イベントレポート


2017.6.29
「池谷薫ドキュメンタリー塾 #番外編」開催しました!


映画監督の池谷薫さんからドキュメンタリー映画について学ぶ「池谷薫ドキュメンタリー塾」。当初は7プログラムを予定していましたが、急遽番外編として6/29(木) に追加講義を開催いたしました。鑑賞作品はNHKスペシャルの「人間は何を食べてきたか」。このシリーズはTVドキュメンタリーの金字塔として知られ、高畑勲さんや宮崎駿さんなど著名人の中でもファンが多いことで有名です。スタジオジブリがDVD化に乗り出し、現在ではそちらでご覧いただくことも可能です。池谷さんはこのシリーズの第3シーズン「海と川の狩人たち」の中で「灼熱の海にクジラを追う ~インドネシア・ロンバタ島~」を監督しています。

「灼熱の海にクジラを追う」はクジラを狩猟して生きるロンバタ島・ラマレラ村の人々を映します。「捕鯨」に関してはいろいろと議論が交わされているトピックですが、本作で描かれる捕鯨は「生存捕鯨」と言われ、生きるために必要最低限の捕獲しかしていません。しかしむしろ、"贅沢できるほど捕獲する ことができない"という言い方のほうが現状に相応しい表現かもしれません。ロンバタ島の環境は厳しく、年に2頭しか獲れないこともあるそうです。狩猟の仕 方を見るとそれも納得!?なんとその方法は生身の人間が槍を持ってクジラに飛びかかるというもの。映像的には小舟から海にダイブしている感じです。もちろん犠牲者が出ることもあり、撮影中にもクジラに腸を食べられた方がいらっしゃいました。

私は鑑賞中いろんなところにカルチャーショックを受けていました。例えば、ラマレラ村の人々の原始的な営み。大きなところで言えば、市場に出るとそこでは物々交換が行われているのです。クジラの肉一片がとうもろこし12本と、当事者同士でその按配を決めるのではなく、約束事が村全体にあることも興味深いです。またさらに印象的だったのは、捕獲したクジラを分配するということ。通常、捕獲したものは獲った人間のものになるかと思いますが、ロンバタ島 では独り占めにはせずに村全体に分配するのです。まさに共同体といった感じです。ただここでもやはり約束事があって、頭の部分は先住民のトワンタナ族に献 上、尾びれの部分は…と細かくルールが定められています。ここには過去に争いごとがあったことが窺えます。利他の精神を持ち続けることは、どんな環境に暮らしていても人間には難しいことなのかもしれませんね。

自分が暮らす生活とのギャップに驚いてばかりでしたが、とはいえ日本でも馴染みのある状況も作品の中には見られます。それはロンバタ島で若者が島 外に離れてしまうことが深刻になっているということ。日本の地方都市が抱えている問題のようです。若い世代にとってはロンバタ島のライフスタイルは魅力的 に映っていないのでしょうか。しかし作品は1992年の製作でしたが、現在でも捕鯨の文化はまた続いています。漁に出る船の数は随分と少なくなってしまっ たようですが。物々交換が行われていた市場はすでに無くなってしまったとのことでした。

次回のドキュメンタリー塾は『延安の娘』。二回に分けて解説いただくので、いよいよ最後の鑑賞作品となります。

(斉藤)   

 

2017.6.29
「パレスチナ映画週間」岡真理さん2度目のトーク開催しました!


