イベントレポート


2019.2.23
「21世紀の女の子」安川有果監督、金子由里奈監督、加藤綾佳監督による舞台挨拶を開催しました!

山戸結希監督が企画・プロデュースし、新進女性監督15名による8分以内の挑戦的短編作品集「21世紀の女の子」公開を記念して上映初日に3名の監督による舞台挨拶を開催いたしました!

各監督に自身の作品の着想の経緯を伺いました。
映画で扱われる女性像が一面的だ思うことがあり、そういったところから「ミューズ」という作品が生まれたと安川監督から。
次に以前にヌード写真を撮ってもらったという金子監督の実体験から感じたことを映画にしたいと「projection」が制作されたと金子監督。
「ジェンダーの揺らぎ」というテーマを貰い、”揺らぎ”という部分に関しては否定的なものにはしたくなかったそうで、女性が「セックスが好き」と言ったりするのは憚られるけど、「別にそういうことを女性が言ってもいいんじゃないか」と思ったことなどがきっかけだったと「粘膜」の加藤監督からお話いただきました。

映画のパンフレットにも写真があったように俳優のオーディションも参加監督がずらっと並んだなかなか普通ではない状況で行われたという話から「監督同士で使いたい俳優が被ったりしなかったのですか?」と質問が司会から飛ぶと、「今日ここにいる2人で被りました」と安川監督と加藤監督。この日はたっぷりと作品についての裏話をお聞きしましたが、個人的に一番衝撃的な裏話でした。

安川監督は「Dressing up」ぶりに、加藤監督は「いつも月夜に米の飯」ぶりに当館にお越しくださいました。金子監督は本作で初めてお迎えしたのですが、今後もみなさんの活躍が一観客として楽しみな夜となりました。当館では3/24、3/31に安川監督、加藤監督、金子監督の3名の監督の作品を含む全10作品の「21世紀の女の子」関連企画上映を行います!ぜひこちらもチェックしてみてください!

(石田)


2019.2.21
次世代映画ショーケース「枝葉のこと」小笠原博毅さん(神戸大学大学院国際文化学研究科教授)トークを開催いたしました!

次々と生み出されるインディペンデント映画の中から、次世代の映画史を担う存在になるであろう傑作をセレクト・紹介し、関西でインディペンデント映画の価値を創出していくことを目的に企画した『次世代映画ショーケース』のうちの一本として上映された二ノ宮隆太郎監督の「枝葉のこと」は現代の家族像と郊外に生きる若者の日常を、自身の体験をもとにつづった私小説的作品。
この日はその「枝葉のこと」の直前に上映された「プールサイドマン」の内容も含めてのトークとなりました。
小笠原さんから始めに「プールサイドマン」「枝葉のこと」に共通しているのは主人公が男性であること。そしてその男の主人公が失敗する、つまりはどちらも上手く行かない話であるという指摘がありました。
「枝葉のこと」は大人になれないマスキュリニティ(=男性性)を描いたもので、閉塞的な状況を淡々と描くからこそ、主人公はいつ爆発するのかといった印象を受ける。 対して「プールサイドマン」はより実験的に見るものに我慢を強いる展開で、反復の中で何かが壊れていく、見ている人の前にそれが突きつけられる瞬間が来るのかこないのか、という風に2つの作品を見られたという小笠原さん。

中盤以降はお客様に「この作品、面白かったですか?」と観客を巻き込んでいくスタイルで進んだトーク。はっきりとした結末が提示されるような作品ではない分、映画を観た直後のお客様の感想を劇場内で聞けるというのは劇場スタッフとしても興味深いトークとなりました。

「プールサイドマン」が扱うのは”大きな”出来事、「枝葉のこと」が扱うのは身の回りの”小さな”出来事。そしてこの二つの間に大きな隔たりはないと小笠原さん。
大小の違いはあれど日常の繰り返しから現代社会の闇を炙り出したこの2本。2本を通して見られたお客様には映画の見え方が少し違ったかもしれません。

次世代を担う映画監督を見出すべく始まった「次世代映画ショーケース」。
「枝葉のこと」の二ノ宮隆太郎監督、「プールサイドマン」の渡辺紘文監督、共に今後の作品も大変楽しみなお二人の監督です。

(石田)


2019.2.21
「次世代映画ショーケース」『わたしたちの家』トークイベントを開催しました!

