イベントレポート


2016.12.27
『talk to remember』野原位監督、『二十代の夏』高野徹監督トークショー開催しました!


『ハッピーアワー』の劇場公開1周年を記念して、濱口竜介監督のこれまでの作品を特集した「ハッピー・ハマグチ・アワー」を開催しています。12月25日は特別プログラムとして『ハッピーアワー』で共同脚本とプロデューサーを務められた野原位さんの『talk to remember』と同作品で助監督を務められた高野徹さんの『二十代の夏』を公開しました。上映後には監督おふたりによるトークショーも開催しました。やはり映画監督がゲストということで、映画好きにはたまらない興味深いお話をたくさんお伺いすることができました。特に印象に残ったものを幾つかご紹介します。

・カメラに愛されるとはどういうことか
カメラに愛されるとは、濱口監督がよく口にする言い回しですが、高野監督からの質問というかたちでこの話題に入りました。これに対し野原監督は「自信ともまた違うんだけど、芯がある人、カメラと対等に立てる人」と表現。『ハッピーアワー』で50名の応募から17名に選ばれたことを振り返りながら、「映画に出たい!」よりも「まぁ出てもいいかな」くらいの人に多いかなぁと、カメラに愛される人の特徴について仰っていました。

・映画に出てみたいか
高野監督は自作『映画はエンジン』で監督・主演をこなしています。しかしカメラの前に立つことは恐いと当時のことを振り返り、もうこりごりといったご様子でした。でも実は濱口監督の新作短編『天国はまだ遠い』にも出演していて、その出演シーンが今回の特集チラシにも使われているのでお手元にある方はご確認、というかスクリーンでぜひお確かめください!野原監督は監督・主演で俳優をやってみたいそうです。曰くイーストウッドの気持ちを味わってみたい!とのこと。

その他にも、男性監督が女性を描くことについてや、演出について、またテイクを重ねることについて、撮影現場における即興的な判断など、ディープな内容でした。まだまだ聞いていたかったです!濱口監督が『THE DEPTHS』で主演の石田法嗣さんを女の子にように撮っているという話はスクリーンで確かめないといけませんね。「ハッピー・ハマグチ・アワー」は12月30日まで。

映画が気になる方は
『talk to remember』→
『二十代の夏』→

(齊藤)   

 

2016.12.25
12/24(土)『ハッピー・ハマグチ・アワー』初日舞台挨拶


あれから1年と少しが経ちました。
濱口竜介監督が神戸で撮った5時間17分の大作『ハッピーアワー』公開が2015年の12/5(土)でした。東京に先駆けての先行公開を元町映画館で行なうことになりスタッフ一同嬉しかったのですが、事の重大さに緊張したことを思い出します。

上映時間も長いですがその何倍もの長い時間をかけて前例のない方法で作られた労作を、前例のない上映形態で成功に導けるかどうか。もちろん鑑賞者にとっても特別な映画体験になるに違いありません。大変だなあとは思いながら実は安心していました。あの濱口竜介さんの映画なのだから大丈夫だと。

さて今回はその『ハッピーアワー』を含む10作品8プログラムを年末の1週間に集めました。特集名が『ハッピー・ハマグチ・アワー』、副題が「これまでとこれからの濱口竜介」
東京1館と関西3館で開催さ『PASSION』『親密さ』などの旧作、『ハッピーアワー』以後の新作『天国はまだ遠い』、また濱口監督と一緒に仕事をされたお二人の監督作、野原位監督『talk to remember』、高野徹監督『二十代の夏』

12/24(土)はその『ハッピー・ハマグチ・アワー』初日、上映作品は『ハッピーアワー』、始まりの地への帰還でした。

第3部上映後の短い舞台挨拶のために7名の方々にお越し頂きました。
野原位さん(共同脚本/プロデューサー)
川村りらさん(純役)
柴田修兵さん(鵜飼役)
久貝亜美さん(淑恵役)
田辺泰信さん(栗田医師役)
福永祥子さん(ミツ役)
椎橋怜奈さん(こずえ役)
舞台挨拶前にはボストンにおられる濱口監督のビデオレター映像をスクリーンへ映しました。神戸の地で作品が作られ元町映画館で公開されたことを感謝の言葉と共にあらためて仰って頂きました。

そして野原さん司会のもと10分余りでしたがいろんな面白いお話が聞けました。彼ら彼女らはプロの役者さんではないのですが『ハッピーアワー』をご覧になった方は、隣人のような親しさを感じるけどもやはり映画の中の人であるという不思議な感覚になります。