「パレスチナ映画週間」も折り返しを過ぎた6/28(水)、ハニ・アブ・アサド監督『パラダイス・ナウ』とブサイナ・ホーリー監督『Women in Struggle −目線−』の上映後に岡真理さんのトークを開催しました。

今回の企画でセレクトした8作品のうち、劇映画はハニ・アブ・アサド監督による『パラダイス・ナウ』と『オマールの壁』のみ。デジタル技術が発達 した今、ドキュメンタリーならカメラとパソコンがあれば1人でも作れますが、資金と機材と人員が必要になる劇映画となるとパレスチナの現状で制作されるこ とは困難だそうです。

ハニ・アブ・アサド監督は"イスラエルのパレスチナ人"なのでまだ映画を撮ることができると岡さんは言いつつ、でもイスラエルにおいてパレスチナ人はイスラエル"市民"ではあっても"国民"とは認められていない厳しい状況だと指摘します。

岡さんはハニ・アブ・アサド監督の作品の特徴を「占領の暴力を、具体的にではなく示唆的に描く」ことと言います。ではなぜ示唆的に描くのか?その 答えは『パラダイス・ナウ』でサイードがスーハに語った言葉に現れています。密告者であった父について聞かれたサイードは、「上流階級の暇つぶしか?」と 答えます。これは、自らパレスチナの実態を本気で知ろうとしない私たち(=国際社会)に向けられています。

さまざまな場面で示唆的に描かれたハニ・アブ・アサド監督の意図を岡さんが読み解くたび、映画の理解が何倍も深くなるとともに、パレスチナ人の絶望の一端に対面したような心持ちになりました。これだけ痛切なメッセージに、どれだけの人が気づいたでしょう。

『Women in Struggle』上映後は2Fに移動し、報道で示される「パレスチナ自治区」の嘘、張り巡らされた分離壁、イスラエル人入植者に抵抗もできない状態に置かれたパレスチナ人の状況などを、スライドや動画を映しながら解説をしていただきました。

そして、国際社会が目も向けないイスラエルの暴挙に我慢できないユダヤ人たちは次々と国外に出て、もはやイスラエルには自浄作用もないこと、それはイスラエルにとっても不幸な事態なのではないかと締めくくられました。

「パレスチナ映画週間」も残り2日。1人でも多くの方にお越しいただき、パレスチナに関心を持ってもらえることを切に願います。

(mirai)  


2017.6.29
6/25(日)「パレスチナ映画週間」『壊された5つのカメラ』トーク開催!


パレスチナ問題を30年以上考えて来られた岡真理さん(京都大学大学院教授)のトークを開催しました。
岡さん曰く、占領下パレスチナを描いた最も優れたドキュメンタリー映画『壊された5つのカメラ』 。トークはしかし、この映画を含む特集8作品の背景全般にわたって、そして占領の過酷さを何回も繰り返し強調されて進みました。

パレスチナ問題の歴史を略年表で振り返りながら、パレスチナ地図と関連写真を投影しながらお話しされたので初心者にも分りやすいトーク、しかしパレスチナ問題の難しさが聞く者によく伝わってきました。
問題の発端は1948年にユダヤ人の国家イスラエルが建国され、その地に暮らしていたパレスチナ人は故郷にいるにも関わらず排他的な国家政策によって追い出されてパレスチナ人は難民となっていきます。その年から数えてもう70年が経とうとしているのに解決の糸口が今もって見出せずにいます。

この70年間、イスラエル国家によるパレスチナ人への過酷な虐殺や拷問があり、パレスチナ側からの武力抵抗がなされ、1993年のオスロ合意で暫 定自治が開始され和平の道を歩むかに見えたものの、それは「自治」という言葉の裏に隠された「継続する占領」の隠蔽であると岡さんは強調されます。

我々日本も1945年前後に占領を能動的にも受動的にも経験していますがそれと比較してみてもパレスチナ占領の過酷さがどんなものか分かります。
折に触れて聴衆からため息ともつかない声が漏れたのは、ユダヤ人がホロコーストでナチスドイツによって受けた運命を今まさにパレスチナ人に形は変えても投げ与えているという何とも形容しがたい歴史の繰り返しです。

日常的にパレスチナ人には国家から生活権・人権を与えられていないので、あらゆる行政サービスや警察の保護を受けることができません。
イスラエルはさらに入植地という「自治区」への侵入を行いパレスチナ人は物理的な壁によって分断されています。