インディペンデント映画の同時代性を発見する機会にと企画された次世代ショーケース。そのなかでも異彩を放つ、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了作品として製作された清原惟監督によります劇場デビュー作『わたしたちの家』の上映に際し、大阪芸術大学の教授である瀧本雅志さんにお越しいただきました。

支配人から「この映画の『現代性』についてトークを」という要請があったこともあり、「現代性」「モダン」あるいは「コンテンポラリ」といった言葉をキーとしてお話しされました。特に冒頭の“リアリティをぶっとばした”ダンスシーンを引き合いに出されながら、『わたしたちの家』と「現代建築の問題」について考察されました。

まず現代建築のキーワードのひとつ「リノベーション」は、過去と現在がどう同居しているか、あるいは過去を現在がどう抑制しているかがポイントで、『わたしたちの家』に大きくかかわる概念だそうです。もうひとつ80年代以降の登場した「シェア」について。青木純さんの「スキップフロア」や妹島和世さんの「梅林の家」など、一階と二階、部屋の内と外に“序列”がない建築の登場を引き合いにだされ、この「シェア」という問題が、2つのどちらが先なのかわからない時代が同居している『わたしたちの家』と非常に関連しているとお話しされました。そしてこの二つの“同居感”は「モダンとは違う現代性」であり「コンテンポラリ(con+temporary)」ではないかと考察されました。

更にはひとつの解釈であると前置きされながら、同じく家についての物語を書かれている柴崎友香さんや、柴崎さんの本を原作にした『寝ても覚めても』を監督された当館でも馴染みの深い濱口竜介監督との関係を鑑みながら、清原惟監督自身の中に現代性と非現代性が同居していることに触れ、この同居感も映画本編に通じるというお話しいただきました。

トークの最後に「次世代ショーケース」全体の総括として「『映画に何ができるんだろう』『映画ってなんだろう』という問いに対して、自分のクリエイティビティや感性で一生懸命答えようとした作品が集まっている」というお言葉を頂きました。まさにクリエイティビティと感性の詰まった『わたしたちの家』でしたが、あらゆる角度から読み解いていただき大変勉強になるトークでした。瀧本さんありがとうございました!

(酒見)


2019.2.15
「MOOSIC LAB2018」『日本製造』松本優作監督舞台挨拶&トーク!

総勢11人もの監督&演者の皆様にお越しいただいております『MOOSIC LAB2018』ですが、そのトリを飾りますのは『日本製造』で監督を務められた松本優作さんと、偶然撮影で近くに訪れており急遽駆けつけてくださった『「日本製造』主演の小西貴大さんでした。

映画本編の中でも痛烈に批判してありましたが、ある一つの事件に関して、その本人たちと関係ないところでどんどん話を作りあげ加熱していってしまうという点が、日本のメディア特有の性質で大きな問題であると感じているという松本監督。この問題に関して、ご自身も「映画」というひとつのメディアに関わる側の人間として一度向き合わなければならないという思いから出発されたそうです。

音楽と映像の調和を目指した作品の多い『MOOSIC LAB』の中では珍しく、比較的音楽の目立たない“社会派”の作品と評される『日本製造』。松本監督の中では音楽も映画も同じひとつのメディアであり、そもそもが切り分けては考えていなかったそうで、そのため音楽との調和に関してあまり気にせず作られたそうです。

主演の中西さんは、難しい役どころではなかったかという質問に対し、ご自身の少年時代を思い返すと、本編さながらに、今になってはなぜあんな事でキレていたのだろうかという所でキレていたようなところがあり、あまり難しく考えずに演じられたと語ってくださいました。作中では特徴的な金髪で強面なイメージだった中西さんですが、直前に髪をばっさり切られたこともあり、大変爽やかな好青年な姿が印象的でした。

この日の松本監督&小西さんの登壇で当館での『MOOSIC LAB2018』は終わりますが、どの監督・演者さんも本当にアツく素晴らしい方々ばかりで、日本の映画界の先行きは明るいと確信させていただきました!本当に皆さまありがとうございました!また松本監督は来春以降当館にて上映予定の『Noise』の監督も務められております。そちらもあわせてよろしくお願いいたします!

(酒見)


2019.2.18
「次世代映画ショーケース2019」『鉱 ARAGANE』小田香監督舞台挨拶&トーク開催しました!

京阪神のミニシアター3館による「次世代映画ショーケース2019」、2/18(月)は伝説の映画作家タル・ベーラが設立した映画学校“film.factory”で学んだ小田香監督によるドキュメンタリー『鉱 ARAGANE』を上映しました。

ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボ近郊にあるブレザ炭鉱で、重機のノイズとヘッドライトの光のみで作業をする坑夫たちを描いたドキュメンタリーですが、当初カフカの短篇小説「バケツの騎士」を映画化する予定だったそうです。貧しい主人公が石炭を買いに行くシーンの取材でプレザ炭鉱を訪れ、坑夫の姿、炭鉱の見たことのない空間、時間の流れ方に惹かれ原作ものでなく、この世界を卒業制作にと決めました。