福永さんは一年前に3歳のお孫さんとご一緒にこの長尺の映画をご覧になり、観賞後にばあばが男の人をぶってたとお孫さんに言われたそうです。そしてなぜ私がその男の人をぶったかを孫が理解する12年後にまた元町映画館で上映してほしいと言われました。今も出演オファーが来るかもしれないと日々身体を鍛えられているそうです。

川村さんは主演4人のうちの1人で映画では最も重要な人物ですが息子さんも重要な役どころで出演されており、母子共演シーンさながらの息子さん留学のための別れがあったそうです。
柴田さんは三宮の歩道橋を映画製作時に実際何回も行き来したけども何故か映画のシーンの方で記憶していると言われました。
久貝さんは撮影当初は登場人物に感情移入して観ていたけども今日は時間が経ったことで客観的に観れたそうです。
椎橋さんは製作当初はワークショップも含めると4年前になり随分と前に感じる、時々会う人にどこかで観た覚えがあると言われるそうです。
田辺さんもどこかで見たことがある、バンドマンですかと聞かれるそうですが『ハッピーアワー』と関係ないやんとつっこまれていました。

『ハッピーアワー』に出演したり製作に関わった方々は素敵な方々ばかりです。どうしてなんでしょう。
それはこの作品の中身と製作のプロセスすべてに関係がありそうです。ご興味のある方は書籍『カメラの前で演じること 映画「ハッピーアワー」テキスト集成』を読まれると良いと思います。単なる映画の方法論にとどまらない多様な示唆に富む内容だと思います。

濱口竜介監督のこれまでの作品を観ながら、これからの作品を期待しつつ、何より私たちが生きていく上の糧が得られるこの機会にご来場をお待ちしております。

(高橋)   

 

2016.12.25
12/23(祝)『弁護人』トークイベントを開催しました。


本日のトークイベントにお越し頂いたのは「あすわか兵庫」の方々。「あすわか」とは「明日の自由を守る若手弁護士の会」という会だそうで、その兵庫支部の方たちです。あすわか兵庫では、憲法や法案など一般市民には少々難しい仕組みについて誰でも理解してもらえるように、何と「劇団 あすわかひょうご」を結成し、演劇として上演活動をされているそうです。
かく言う私も「憲法」やら「法案」とかの文字が付くと難しそうだなと、ちょっと腰が引けてしまっていたので、こういったかたちでの解説に、最初のとっかかりとしては、すんなりと入れました。寸劇というのは、いろいろイベントをしている当館でも初めてではないでしょうか?企画としてもとても良かったと思います。

映画『弁護人』は実際にあった冤罪事件「釜林事件」を元に、国家権力による国民への暴力を描いている映画です。しかしこれを「お隣韓国の昔の事件」と捉えていてはいけません。というのが今回のトークイベントです。
この日本でも、3年前に成立した秘密保護法や、現在多数の批判が噴出している共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)が成立すれば、民主主義そのものの根幹が揺らぐ事態になりかねないのです。現在の日本でも、テロをしようなどとは思ってもみない普通に暮らしている貴方や、私たちが、いかにして知らない間に国家権力によって「罪人」として仕立て上げられるのか。その仕組みなどを「劇団あすわかひょうご」の寸劇「え、共謀罪?悪いことしてへんかったら大丈夫…よね!?」で解説して頂きました。

寸劇は解り易くて、こんな私でも、ちょっと理解できました。劇団の後は「共謀罪法案」についてもう少し詳しく解説して頂きました。
パレルモ条約により、日本でも立法化すべきとの要望。と、ろくに要望の詳細を理解しない政府は我が国の刑法体系に反する、共謀罪法案を出すが、撤廃される。しかし何度廃案になっても、また手を変え品を変え名前を変えて何度も何度も出てくる法案。政府が国民を騙してでも何としてでも成立させようとしているその共謀罪の恐ろしさは、盗聴や監視カメラ、SNSそしてマイナンバーなどで、国民一人一人を監視・監理しようとしているそうです。
たとえば、犯罪者とマークされている人に、会って話す(頷く、目配せ、否定しなかった)だけで、テロの準備行為とみなされ、集団の一員だとみなされるということです。団体とは二人以上で成立するらしく、恐ろしいのは、それを決めるのは「現場の判断に委ねる」とされていることで、さらに自主や密告(司法取引)でしか、刑罰を逃れる手段がなく、まるで戦時下の密告奨励・相互監視社会に逆戻りです。

いやー、怖いお話でした。ニュースなどで、大問題になっていたのは、この事だったのですね。こりゃ秘密保護法や共謀罪に引っかかって、明日からでもこんな善良な私が罪人に仕立て上げられるのは、簡単な事になってしまっておるわけですね。私に罪を着せるか着せないかは警察=国家権力の胸三寸なわけですね。まさに民主主義の根幹を揺るがす事態であります。

あ、この文書を読んでしまったあなたも明日は、「国家を転覆しようとしている団体の一員として共謀罪!」とあの人が決めるだけで、罪人になるかも?