我々はパレスチナ人へ「なぜこんな国を出ていかないのですか?」と問うかもしれない。しかし、そのパレスチナ人から「なぜ出ていかねばならないのですか?」と逆に問われた時に我々は答える言葉を持ちません。

こんなことを許しておくことは世界の恥であるとも岡さんは言われました。
トークを聞いた私はパレスチナ問題は世界の今のあらゆる問題を凝縮したような難題であって、月並みですがこの問題をもっと知っていこうと思いました。

(高橋)  


2017.6.28
6/25(日)「パレスチナ映画週間」岡真理さんのトークを開催しました。


ヨルダン川西岸地区とガザ地区がイスラエルに軍事占領され、この6月で50年になります。
今回の「パレスチナ映画週間」は、京都大学大学院教授の岡真理さんから「占領50年という節目に多くの人にこの非人道的な現状を伝える機会がないか」という問題に、元町映画館が賛同し、共同で企画したものです。
岡さん監修のもと、8本の映画を選んでもらい上映。さらに、岡さんは特集上映期間中の一週間に2日もお越し頂き、2回ずつ、都合4回トークをして頂きます。

本日が第一回目のトークということで、まず最初に占領の歴史から順をおって説明して頂きました。
第二次大戦終結後、ナチスのホロコーストをうけ1947年の国連総会決議181号から、48年のイスラエル建国、ナクバ(大いなる破局)、67年のヨルダン川西岸地区とガザ地区の占領、93年のオスロ合意、インティファーダ(占領下民衆の一斉蜂起)2007年から現在まで続くガザ完全封鎖、そして度重なる破壊と殺戮のガザ戦争など…。

実は、今回上映する8本の映画により、包括的にこれらの歴史がクロニクル的に理解できるラインナップになっています。
『我々のものではない世界』では48年のナクバによって、レバノンへ逃れ、難民キャンプで3世代にわたって生きる現実を描き、『Women in Struggleー目線ー』では、67年の第3次中東戦争以後の反占領の武装闘争に参与した女性たちを描き、『パラダイス・ナウ』では第2次インティファーダの殉教作戦を命じられた若者を描き、『壊された5つのカメラ』は、村の土地を奪われ、入植される、西岸地区の非暴力直接行動で対峙する村人たちの日常を描き、『ぼくたちは見た ガザ・サムニ家のこどもたち』では2008年の第1次ガザ戦争の完全封鎖され逃げ場のない人々を襲った破壊と殺戮を子どもたちの目を通じて描き、『オマールの壁』では占領の狡猾な暴力により、崩れていく幼馴染の3人の青年たちの人生を描き、『自由と壁とヒップホップ』では48年のナクバでユダヤ国家となってしまったパレスチナ人の若者がラップによって、分断されていた占領地を繋ぐ音楽での抵抗を描いた。そして『沈黙を破る』では占領する側のイスラエルのユダヤ人たちが、非人道的だとイスラエルの占領の実態を自ら告発するグループ「沈黙を破る」の結成を描く。

これら多岐にわたる異なったアプローチからの映画ですが、すべてパレスチナ問題を描いています。このような歴史において「占領から50年経っても、一向に止む事の無い、人権などまったく無視した、占領の政治的不正や直接的な暴力を、皆さん知って下さい」と岡さんは言います。
岡さんのトークはいつも静かなトーンですが、強い意志を感じます。今回は特に、はらわたは煮えくり返っているんだぞという怒りと憤りが伝わって来るようです。

実は、私はこの8作品全て以前に見ていました。しかし、映画の中の個々の事件などは理解できるのですが、どの場所でのどの時代なのかをちゃんと理解していませんでした。今回、岡さんのお話を聴いて、8本全体が繋がりました。ようやく、おぼろげながらも全体像が少しは理解できたような気がしました。
皆さんも出来るだけ多くの作品を見て下さい。まず、知る事から始めましょう。

(ふじしま)  


2017.6.28
『退屈な日々にさようならを』舞台挨拶開催しました!


