イベントレポート


2017.12.27
『十年』ン・ガーリョン監督とのskypeトーク開催

香港の新鋭映画監督が現在から10年後の未来を描いた5つの短編からなるオムニバス映画『十年』。公開を記念して『地元産の卵』ン・ガーリョン(伍嘉良)監督とのskypeトークを開催しました。

通訳を担当されたソフィ・ウエカワさんのご協力もあり非常に有意義な時間を過ごせました。

まずはじめに様々な障害がある中で、積極的に参加してくれた他の作品の監督に感謝を述べた上で「自分の将来、未来を想像し、“希望”を映画として表現できることができた」とおっしゃいました。

一方で「撮影は非常に困難の連続だった」と語り、「本作は非常に少ない予算のなかで制作しなければならなかったが、口出しをする人が少なく、内容の濃い作品が完成できた」とおっしゃいました。

撮影期間中には雨傘革命も起こり「映画で描こうとしていたことが実際に起こり、映画の中身よりもより激しいデモが繰り広げられたことに驚いた」とおっしゃり、神妙な面持ちで語る表情から、当時の社会情勢がいかに緊迫していたのかが伺えます。

参加者とのQ&Aでは映画の興行や監督の今後の展望についてお聞きできました。 上映後の香港は現在どんな変化があったという問いには映画の中身と現在の香港を照らし合わせ、「文化大革命」に類似した現象が起きていると語り、一方で「広東語ではなく北京語(普通話)を話すことが強制させられている地域があると聞きます」とおっしゃいました。

現在、監督はドキュメンタリー映画を1本制作し、長期作品の脚本を執筆中だそうです。 また本作は日本版、その他タイ版、台湾版の製作が決定しており、日本版は是枝裕和監督が製作総指揮を務めてン・ガーリョン監督は全体のプロデューサーを務めます。

世界へ羽ばたこうとする監督ですが最後にはskype越しに集まった参加者と写真撮影。サービス精神旺盛な点も魅力の一つです。

きっと日本版にも本作同様に社会を投影する演出が映画となって表現されていると思います。テーマである「希望の本質はどこからくるのか?」、これを見ることができるのか 、期待して待ちましょう。

『十年』12/29までの上映。

(芋羊甘)


2017.12.27
『ちづる』上映&トーク開催しました!

ドキュメンタリー映画の知られざる魅力に迫る「池谷薫ドキュメンタリー塾」。その番外編プログラムとして、池谷さんの教え子・赤﨑正和さんが撮った映画『ちづる』の上映とトークを12/23(土)に開催しました。

『ちづる』は、赤﨑さんが知的障害と自閉症を抱える妹・ちづるにカメラを向けた作品です。大学の卒業制作でありながら、池谷さん指導のもと劇場ロードショーも果たし、大ヒットを記録しました。今回は赤﨑さんも東京から駆けつけてくださいました。指導教員であった池谷さんと当時のことを振り返りながら『ちづる』制作の裏側を披露してくださいました。

お話を聞いていると、池谷さんがプロデューサーとして、うまく赤﨑さんを導いていったことがよく分かります。当初、赤﨑さんはちづるさん以外の人物(自分や母親)で物語を紡いでいくことに消極的だったそうです。しかし池谷さんの「これは家族の物語だと思う」との助言により現在の形が出来上がりました。大きな分かれ道だったと思いますが、作品を観るとその判断がまた作品をより良くしたように感じます。ドキュメンタリー塾の過去の回で、池谷さんが完成前の作品を宣伝を担当される方に事前に観てもらい感想を請うというお話があったのですが、それを思い出しました。

『ちづる』がロードショーされたことについては、母親・久美さんがとても驚いていたというエピソードが上がりました。卒業制作と聞いていたので、せいぜい教員と生徒が観るくらいのものとしか思っていなかったそうです。劇場公開すると聞いた時は困惑したようですが、自身が同じように自閉症の子を持つ母親たちの姿を見て勇気付けられた経験を思い出し、踏み切ったとのことでした。ちなみにブログを書いたり、「ちづる- 娘と私の「幸せ」な人生」という本を出版したりするなど、継続的に活動していらっしゃいます。

その他にも微笑ましいエピソードや、あっと驚く話などがあり、あっという間の映画込みの2時間でした。次回の「池谷薫ドキュメンタリー塾」は来年1/11(木) の開催です。映画『ルンタ』を鑑賞します。

(齊藤)


2017.12.16
「池谷薫ドキュメンタリー塾 #5」開催しました!