(おもしろ)   

 

2016.12.20
元町シネクラブvol.38開催!


映画について「あれ、これどういうこと?」「もっと映画の背景について知っていたら」と思うことありませんか。シネクラブでは映画の感想はもちろん、映画に隠れているテーマとかもみんなで考えちゃたりします。

今回は『奇跡の教室』『将軍様、あなたのために映画を撮ります』『みかんの丘』『とうもろこしの島』4作品。どれも元町映画館ぽい作品ばかり。今回は今年一番参加者が多かった。学生さんから映画大好きさんまで多くの方に参加していただきました!

今回は特に意見の多かった3作品をピックアップ。

『みかんの丘』『とうもろこしの島』
なんせ食べ物がタイトルに入っている作品、もちろんご覧になった方はタイトルと作品のギャップにやられた方も多かったようです。参加者の中には今年のベスト10に入るような作品だったとおっしゃる方も。『みかん』『とうもろこし』どちらが良かったかという意見もヒートアップ。戦争とそこに住む人との話を描いた本作、どちらも甲乙つけがたい。人によって映像の見方が全然違って面白かったです。おじいちゃんと孫が主役ってのも共通点でしたね。

『将軍様、あなたのために映画を撮ります』
アジア映画と思いきや、製作国はイギリス。ミステリー仕立てのドキュメンタリーになっていて面白かったという参加者が本当に多かったです。
本作に出てくる朝鮮初の『プルガサリ 伝説の怪獣』や終盤に出てきた『タイタニック』をもとに作られた作品を見てみたいという声もありました。参加者の中には本作で失踪した女優・崔銀姫、映画監督・申相玉と映画祭で3ショットを撮った方もおりその写真を実際に見ましたが、言葉が出ませんでした。「す、すごいな」と。本作では"証言者"と呼ばれる関係者の音声も出てきますが、これが果たして本物なのかそうでないか、そのやりとりも白熱しました。

次回は年明け1/15(日)。やはり一番盛り上がりそうなのは「2016年のベスト」果たしてどんな映画が選ばれるのか、みなさんのご意見、非常に楽しみです!

(芋羊甘)   

 

2016.12.20
12/17(土)『スラヴォイ・ジジェクの倒錯的映画ガイド2 倒錯的イデオロギー・ガイド』丹生谷貴志さんトークを開催しました。


2010年に開館まもない当館での前作『スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド』公開時も丹生谷さんにお話し頂きました。その時も夜遅い時間ながら当館にしては大勢のお客様にご来場頂きました。
前作はジジェクによるラカン派精神分析を使っての映画論、今回は映画を使ってのイデオロギー論という違いはあります。前回と同じく1時間以上に渡った濃いお話をまとめることは到底できませんが少しだけでもお伝えできればと思います。

ジジェクが引用する映画はヒッチコックをはじめ元来精神分析的手法の脚本で作られており、ヒッチコック作品は今回は出ないにしろ今回引用された『サウンド・オブ・ミュージック』『ウエスト・サイド物語』の脚本家は誰か?アーネスト・レーマンである(『北北西に進路を取れ』『ファミリー・プロット』脚本)。映画学校なんかで無意識ではあれなぜフロイト主義が採用されるかを問うべきである。

ちなみにこの映画でジジェクは引用される映画の模擬セットの中に入り込み自身も扮装してしゃべり通します。しかも母国語ではない英語で逆説の言葉、逆接の接続詞を多用して。それに反して、パラドックス、それにもかかわらず。
この通説に反する形で真理を言い表すのがジジェクの得意技です。自由/真理/イデオロギーは通説に反してこうだというわけです。倒錯的ガイドたる理由です。

丹生谷さんに戻って、しかし映画の倒錯的ガイドとあるがこれは、「倒錯者の」ガイドである。例えば映画論としてはどうか、特に前作。
ジジェクを公開処刑にすべし(蓮實重彦)ということになる。なぜなら画面に何が映っていたかはさして重要ではないなんてことは許されない。