元町映画館スタッフも大好きな映画監督、今泉力哉さんの最新作『退屈な日々にさようならを』が当館にて上映中です。公開を記念して、 6/24(土) と6/25(日) にキャストによる舞台挨拶を開催しました。6/24(土)の公開初日は主演の内堀太郎さんと秋葉美希さん、公開2日目の6/25(日) は秋葉美希さんおひとりでご登壇いただきました。

本作は映画専門学校「ENBUゼミナール」による製作で、同校主催のワークショップから作られました。秋葉さんは今泉監督の『知らない、ふたり』 に惹かれたことがきっかけでワークショップに参加されたそうです。秋葉さんは今泉監督の作品について、登場人物がちょっと変わっていて突飛な行動をするん だけど、それなのにその行動が腑に落ちてしまうところがあると解説。それは"生っぽい"(これは今泉監督の言い方でもあるそうですが)日常的で観客に近い 描写によるものだと、今泉作品の魅力についてお話くださいました。

内堀さんが今泉監督の作品に出演するのは短編映画『夏風邪』以来の2回目だそうです。今回は主役であることに加え、双子の二役を演じるという難し い役どころでしたが、撮影現場はやりやすかったと撮影当時を振り返ってくださいました。司会を務めた林も壇上で話していましたが、双子の兄弟、太郎と次郎 の演じ分けが見事です。これに対し内堀さんは、なるべく無理をしないように兄弟だからといって似せようとも分けようともしなかったとお話しくださいまし た。演技に関してのことでは、秋葉さんも謎が多いある意味難しい役どころでした。秋葉さんは役について考えすぎているときに、それは安心したいからだと自 ら反省し、無理にキャラクターのつじつまを合わせないようにしたと振り返ってくださいました。これがミステリアスな雰囲気を助長したのではないかと壇上で は盛り上がりました。

実は6/25(日) にはキャストの安田茉央さんの登壇も予定していたのですが、京都であった舞台挨拶からの移動で不具合が生じ、惜しくも当初予定していた上映前の舞台挨拶に 間に合いませんでした。上映中には到着したのですが、上映後の舞台挨拶にはスケジュール的に参加できないということで手紙を置いて帰ってくださいました。 それを秋葉さんが舞台挨拶の初めに代読したのですが、そこには『退屈な日々にさようならを』を観てご自身で考えたことも書かれていてとても興味深かったで す。思えば、今回の今泉監督の作品はいつも以上にテーマ性が強く、他の人がどのように感じたのかとても気になる作品になっていると思います。『退屈な日々にさようならを』は7/7(金)まで上映です。お見逃しないように!

(斉藤)  


2017.6.28
『サクロモンテの丘 ロマの洞窟フラメンコ』東仲マヤさんトーク開催しました!


『サクロモンテの丘 ロマの洞窟フラメンコ』公開を記念し、6/25(日)にフラメンコ舞踊家の東仲マヤさんをお迎えしてトークを開催しました。現役ダンサーの東仲さん、姿勢も立ち姿もとってもきれい!

フラメンコってどこで生まれたと思いますか?と会場に問いかける東仲さん。諸説ありますが、「ぜんぶ正解!」なんだそうです。さまざまな要素が混じり合ってひとつの文化を形成したもの、それがフラメンコだと東仲さんは言います。

ジプシーが踊るものというイメージがありますが、スペインにヒターノが来たのは15世紀と意外と遅いのだそう。新石器時代のタルテッソ王国から 15世紀のカスティージャ・アラゴン統一まで、アンダルシアの文化史を詳しく説明していただきました。歴史の変遷を聞いて、さまざまな文化と音が混じり 合っていくさまがよくわかりました。