ドキュメンタリー映画の知られざる魅力に迫る「池谷薫ドキュメンタリー塾」。5回目の講義を12/14(木)に開催しました。通常は池谷監督による解説をメインに行いますが、今回は池谷監督を囲んでのディスカッションということで、参加者にも積極的に発言を行っていただきました。

ディスカッションの前にまず『極北のナヌーク』を鑑賞しました。ロバート・フラハティ監督による『極北のナヌーク』は1922年の作品で、ドキュメンタリー映画の出発点と言われています。カナダ北東部に暮らすイヌイットの生活を追った作品ですが、今観ると「ツッコミどころ」が多く、議論を活発にするためにこの作品が選ばれました。

そのツッコミどころとは、一言でいうと「やらせ」です。ナヌーク一家はイグルーと呼ばれる雪でつくった住居に生活しているのですが、その中で撮影するには光量が足りません。なのでこの作品ではイグルーを真っ二つに切断することで撮影を敢行しています。もはや劇映画におけるセットのような状態ですが、これを良しとするかどうかは意見が分かれるところかもしれません。しかし池谷監督は、そこに「面白く見てもらおう」とするフラハティ監督の思いを見て取り、好意的に解釈していました。記録することが本質のように語られるドキュメンタリー映画ですが、その原始的な作品の中にもすでに観客の目に対する意識がある。その点は池谷監督のドキュメンタリー観と合致したようです。

ディスカッションの時間で特に印象に残ったのは、池谷監督の口から出た「ドキュメンタリーとジャーナリズムの違い」です。曰く、ジャーナリズムは白黒つけたがる傾向にあると言います。反対にドキュメンタリーは、(あくまでも池谷監督の場合ですが)白黒つけない・分かった気させないということを大事にしていると仰っていました。その発言の裏には、池谷監督の人間観もあるようです。人間は複雑怪奇な存在であるというものなのですが、そのような人間の断定しづらさが、結果(私の言い方でいうと)作品にある種の曖昧さを生み、観客の思索を促す、というような話も上がりました。

次回は番外編。12/23(土)に『ちづる』上映と赤﨑正和監督×池谷薫監督の師弟対談も行います。ぜひご参加ください。

(齊藤)


2017.12.12
『いぬむこいり』舞台挨拶開催!

12/9(土)、12/10(日)、4時間にわたる超大作映画『いぬむこいり』の公開を記念して主演の有森也実さん、片嶋一貴監督の舞台挨拶を開催しました。

本作は民間伝承の犬婿伝説がモチーフとなり、有森也実さん演じるダメ教師が自分自身と戦いながらさまざな経験に遭遇、体験する衝撃的な作品です。

お二人とも2012年に公開された『たとえば檸檬』の舞台挨拶以来の元町映画館。司会者との息もピッタリでした。

司会者からの「本作では有森さんがいろんな表情を見せてくれますが、どうして『犬婿伝説』をテーマにした作品を?」という質問に、監督は「1992年に第108回芥川賞受賞した多和田葉子さんの同名作から着想を得ている。初めの構想には有森さん以外にも多くの有名人が決定していましたが権利的な問題により頓挫してしまった。ここまで来るのに色々大変だった」とおっしゃりました。

有森さんは「約1ヶ月にわたる鹿児島県の指宿市での撮影は出口のない撮影のようでした。やってることがそのまま映し出される。『生きる』ってことはこんなに大変なことなんだ」とおっしゃいました。大変な撮影のためにふてくされることもあった一方で「この作品が自分と改めて向き合う時間をくれた。少しずつ愛着が湧いてきた作品になった」とおっしゃいました。

終始、撮影現場での大変さをお聞きしましたが、大変な後には楽しさが待っているものです。12/10(日)は、有森さんのお誕生日!元町映画館ウラにあるCafe Cru.(カフェクリュ)さんにバースデーケーキを作っていただき、サプライズで壇上に運ばれたケーキを前に、監督やお客さまたちと一緒にお祝いをさせていただきました。

「本当に大変だったけど、これからの女優人生の良い節目になった作品」と有森さん。「どんどんボロボロになっていくのにどんどんパワーが満ちていく梓の姿は、年を重ねることと似ている気がします。私と同世代の女性に観てほしい」と話されました。

年末にかけて長尺映画が続きます。有森さんが「何とかして世の中に出してあげたい」とおっしゃる『いぬむこいり』は12/15(金)までの上映。

(芋羊甘)


2017.12.12
サイレント映画『エラ・シンダーズ』上映会開催しました!