ジジェクはスロベニアのラカン派である。ラカンはフランスのフロイト派であり恐ろしく難解で神秘的な理論で知られる。主著「エクリ」は英語にすればライティングス(書かれたもの)くらいの意味。出版当時のフランス国内の書評で、素晴らしい本だが願わくばフランス語訳が出るのを望む、と言われたくらい。この難解さには必然性があるが、ともあれその難解な理論を独自にヒッチコックなどを使って明快に解説するのがジジェクである。

今作イデオロギー・ガイドではジジェクは旧共産圏のユーゴ生まれであるからイデオロギーの偽善には敏感なはず。共産主義、資本主義はもちろんイデオロギーであってもっと言えば自由・平等・革命すら例外ではない。
「最後の誘惑」(マーティン・スコセッシ)では人間キリストが描かれた映画であるがジジェクによれば、十字架に磔になって「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」(我が父なる神よ、なぜ汝は我を見捨てたのか)という瞬間にキリストは神の不在を知るのであり、真の無神論者になるためにはキリスト教に入信すべきだとなる。この続きをジジェクは言ってないが、この言葉「エリ、エリ~」を旧約聖書の詩編からの引用とすれば、死とはいえこれは神の国に入る途中の試練でしかない。

余談、「ヒッチコック×ジジェク」という本があり訳者の一人は内田樹さん、内田さんが多忙になる前を知っていますが、この本の中のラカンの言葉に註を付けるのを内田さんが忘れている。「騙されない者は迷う」これは原語では駄洒落になっており、(この報告文を書いている私はフランス語分からないのでカタカナですみませんが)ノン(否定)ドプ(騙す)ペラン(迷う)、これは、音の連なりで、ノム(名)ドペル(父の)、「父の名」(ラカンの重要概念)と同音となる。騙されない者キリストは迷って父の名を口にする。

ジジェクは最後にラカンではなくヴァルター・ベンヤミンの言葉を引用してこの映画を締めくくる。革命は未来に起こるのではなく過去における革命に失敗した亡霊たちを救う形で今ここで起こるのだ(何か微妙に間違ってる気が)。このベンヤミンの言葉をジジェクは真剣に口にする。ベンヤミンが偉大かどうかはおくとしてこの本の虫のユダヤ人はナチスから逃れようとしてスペイン国境で捕まり青酸カリを飲む。引用元はベンヤミンの遺稿「歴史の概念について」と思われる。(丹生谷さん、フランス語訳のその本を訳しながら)我々ユダヤ人は未来を見ることは許されない(未来は空虚であり嘘の予言でありイデオロギーなのだから)。しかし我々ユダヤ人だけが共通の記憶とも言うべき過去と共に生きている。だから日々、この時、メシアの到来を信じて生きていくことができる。

ジジェクはユダヤ人ではないかもしれないが彼の母親はもしかしてユダヤ系であった可能性もある。母親の説明に(無神論者)と普通なら書かれない説明がされているのはあやしい。とにかくこの最後のジジェクはシニカルではなく真剣にいささかペシミスティックですらあり髭が似合うかっこいい男ではないか、いや冗談ではなく。
この辺で終わりにします(トーク終了)。

かなりはしょりましたがトークはこういう風に終わりました。最後の話の少し前の余談を紹介してこのレポートも終わりにします。
そんなに親しくはなかったけども浅田彰さんからハガキをもらったことがあって、スペインに来ています、パスポートをなくしました、ベンヤミンの墓を探したが見つからなかった、というもの。
そのあと丹生谷さんは仰らなかったのですが、浅田彰さんと言えばジジェクを日本に紹介した方であり、ジジェクと対談もされて本になっています。ジジェクのほとんど全ての著作が日本で翻訳されるきっかけを作った方でした。

丹生谷さんの実際のトークは本論と余談がもっと自由に入り交じったもので余談の数と本論の密度はこんな報告文とは比較になりません。
帰り際には持参されていた「ヒッチコック×ジジェク」を読まないからといって何と元町映画館支配人の林が頂戴したのでした。スタッフでこういう本を読むのはあなたくらいということで私が預かっていますがとても面白そうな内容で分かるかどうかはともかく楽しみです。
丹生谷さんの登壇は「神々のたそがれ」(アレクセイ・ゲルマン)での鈴木創士さんとのトークに次いで2回目でした。また来年も機会ありましたら是非お願いいたします。

(高橋)   

 

2016.12.18
12/17(土)『秋の理由』福間健二監督舞台挨拶開催!