もとになる音楽は宗教音楽で、存在はお経に近く語り(歌い)継がれてきたものでした。15世紀のカスティージャ・アラゴン統一により民族の団結を 図るためにキリスト教が奨励され、それを嫌った人々はジプシーとして流浪の民になり、残った人々は無理やり改宗させられ、その哀しみや苦しみを歌に乗せる ことでフラメンコの原型ができたのだそうです。「哀しみや孤独、人間の感情すべてを表現するのがフラメンコ」と東仲さんは言います。

その後19世紀に"フラメンコ"という呼称ができ、さらに戦争などにより苦難の道に立たされながらも今日まで発展してきた経緯をお話しいただきました。ひとつの芸術にもこれだけの歴史が詰まっていることに驚かされるお話ばかりでした。

最後に「オマケ」と称して、フラメンコリズムのパルマ(手拍子)を教わりみんなで実践しました。4拍子を刻み、1拍目に足を鳴らし、拍子の中で強 弱をつけ…意外と難しい!先導に合わせてだんだんと慣れてきた頃、なんと東仲さんは椅子から立ち上がって手拍子に合わせて踊ってくれました!「実はアバラ 折れてるんだけど」と言いながらも(驚)、間近で迫力のある踊りを見られて嬉しいサプライズでした。

知れば知るほど奥の深いフラメンコの世界、ぜひこの映画で感じてみてください。また7/2(日)には、素敵なスペインバル「ラ・ルナ」さんにて東仲マヤさんのフラメンコライブも開催します!
詳細→ http://motoei.com/topics.html#257

(み)  


2017.6.21
シネクラブvol.44開催しました!


6/11(日)元町映画館で上映されている映画についてお話しするシネクラブ。今回は『人生タクシー』や『百日告別』など様々な国の映画を紹介、意見を共有しました。

『人生タクシー』
イランのジャファル・パナヒ監督最新作。世界の3大映画祭を制覇した名将であり本作ではなんとイランのテヘランを走るタクシーの運転手を演じています。タクシーに乗り込んでくるテヘランの住人も様々。金魚鉢を抱えた高齢者、映画を撮りたい学生など年齢性別を超えて様々な人がやってきます。
これは劇なのかそれともドキュメンタリーなのか。私たちの感性を鋭く突いてきます。参加者にもこれがフェイクなのかそうでないのかととう声がありました。昨年ヒットしたドキュメンタリー映画『FAKE』などこのような作りの映画が増えてきているような気がします。
それぞれの乗客が演者なのかそれとも素人なのかという疑問も多かったです。様々な疑問を生み、好奇心をそそられる本作。当館での上映は終了してしまいましたが未見の方は機会があれば是非ご覧を。

『百日告別』
愛する人を失った男女。哀しみを埋めるためにそれぞれが思い出の地や人をめぐり、死と向かいあう本作。ご覧になった方は少なかったですが時間があれば見たかったという意見が多かったです。
アジア映画も積極的に上映している当館ですが今回のような喪失感を埋めるようなお話はありそうでないような。多くの女性のお客様がご覧になった 後、涙をこぼしていらっしゃいました。参加者の一人は「この作品は近い人が亡くなった経験のある人なら共感できる点が多くあるのではないか」という意見が ありました。

次回は「パレスチナ映画週間」『台北ストーリー』など。映画好き、いや映画をこれから見始めようとしている人、集まれ~。

(芋羊甘)   

 

2017.6.17
「池谷薫ドキュメンタリー塾 #5」開催しました!


