました。

東京のアンダーグラウンドミュージックの1シーンを知るには良い映画であると思いました。さらに、映画の中にはいつの時代にもある普遍的な若者の焦り、苛立ち、喜び、怒りなど「混沌」が見て取れ、音楽シーンを知らなくても、何となく理解できたような気がします。カンパニー松尾さんはこういった人間模様から「負」や「業」の部分を垣間見せるという手法には長けていますよね。いつも。

本作は「プロローグ版」とあるように、実は本編『モッシュピット』の長ーい(一時間強)予告編のようなものなのです。『モッシュピット』完成版は5月下旬から上映されるとのことです。当館では7月下旬に上映予定です。お楽しみに。

(おもしろ)


2016.5.3
5/1(日)『大地を受け継ぐ』上映記念、スペシャルトーク開催。


震災後も福島で農業を続ける家族と東京の学生たちとの対話、交流を描いた本作。上映を記念し、井上淳一監督と松竹伸幸さん(かもがわ出版編集長)とのスペシャルトークを開催しました。

井上監督の来館は『アジアの純真』『たとえば檸檬』『戦争と一人の女』『あいときぼうのまち』についで5度目。3.11後、震災関係の作品が数多く製作されたが、最近は雑なつくりなものが多いと語りました。

ご自身が師と仰ぐ中村登監督から「エンタメは一番低い目で誰かを撮ること大切」と指導され、本作を撮っていく内に「一番低い目でそのままの福島を見ることができているんじゃないか。これを作品として世に伝えよう」と思ったそうです。

松竹さんもご自身が行っている被災地への支援を紹介した後、被災者から「ここ(被災地)は5年を迎えたが、節目でもなんでもない。「5年が節目」と周りが勝手に言っているだけ、我々、被災者にとっては全く関係ないことだ」とお聞きし、一層支援の幅を広げようと考えたそうです。

その言葉は他県に住む人々にとっても例外ではなく、節目と線を引いても何も解決しません。日本は島国ですが同じ大陸の出来事であること、誰もが問題意識を持つことが大切だと感じました。監督がその後、「そこに染み付いた記憶を受け継ぐことが大切」とおっしゃいました。この言葉が非常に印象的でした。

現在、東京より西へ行けば行くほど震災、原発問題の関心が小さいそうで、松竹さんは被災地へのツアーや神戸のジャズと合わせた復興支援など、出版社の枠を超え、自分ができることを実施されているそうです。

沖縄での上映では反応が悪く、被災地から原発問題のために沖縄に移住せざる得なくなった人々が個々に持つ震災への考えも話して頂きました。沖縄基地の問題と絡めてお話しする井上監督と松竹さんの姿は観客にどう伝わったのでしょうか。

質問コーナー終了後のサイン会でもお二人に質問されるお客様が多く、参加者一人一人が何かを感じ取った時間になったと思います。

『大地を受け継ぐ』は5/13(金)まで公開。

(芋羊甘)

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