今はもう冬ですがこの作品が上映されている間は秋は終わらないというくらい思いっきり秋を撮りました、という最初のご挨拶通りこの映画は秋の光いっぱいです。

詩人でもある福間さんは映画よりも前に詩集『秋の理由』を出しており今回はその映画化になります。
詩集の映画化!?

人気脚本家の高田亮さんに詩集の言葉を自由に使ったプロットを依頼し、小林プロデューサーから60歳くらいの男の話にしようと言われ、男二人なら福間さんが詩人であることから作家と編集者ではどうか、そんな感じで製作が始まったそうです。

次にキャスティングの話になりました。
声が出なくなった作家役に実際に病気で声が出なくなった!佐野和宏さん、これまでの福間作品で描かれたような若い娘に趣里さん、趣里さんの事務所繋がりで作家の妻に寺島しのぶさん、彼の新作を辛抱強く待つ編集者の友人に伊藤洋三郎さん、最後の役が難しかったそうです。

この役は個性がはっきりしていながら周り全員と繋がらなくてはならない。
福間さんが映画「恋」の予告編を見た時にこの人だと思ったのが伊藤洋三郎さんでした。福間さん曰く、いい顔。主役だけれども主演ではない。

演出の話では、60歳の男二人に何をさせようか、昔は魚釣りや将棋だったけども、ジョン・フォードの西部劇風に酒を飲んでくれ。
会話のシーンでは、佐野さんが監督経験時に筆談機を使うと間が空いてよくないと言ったところ、面白いからそれ使おう。

女二人も魅力的です。
夫の介護と夫の友人に想いを寄せられる妻の苦悩、ほとんど天使のような謎の若い娘。天使といっても聖と俗を併せ持つイメージ、福間さんが仰った「空から舞い降りて地面をしっかり歩く」がぴったりです。彼女の声と動きは輪郭がクリアで詩と映像によく合います。

素晴らしい映画だと伝えるのが難しいですが皆様是非ご覧ください!

(高橋)   

 

2016.12.18
『Every Day』上映期間中、連日イベントを開催しました!


『Every Day』上映期間中、手塚監督やキャストの方にお越しいただき、連日さまざまなイベントを開催しました。月曜から水曜までのイベントをダイジェストでご紹介します。

12/12(月)には、上映後に手塚監督と主演の山本真由美さん、そして学生だけの映画宣伝チーム・映画チア部の肥田さんでトークを行いました。咲が戻ってきた真意や、咲と三井の立場が逆だったらどうだったかなど、山本さんには女性の視点でたっぷりお話しいただきました。

翌12/13(火)は、元町映画館はレディースデーでした。上映後に手塚監督と映画チア部の肥田さんのトークを開催しましたが、レディースデーにも関わらず参加者が男性のみ!思わぬ"男子会"でしたが、三井の気持ちがよくわかる、咲がなぜ怒っているのか僕たちもわからないと大いに盛り上がりました。

12/15(木)には「男たちのEvery Day」と題し、上映後に手塚監督、永野宗典さん、三井の後輩・遠藤を演じた土屋壮(たけし)さんによる倍速コメンタリー上映を開催しました。火曜の男子会を受けての企画ですが、やはりこれが大盛り上がり。土屋さんは永野さんの寝起きシーンの演技を見て「天才かと思った」そうです。お客さまから演技への細かいツッコミがあって全員でそれを検証したり、三井の同僚・津嶋さん(女性)がなぜ怖いかを話し合ったりしました。

最終日12/16(金)には、手塚監督と山本真由美さんによる倍速コメンタリー上映を開催。これまでの男子会で幾度となく話題に上った、「(離婚式の後)なぜ咲ちゃんは怒っているのか」という話題についに山本さんが参戦し、咲ちゃんの気持ちを丁寧に説明してくれました。「それでも普通に家に帰って一緒に焼きそばを食べるつもりだった」という言葉に、ちょっと胸を衝かれました。

その他、永野さんは連日手塚監督と舞台挨拶をしてくださいました。「ちっちゃいおっさん」とご自身でよく言ってましたが、ちょうど身長も同じくらいの手塚監督と永野さん。時にはファッションが似ていたりして、なんだか漫才コンビのようでした…。短い時間の舞台挨拶でも、きっちりとお客さまを笑わせるところは流石です。

駆け足での紹介になってしまいましたが、毎日のイベントを通じて感じたのは、手塚監督をはじめキャストのみなさんも本当にこの作品を大切に想っているということと、観たお客さまの大半がこの映画に私たちの想像以上の愛情を持ってくださるということでした。一週間という短い期間でしたが何度も足を運んでくださる方がいて、また、遠方から駆けつけてくださるリピーターの方もいました。

手塚監督、永野さん、山本さん、土屋さん、一週間本当にありがとうございました。

(mirai)   

 

2016.12.12
『Every Day』手塚悟監督によるコメンタリー上映イベント開催しました!