「池谷薫ドキュメンタリー塾」5回目の講義を6/15(木)に開催しました。今回の鑑賞作品は『ちづる』。池谷薫さんの立教大学での教え子である赤﨑正和さんが撮った作品です。この作品は卒業制作として撮られましたが、なんと劇場公開も果たしました。

『ちづる』は赤﨑さんの自閉症の妹・千鶴さんを撮った作品です。赤﨑さんは長年、差別的な空気から妹が自閉症であることを隠してきました。そんな赤﨑さんが妹にカメラを向けたのには、「言葉では説明できない妹の魅力を伝えたい」という思いがありました。

作品を観れば誰もがこの赤﨑さんの思いを「成功」であると判断するに違いありません。しかし、撮影を始めた当初はそう簡単にはいきませんでした。 まず第一に千鶴さんが赤﨑さんが向けるカメラに映ってくれなかったのです。当時、大学に通うために別居していた兄に対し、千鶴さんは緊張の態度を示しまし た。なので映画の序盤は撮影を母親の久美さんが代行しています。映像は撮影者と被写体の「関係」を如実に表します。

つまるところ、対象に迫るということは「自分とは何か」という問いを突きつけられるということです。人にカメラを向けることで、その人との関係、 ひいては自分自身と向き合わずにはいられなくなる。もちろんこれは『ちづる』の映像にもよく現れていて、ひょっとすると、この映画は千鶴さん以上に赤﨑さ んを描いていた、と言っても差し支えがない程かもしれません。

次回の「池谷薫ドキュメンタリー塾」は6/29(木)に開催します 。池谷さんが監督を務めたNHKスペシャルの「人間は何を食べてきたか 海と川の狩人たち 灼熱の海にクジラを追う」を鑑賞し、その後レクチャーを行います。まだ若干名の空きがありますので、ご希望の方はお早めにご予約頂ければと思います。

(斉藤)   

 

2017.6.8
『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』黒川幸則監督×山下真菜美(映画チア部)トーク開催しました!


6/7(水)『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』上映後、黒川幸則監督と映画チア部の山下真菜美さんのトークを開催しました。

"映画チア部"とは、関西で映画の宣伝をしてミニシアターの魅力を伝えるべく活動している学生限定チームです。今回は『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』に惚れ込んだメンバーの山下さんが関西公開のきっかけを作ったこともあり、黒川監督とのトークが実現しました。

特集上映「台湾映画傑作選」を観に行った新宿のK'sCinemaで、『ヴィレッジ〜』の予告編を観て一目惚れしたという山下さん。黒 川監督はエドワード・ヤン監督の『ヤンヤン 夏の想い出』を久しぶりに観て『ヴィレッジ〜』とそっくりと感じたそうです。「夏、とある場所に人が集まってきて、どこか死の匂いが漂っていて、それでい て笑える部分もある」。それに加え、「水辺とか濃い緑とか、ロケーション的にも通じるものがある」と山下さんからも共通点が挙げられました。

本作は多摩市で撮影されました。「開発はされたが途中で取り残された場所も多く、街を映しても人が映らず、気配だけが色濃く残る感じ。そういう場所に幽霊って現れるんじゃないかと思った」とロケ地への思いを話してくれました。

山下さんからは、転がる空き缶の意図や、ヨーロッパビスタという珍しい画角について、窓や鏡を印象的に使った撮影についてなど鋭い質問が投げかけられ、「そこに気づくんだ?!」と黒川監督も驚いていました。

本作の脚本を手がけたのはバンド「core of bells」のヴォーカリスト山形育弘さん。初めて書いた脚本は詩か歌詞のようで、ト書きがなく映像にするにあたり自由度が高過ぎて迷うところが多かったそうです。台詞がいちいち面白いと監督が言う通り、思い出すと口に出したくなる名台詞がたくさん!

最後に黒川監督は、関西上映が実現したことで各地の劇場に足を運びお客さんと交流して、それぞれの土地で映画仲間を見つけた気持ちだと話してくれました。なんて嬉しい言葉!また帰ってきてくれることを心待ちにしています。

『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』は6/9(金)まで上映中。どうぞお観逃しなく!