撮影は半年の間に10回ほど炭鉱に降り、体力的にも1回につき4時間ほどで安全確認の人が必要など泥だらけで空気が薄く過酷な撮影だったそうです。撮影用のライトはなく坑夫のヘッドライトしかない状況で仕事の邪魔にならないよう光の動きに反応して撮影されました。

炭鉱の解説、ナレーションはありませんが監督自身が惹かれた炭鉱の空間、坑夫の動きで伝えたいという思いからだそうです。機械の存在も印象的で生きているかのように働き、スチームパンクのようです。他の映画よりもその空間を体験した感覚が強い作品で、劇場にいながら炭鉱にいるかのような錯覚を覚えます。

『鉱 ARAGANE』は元町映画館で3/23(土)~3/29(金)に再度上映があります。映画館の暗闇はまさに炭鉱のようで、映画館で体験するべき映画です。ご来場お待ちしております。

(和田)


2019.2.16
『2019次世代映画ショーケース』『Noise』松本優作監督舞台挨拶&トーク!

今年はじめての『2019次世代映画ショーケース』を開催する京阪神のミニシアター3館は、これまで若手の映画監督を積極的に紹介する一方で、その作品を若い人に映画館で観てもらうべく努めてきました。

映画の作り手も受け手も「次世代」を意識した一つの試みが「次世代映画ショーケース」です。
「次世代」の意味として単に若いということを超えたものを上映ラインナップから感じて頂ければ幸いです。

大阪のシネ・ヌーヴォを皮切りに神戸の元町映画館を経て最後は京都の出町座まで各1週間、計3週間(2/9〜3/1)の企画上映です。

元町映画館は2/16(土)から『Noise』で始まりました。
この作品を監督したのは神戸出身の松本優作さんで上映後に出演の小西貴大さんとご登壇頂きました。舞台挨拶というよりはじっくりお話しいただくトークイベントとなりました。司会は次世代映画ショーケース実行委員長の松村厚さん。

『Noise』は3/1に全国公開を控えており、今回はそれに先駆けてのプレミア上映です(元町映画館でも上映予定)。
本作のモチーフは2008年に起こった秋葉原殺傷事件であり、映画の登場人物たちも秋葉原で社会に追い込まれ自分を殺すか他人を殺すかの選択を迫られています。松本監督はこの状況を映画なら表現できると思ったのが『Noise』製作の始まりでした。その他の参照項として永山則夫や中上健次「19歳の地図」を監督は挙げられました。

役者たちのリアルな演技が話題になった時に、松本監督はいろいろな方法を模索しながらマンネリ化(ドキドキがなくなる)しないよう演出を心がけたと言います。出演の小西さんによれば、台本あるけどアドリブも多く、なかなかカット言ってくれない、いい人なんですけど。撮影の苦労話?ではスポンサーの大塚食品さんが用意してくれた大量の食料を大変助かったけども毎日同じ食事に飽きたとか。

とりわけ印象に残ったのは松本監督がタイトル「Noise」に込めた思いでした。雑音ノイズから一人一人一つ一つ、人の声を聞き取っていくのが大事であり、その人の声がノイズに埋もれている街自体を主人公にしたいという思いでした。

この『Noise』は海外でも評価されており秋葉原を舞台にしながら普遍的な物語が見る人の心を打つのではないでしょうか。
神戸での本公開が待ち遠しいですが現在のことろ元町映画館での公開時期は未定です。
公開時期は元町映画館ホームページで決まり次第お知らせ致します。

(高橋)


2019.2.17
2/17(日)『王国(あるいはその家について)』トークイベント開催しました!

インディペンデント映画の同時代性を発見する機会にと企画された次世代ショーケース。
『螺旋銀河』に続き、本作が長編2作目となる草野なつか監督と丹生谷貴志さん(文芸評論家・神戸市外国語大学教授)によるトークイベントを開催しました。
役者が役を獲得する過程を捉えながら、ストーリーを展開させる本作。愛知文化芸術センターと愛知芸術美術館の助成金により制作されたそうです。まず“身体”というテーマがあり、役者が役を獲得する身体に興味があったとおっしゃる草野監督。また友人の子どもを殺してしまうということと小さな子どものいるお家・閉ざされた特殊な空間という2つの要素が、お話を考える上で興味があったそうです。
2017年には64分版が公開され、今回の次世代ショーケースでは再編集された150分版を上映しました。

タイトルについて、「王国」と「(あるいはその家について)」はどうつながっているのかについて丹生谷さんから問われると「『王国』の部分はこの企画を発想した出発点の一つにもなった写真展の図録から名前を拝借しました。ただ『王国』だけだと、現実的にありきたりな名前だし、拝借してきただけになるので『(あるいはその家について)』の部分は“家”の話でもあるのでつけました」と草野監督。
わりと直感的に作っていくとおっしゃる草野監督は周りの人から指摘されて初めて自分の考えていたことが顕在化するタイプとご自身についておっしゃいます。
今回もトーク中盤から丹生谷さん独自の“王国=ドメイン・家=エコノミー”なのではないかという解釈や女性を主人公にしたことについて質問なども加わり、草野監督ご自身も作品を再解釈されるような濃密なトークとなりました。

こうしたトーク付きの上映回も多く設けられた次世代ショーケース。
ここからインディペンデント映画の可能性が広まっていく幕開けのように感じる一夜でした。

(まりこ)


2019.2.24
『共犯者たち』スペシャルトーク開催しました!