12/11(日)の『Every Day』上映後、〈倍速コメンタリー上映〉と題して、映画本編をおさらいしながら手塚監督が解説をつけるというなんとも貴重なイベントを開催しました。

まずはオープニングのゆったりとした空気に合わせ、制作の背景をお話しいただきました。mixi上でアップされた冨士原直也さんの物語に出会い、それを原作として映画にしたいと依頼されたこと。冨士原さんが音楽家・haruka nakamuraさんの1stアルバム「grace」に収録された楽曲「every day」から着想を得て物語を作られたということもあり、映画の音楽もどうしてもharuka nakamuraさんに手がけてもらいたいと思い、それが叶ったこと。

三井と咲がふたりで暮らす家は、原作者の冨士原さんのお宅を使わせてもらったのだそうです。また、友人の離婚式のシーンでは、手塚監督のお父さまも出演されている(探してみてください!)など、ウラ話も飛び出しました。また、映画に登場するフォトブックの実物もご持参いただきました。手に取ってパラパラとめくると、映画の感動が改めて蘇ってくるようでした。

撮影にはほぼ1年かかったという本作。どの役も「この人じゃなきゃ」と思える役者さんに出演してほしくて、スケジュールの空きを待って撮影を重ねていたら時間がかかってしまったと手塚監督は話します。そんな惚れ込んだ役者陣の中でも、咲を演じる山本真由美さんの表情の素晴らしさを語る声には熱がこもっていました。手塚監督が絶賛する「黙っている時の表情の豊かさ」をぜひご覧ください!

映画化の話がスタートしたのがちょうど2011年3月11日だった本作。ラスト近くの「ただいま」「おかえり」のやり取りには手塚監督の特別な思いが込められているのだそうです。当たり前のように感じるこの言葉が持つ日常性の重みを、ぜひ映画『Every Day』で感じ取っていただけたらと思います。

(mirai)   

 

2016.12.12
『みかんの丘』『とうもろこしの島』扇千恵さんトーク開催しました!


12/11(日)、アブハジア紛争を題材にした2本の映画『みかんの丘』『とうもろこしの島』のトークを開催しました。お越しいただいたのはロシア映画紹介者の扇千恵さんです。

まずは舞台となった国・ジョージアについて。「ジョージア」というと耳慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、かつて「グルジア」と呼ばれていた国です。グルジア語では「サカルトヴェロ」というこの国の呼称について、「グルジア」と呼んでいたのは日本、中国、韓国、旧ソ連のみで、その他では英語表記の「ジョージア」と呼んでいたのだそう。グルジア国からの要請を受け、日本でも「ジョージア」と呼ぶように定められたのは昨年4月のこと、まだ私も馴染めません。
(以下はすべて「グルジア」と表記していますがご了解ください)

扇さんによると、おとぎ話や寓話のように描くのがグルジア映画の特徴だそうです。今回の2作品もそういったグルジア映画らしさに満ちていると言います。どちらも老人が主人公ですが、これは「自分が育った土地と強い結びつきがあり、生活を大事にしている存在」として彼らが中心に据えられているのでは、というお話しには深く納得させられました。

また、音楽もグルジア映画の大きな特徴のひとつだと扇さんは言います。伝統楽器を使用した民族的な音楽がよく使われているそうです。『みかんの丘』のラストシーンは、あまりに映画的な演出ではありますが、音楽の持つ力をよく表していると話されます。

そのほか、日本で公開されたグルジア映画の紹介や(昨年リバイバル公開された『ピロスマニ』、イオセリアーニ監督やパラジャーノフ監督の作品群は有名ですね)、扇さんがグルジアへ行かれた時のお話、その際に代表的な女優ソフィコ・チアウレリの家に行ったお話など興味深い話をたくさんお聞きしました。

『みかんの丘』『とうもろこしの島』はぜひ2作品とも観てほしい傑作です!12/16(金)まで元町映画館で上映中。ぜひお越しください。

(mirai)   