(mirai)  


2017.6.5
6/3(土)『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』初日舞台挨拶&ミニライブを開催しました。


舞台挨拶にご登壇頂いたのは、黒川幸則監督、主演の「のっぽのグーニー」こと田中淳一郎さん、佐伯美波さん、そして、スケジュールが調整できたとのことで、急遽駆け付けて下さった鈴木卓爾さん。ポスターデザインの小川梨乃さん。そしてライブゲストとして音楽家の江崎將史さん。

ステージに敷物を敷いたりして、何やらいつもと違う雰囲気です。そして、何と皆さんが、ステージの縁に座っての舞台挨拶がはじまりました。監督が腰が悪いとの事らしいです。
普通の舞台挨拶のようにお話をするだけではなく、監督が話している最中にも、江崎さんは何やら後の方で、鍋状のモノを叩いたり、アルミホイル状のモノをガサガサしております。いわゆるインプロビゼーションという感じでしょうか。さらに急に佐伯さんが歌い出したり、田中さんが、ギターをひいたりと、監督と鈴木さんが普通にお話されている、バックミュージックのような効果になっております。ちょっと、花見に来た他所の宴会を眺めているような、不思議な舞台挨拶です。

実は、映画の方も不思議な映画で、ミュージシャンやアーティストなど、各界の奇才たちが集まって作った自主映画らしいです。特に音の使い方が、他の映画とは違う使われ方をしています。アート系な映画です。黒川監督は、今回初めて同時録音の編集などをして、とても楽しかった。鈴木さんからの「これからはノイズだよ」というアドバイスによって、好きにして良いんだと思った。と、何か開眼したようです。

撮影は多摩や、東小金井などで撮影されたそうで、東小金井のロケ地は、宮崎駿さんのアトリエが近く、宮崎さんが通りがかりに見物していたそうです。

本作はミュージシャンの方が多く出演されています。主演の田中淳一郎さんもミュージシャンで、映画主演は初だそうです。誰かのアドバイスのように、1ヶ月前から、走り込んだとの事。セリフを憶えるより走る方が大事だと思っていたそうです。で、当然のごとく、他の方にダメ出しをされたとの事。

最後に、杉本拓さんが、本作を見て作られた曲を鈴木さんと佐伯さんが歌って、田中さんがギターをひいて、江崎さんがそれに即興で加わって…。と最後まで、みっちり1時間、宴会をみているような不思議な舞台挨拶でした。

『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』水曜日には黒川監督と映画チア部の山下真奈美さんとのトークがありますので、ぜひ不思議体験をして下さい。

(おもしろ)  


2017.6.5
『八重子のハミング』舞台挨拶開催しました。


『八重子のハミング』上映初日6/3(土)、公開を記念して、主演の升毅さん、小森正樹役の辻伊吹さん、佐々部清監督の舞台挨拶を開催しました。

関西ご出身の升毅さん、辻さんにとってもこの舞台挨拶は心待ちにしていたそうです。八重子のツービートwith Tが壇上に上がると大きな拍手が起こりました。

多くの映画やドラマに出演されている升さん。本作は役者人生42年目にして初の映画初主演。苦労も多かったそうで「実在の人物を演じるのも初の経 験。どう演じようか考えたがどれも嘘くさくなる。不安の中での撮影だったがでも13日間の撮影期間の中では不思議とすっと楽に演じることができた。こんな 経験は最初で最期になるんじゃないか」とおっしゃいました。

28年ぶりに映画に出演した八重子役の高橋洋子さんについて監督は「記憶を失っていく役柄だったのですが、どこかに可愛いらしさをずっと持っていて欲しい」とお願いしたそうです。

辻伊吹さんは『種をまく旅人 夢のつぎ木』に続いての佐々部組。撮影をふりかえり「リハーサルはダメ出しをくらったが升さんを含めベテランの方々と実際に現場に入ることでOKをもらえた。僕のような若手が交わる現場でも良い雰囲気で撮影できるのは佐々部組の良いところです。僕もようやく佐々部組の一員になれたのかなと」とおっしゃいました。