12/3(日)、元町映画館2Fのイベントルームにて、サイレント映画『エラ・シンダーズ』上映会を開催しました。活動弁士に大森くみこさん、生演奏に天宮遥さん、そして上映後にはクラシック喜劇研究家のいいをじゅんこさんのトーク。なんて豪華!

『エラ・シンダーズ』は貧しい下働きの女の子がハリウッドの女優になるという、現代(1920年代当時の、です)版シンデレラストーリー。主演はサイレント時代の“ラブコメの女王”、そして1920年代に流行した新しいスタイルの女性“フラッパーガール”の代表的存在でもあるコリーン・ムーア。これがもう…めちゃくちゃ可愛いんです!!ぱっつん前髪のショートボブ、スレンダーなスタイルにミニスカート、そしてくるくる変わる豊かな表情。いっぺんに大ファンになっちゃいました。

顔芸(?)でも大いに笑わせてくれるコリーン・ムーアに、大森さんの活弁がこれ以上ないくらいにピッタリ。可愛らしく、愉快で、けなげで、アドリブギャグもぶっ込みつつの活弁です。また天宮さんのピアノが素晴らしい!ドラマの流れを見事に造り出し、緩急をつけて盛り上げてくれました。

上映後のいいをさんのトークでは、サイレント映画のイロハから楽しみ方、そしてマニアックな情報まで惜しむことなくたっぷりとお話してくれました。『エラ・シンダーズ』は映画女優になるというストーリーなので、手回しカメラや現場の雰囲気を盛り上げるためのバイオリン奏者など、当時の映画制作の現場を垣間みられるのも魅力です。そんなシーンでちょっとだけ登場するサイレント時代のスター、ハリー・ラングドン。服装からしてこの映画の撮影中だと、見事な推理まで披露してくださいました!

上映中は、会場中が大笑いで大盛り上がり!今、映画館でこんな風景はなかなか見られません。映画をみんなで楽しむことの原点を見たような、そんな嬉しい気持ちでいっぱいになりました。私自身あまりなじみのないサイレント映画でしたが、あまりの楽しさにもっと知りたい、もっと観たいと欲望がムクムクと…。今後も、絶対に企画を実現させます!!

今回はサイレント映画がお好きだという方が多かったようですが、未体験の方にももっと楽しみに来てほしいサイレント映画上映会。前述の宣言通り、これからも企画していきますのでぜひ一度体験してみてください。次の機会をどうぞお楽しみに!

(mirai)


2017.12.05
『いのちのはじまり 子育てが未来をつくる』マルシェ&ワークショップ開催!

12/2(土)、世界9カ国の家庭を訪問し、育児の現場に迫ったドキュメンタリー映画『いのちのはじまり 子育てが未来をつくる』の公開を記念し、親子一緒に楽しめるイベントを開催しました。

本作では親子一緒に映画も楽しんでもらうために連日「親子上映」を実施中ということもあり、場内にはたくさんのお子様が親御さんと一緒に映画をご鑑賞。上映中にぐずるお子様も少なくスクリーンを一生懸命眺めている姿が印象的でした。

2階で開催されたマルシェには「神戸北町農園」、「世界のごちそう博物館」、「ごはんや ルリカケス」、「tent-coffee」、「Love's Gllery」以上5つの店舗の皆さまにご協力いただきました。朝からシチューや豚汁、コーヒーの匂いが香っておりたまりませんでした。出店者のお友達も来場し談笑しながらご飯を召し上がっていました。

また同じく開催されたワークショップ「生きる力を育む造形あそび~大きな紙に描いてみよう~」ではお子様が筆を持って自由に描いていきます。ゲスト講師には吉田祐子さん。赤ちゃん先生インストラクターでもある先生のご同席のもと子どもたちは自由に絵を描いていきます。特に目標はないですが、白い紙いっぱいにカラフルな線が描かれていきます。 線の数、子どもの動きを見ていると、それだけで子どもたちの感性が育まれているような気がします。子どもだけでなくマルシェのご飯を食べながらお子様を見ている親御さんの姿も印象的でした。

国は違っても、子育てを含めた教育はどこの国のお子様にとっても非常に重要です。見て学ぶ、体験するといった今回のようなマルシェやワークショップが触れる機会をつくることのできる映画をこれからも上映していきたいと思いました。教育に映画がどれだけ貢献できるか、非常に考えさせられた時間になりました。

『いのちのはじまり 子育てが未来をつくる』12/8(金)まで上映中。

(芋羊甘)

本日の上映作品

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