 

2016.12.12
12/10(土)『Every Day』初日舞台挨拶を開催しました。


短編などで国内外問わず評価を得ている手塚悟監督による初長編作品『Every Day』。当館での上映初日を記念して主演の永野宗典さん、山本真由美さん、そして手塚悟監督による舞台挨拶を開催しました。

まずはみなさんの自己紹介。東京から約1年後、多くのお客様のお声によって関西で上映できたことが本当に嬉しいとおっしゃいました。特に出身が大阪である山本さんは嬉しそうでした。

短編を中心に作っていた監督。初長編で苦労したことは何ですかという問いには『本作のキャッチボールのシーン。季節は春。でも撮影したのは真夏でした。そんな環境の中、主演のお二人は汗を一切かかない、役者魂を尊敬しました」とおっしゃいました。また主演のお二人も「汗腺をキュッと閉めました」とのこと。

また本作のキャスティングでは舞台で永野さんを見かけた時に「三井いた」と思ったそうです。永野さんは本作の依頼が来た時「使いっ走りの兵隊役や河童の役とかしてないけど、俺でいいの?嵐の松潤潤さんじゃなくて」と少し不安になったそうです。しかし本作では自分と似ている雰囲気を持つ三井に自分を同化させることに集中したそうです。

山本さんはサキ役について「撮影前に監督と役について相談する機会が多かったで監督と良い意見交換ができました。そのおかげで時間をもらった"幽霊としてのサキ"ではなく、一人の人間として振る舞うことができた」とおっしゃいました。
監督曰く「きっかけは何で生まれるか分からない」とのこと。本作はまさにお二人がいなければ成立しない映画。まさに唯一無二の二人のやりとりは必見です。

最後に監督は本作が2011年の東日本大震災後に撮影されたということに触れ、「自分が思ったこと、感じたことを映画の中には盛り込んだ」とおっしゃいました。舞台挨拶では映画のラストの表現についてもお答えいただきました。「いつもの日常が最も大切」そんなラストシーンになっているのではないかと思います。

『Every Day』は12/16(金)まで連日18:10から上映中。

(芋羊甘)   

 

2016.12.10
『過激派オペラ』江本純子監督ミニトーク開催しました!


『過激派オペラ』最終日の12/9(金)の夜、監督の江本純子さんをお迎えしてミニトークを開催しました。上映最終日ということもあり、参加されたお客さまの約半数はすでに『過激派オペラ』を観られた方。何度もリピートしているという方や、遠方から来てくださった方も!

立教大学在学中に劇団「毛皮族」を旗揚げし、演劇界ではカリスマ的存在として知られる江本さん。初めて挑戦された映画の現場はどうだったかとお聞きすると、「撮影中も、編集という演劇にはない作業も、すべてがとにかく楽しかった。演劇は長くやっているので、もうどう扱えば良いのかが身に付いてしまっている。映画は初めてのことだらけで、初期衝動だけで動ける現場だった」と話されました。

映画にあって、演劇にないもの。それは「カット」と言う江本さん。演劇は"完成"ということがなく、日々どんどん変化し進化するもの。それに比べ、現場で「カット」をかけなければいけないことに最初は戸惑ったのだそうです。「これでいいの?ここでいいの?」と自問自答したと話します。

会場のお客さまからも映画の感想や様々な質問が飛び出しました。印象的だったのは、劇団員たちが路上で下着姿になってホースの水を掛け合いながらはしゃぐシーン(予告編にもあります)で、「下着がひと昔前っぽいが設定は現代なのか」という質問に対する「(設定は現代だが)下着はこの方がロマンチックだと思ったから」という江本さんのお答え。個人的質疑応答史上(なんだそれ)、サイコーのお答えだと思いました!

また絶対に映画を撮りたい、と言っていた江本さん。次作も楽しみに待ってます!!