本作は監督自らが原作に惚れ込み、資金集めをはじめとしたプロデュースも行っています。「老夫婦が主役なんか誰も見ないよ」という批判的な声があがることもあったそう。しかし実際は東京も含めて大ヒット。監督も「口コミはまだまだあるんだな」、升さまも「"ざまぁみろ"と言ってやりたい」と語り、共感した観客からは拍手が起こりました。本作が愛されている証拠ではないでしょうか。

最後に升さまから「みなさんで我々の背中を押して欲しい。ありがとうございました」という感謝の言葉で締めくくりました。

舞台挨拶後のサイン会でも多くのお客様とお話しされていた皆さん。作り手の想いがたくさん詰まった本作。ぜひ大切な人を想いながらご覧下さい。

『八重子のハミング』は6/16(金)まで上映。

(芋羊甘)  


2017.6.5
「池谷薫ドキュメンタリー塾 #4」開催しました!


「池谷薫ドキュメンタリー塾」4回目の講義を6/1(木)に開催しました。今回は第3回目の講義で鑑賞した映画『蟻の兵隊』についてお話しいただ きました。『蟻の兵隊』は、池谷薫さんにとって2本目の長編映画です。池谷さんはこの映画を"狂ったように撮った"と言います。一体どういうことなので しょうか。

本作の主人公・奥村和一さんのことを池谷さんは戦友と表現します。映画で奥村さんは「中国山西省日本軍残留問題」をめぐって国と(そして自分自身 の記憶と)戦っていますが、池谷さんはそのビジョンを共有しているからだと思います。池谷さんは"共犯関係"という言い方もよくされますが、その言葉が持 つイメージの通り、池谷さんたちは傍観者ではなく、介在する者として現場に立っていたことがお話しを聞いているとよく分かります。
ちなみに今回の作品で池谷さんは度々カメラに見切れますが、それは被写体である奥村さんとの距離の近さを物語っています。

撮影を進める中で、奥村さんは記憶を都合の良いように編集してしまっていることに池谷さんは気がつきます。裸の奥村さんが撮れなくなることに危機 感を持った池谷さんは、もう一度記憶と向き合うよう関与していきます。それは奥村さんを精神的にも肉体的にも追い詰めていく行為とも言えます。それがエス カレートした中国の旅ではスタッフ間で取っ組み合いの喧嘩に発展したそうです。カメラの後ろ側でもドラマは展開されていて、その強烈な思い出が"狂ったよ うに撮った"という言葉に集約されているということです。

今回、面白かったのは演出面への言及です。撮影・編集の仕方や、音楽の使い方、メタファーについて、感情の煽り方等、惜しげもなくご紹介下さいま した。どれをとってもフィクション映画に置き換えて考えられるお話だったので、ドキュメンタリーはフィクションである、とは池谷さんがこのドキュメンタ リー塾の中で繰り返し仰っていることですが、今回の講義で本当の意味で理解できたという感触がありました。

この回の講義で「池谷薫ドキュメンタリー塾」は一つの山場を迎えた印象です。これからの講義では池谷さんの教え子の作品である『ちづる』を鑑賞 し、次は番外編としてNHKスペシャルの『人間は何を食べてきたか』。そして最後はデビュー作にして数々の賞を受賞した映画『延安の娘』と進みます。残念 ながら番外編意外はキャンセル待ちの状態ですが、実は秋から冬にかけて同じカリキュラムでこのドキュメンタリー塾をまた実施する予定です。こちらの情報解 禁は気長にお待ちいただけたらと思います。

(斉藤)   

 

更新情報

2017.9.20
イベントレポート更新しました

2017.9.16
上映作品スケジュール前売り券更新しました

2017.9.12
イベントレポート上映作品トピックス更新しました

2017.9.9
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トピックス更新しました

2017.9.1
前売り券スケジュール上映作品
トピックス更新しました

2017.8.30
イベントレポート更新しました

2017.8.26
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2017.8.26
トピックス更新しました

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