(mirai)   

 

2016.12.7
『過激派オペラ』初日の12/3(土)舞台挨拶を開催しました。


今回お越し頂いたのは、主役の重信ナオコ役の早織さん、麿角桃実役の後藤ユウミさん、三浦ふみ役の今中菜津美さん。女優さんがお三方も並ぶと舞台も華やかです。
後藤さんは2年前にも一度ご登壇して頂きましたが、目を刺すライティングの眩しさで急に懐かしく元町映画館を思い出したとのこと。
ごめんなさいー。ビンボー映画館は機材までお金が回りませんー。

演劇界ではセンセーショナルな作品を発表し続ける奇才として名高い江本純子さん。今回映画監督に初挑戦ということで、自伝的小説『股間』の映画化になる本作ですが、江本監督の映画の作り方と、他の映画監督との違いをお聞きしました。

早織さんは、今まで他の映画では総てを任してもらったことがなかったので、役に定まらず、とてもむずかしく感じました。しかし、ふらふらしているところなどを監督にきつく指摘されたことなどが、今想えば、演技に対してとても大切な事を教えて下さったと、今ではそれらの言葉が財産になっています。とのこと。
後藤さんは、メインの舞台になっている所を稽古場にして、撮影期間の前に1週間ぐらいガッツリと皆でリハーサルをしたそうですが、それは直接のシーンのリハーサルではなく、全体の空気作りというか、皆で役に慣れる期間みたいなものだったので、それが普通の映画とは違う手法だと思いました。
今中さんは、その混沌とした稽古場に考える余裕もなかった。普通の映画の撮り方とまったく違うので「オッケー」という掛け声もなく撮影し、何が正解かわからないまま、どんどん進んだので大変でした。何が何だかわからなかったそうです。

何だか凄そうな現場のようですね。

演劇的な映画の撮り方という意味では、その期間はリハーサルというより、過激派オペラをやっている皆をとっているドキュメンタリーという感じの撮られ方でした。と後藤さん。さすが演劇畑の人ですね。混沌とした現場でも少し引いて冷静に分析されていますね。

とは言っても、江本さんもやはり編集の段階では、ちゃんと大まかな筋が通るように元々の脚本の流れに戻したりしたとのこと。今中さんは、できた映画を観て、ちゃんと出来上がるもんなんだなと感心したそうです。

この現場で一番楽しかったことは?との問いに対して、一同「……」絶句しておりました。みなさん必死で本当に大変な現場だったようですね。

舞台挨拶のあと、サイン会もして頂き、お開きとなりました。

『過激派オペラ』は金曜日までの上映ですが、最終日に江本純子監督が急遽駆けつけて下さるということで、ミニトークをして頂きます。一度映画を観られた方ならどなたでもご参加できますので、お時間のある方は監督に会いにお越し下さい。

(おもしろ)   

 

2016.12.2
11/26(土)『ケンとカズ』舞台挨拶開催しました!


無名の新人監督、キャストで作られたのにも関わらず若手新人監督の登竜門な存在である東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門を受賞した『ケンとカズ』。当館での上映を記念してカズ役の毎熊克哉さん、小路紘史監督による舞台挨拶を開催しました。

まずは新人監督に贈られる新藤兼人賞の銀賞を監督が受賞したというおめでたい話題。これは監督も大いに喜んでおられました。
カズ役の毎熊さん、作品の中では超がつくほど怖い人、しかし実際に見るとめっちゃ爽やか青年でした。神戸で上映できて本当に良かったとおっしゃいました。

本作はどのキャラクターも本当に個性が立っています。そんな魅力的なキャストの半数がカッチャンこと毎熊さんの紹介で決定したそうです。
撮影期間は約50日間。多いか少ないか分かりませんが、監督曰く「撮影時間が本当に短かった作品でしたが貴重な時間でじっくりと撮影した」そうです。

編集のお話は特に印象的でした。オリジナルは120分越えの作品。それを削る作業はかなり大変だったそうです。編集したものを演者の皆さんに送り意見をもらい、その意見を取りいれてまたキャストに戻すの繰り返し。監督は「削れば削るほど映画は良くなると実感しました」とおっしゃいました。

そしてお客様からの質問コーナーへ。
Q:監督が最も時間をかけて撮りたかったところは?
A:「オープニングシーンが一番撮りたかった。でも撮影許可は取っていたにも関わらず、思った以上に撮影時間がかかってしまった」。撮影が完了した後でも半年後に撮影することもあったそうでその度に毎熊さんはパンチパーマを当てたそうです。総数にして3回。

Q:監督の好きな映画は?
監督:韓国映画はものすごい好き。中でも『猟奇的な彼女』が好きだそうです。

毎熊さん:『フォレスト・ガンプ』のトム・ハンクスの目で演技するのが好き。『すっごい良い。目で色々なものを語るのが本当にすごいと思う』とおっしゃいました。

『ケンとカズ』。今、一番勢いがある日本映画だと私は思います。こんなに映像からエネルギーが溢れ出る映画はない!!

『ケンとカズ』は12/9(金)まで上映中。

(芋羊甘)   

本日の上映作品

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