国民の支持を失いかけメディアへの露骨な政治介入を始めた2008年韓国の李明博政権。公営放送局MBCを不当解雇されたチェ・スンホ監督らは独立メディア「ニュース打破」を立ち上げ、言論弾圧の主犯である大統領と、権力に迎合した放送業界内の“共犯者たち”をカメラの前に立たせて、その実態と構造を明らかにしていく…。メディアの存在意義をかけたジャーナリストたちの抵抗を描いたドキュメンタリー『共犯者たち』の公開を記念し、昨年4月に「ソウルの市民民主主義 -日本の政治を変えるために」を刊行された白石孝さんのスペシャルトーク開催しました!

「共犯者たち」アフタートーク~韓国の市民民主主義から理解を深める
白石 孝 2019年2月24日(日) 神戸市

1 なぜ今韓国か
①日本を振り返る座標軸。なぜ日本の政党政治、社会運動、労働運動がこれほど力をなくしたかを韓国の「成功」を通して振り返ることができるのではないか。
②日本的見方からの脱却、発想の転換から始めよう
・1945年8月15日はアジアにとっては「解放」、日本にとっては「敗戦」~これは周知の事実
・ただ戦後74年、朝鮮半島をどう見ていくかで、日本では「無知」「無理解」「誤解」「曲解」「ねつ造」などがあふれている。
・南朝鮮~韓国の戦後史と今を掴むには、南北問題と同時に保守政党と民主・進歩政党の経済・産業政策、1997年以降の雇用・労働政策と社会保障政策をトータルに見ていかないとならない。
・平和だけを「切り取って」朝鮮半島、韓国を見るのでは不十分。
・アジアに対する「上から目線」「日本はいちばん」という意識からの転換を。

2 韓国やソウル市で何が起こっているのか、日本にはほとんど伝えられていない
今の韓国、ソウルを伝えたい。ポイントは、
①欧米反緊縮左派に学び「福祉国家」「社会民主主義政策」を志向していること、その政治「哲学」(理念)が基本にあること。→普遍主義と選別主義、ソウル市政、ムン・ジェイン政権100大国政課題
②代議制の改善と直接民主主義を同時並行的に進めていること。→市民運動による「加入戦術」、予算市民参与制度、マニフェスト実践本部、参与連帯
③平和主義と経済対策の両面からの革新→南北対話、→大財閥・輸出偏重政策から中小・小商工人、分配と再配分として最低賃金、社会福祉強化 →社会的企業、連帯経済
④福祉と地域協働の革新→出かけていく福祉、洞住民センター改善、マウル運動との融合

3 では日韓の分岐はどこから始まったのか~そこから正しい韓国理解に
① 日韓の対比
・1980年代に政治変革、社会運動で分岐した。光州民衆抗争から民主化VS 臨調行革から社会党・総評の解体。映画「タクシー運転手」~「1987」、かつては「ぺパーミント・キャンディー」
・1990年代後半からの新自由主義拡大、労働者・市民の両極化
・金大中・廬武鉉民主派政権 VS 民主党政権
・権力監視、政策立案、地域協働、連帯 VS 政権反対運動、分野別運動
②民主化(1987年)の成果が随所に~1987年民主化には、いろいろな「仕かけ」がされている。
・憲法裁判所、国家人権委員会、中央選挙管理委員会
③朴元淳ソウル市長から文在寅政権の内政課題
・所得不平等が格差の拡大、両極化を生んだ
・産業、経済構造の転換
・正規職化が原則、公共サービス拡大
・市民、生活者としての労働者~最低賃金・生活賃金、残業ゼロ、感情労働
・基礎生活無償主義~住宅、医療、教育、保育、介護


2019.2.23・24
『ルートヴィヒに恋して』舞台挨拶開催!

上映初日から連日満席が続く『ルートヴィヒに恋して』。ベートーベンの有名曲「第九」に魅せられた人々の姿を追った本作の上映を記念して舞台挨拶、トークイベントを開催しました。

2/23(土)、24(日)と実施されたこのイベント、両日とも大入り。熱量の高いイベントとなりました。本作は神戸や姫路で活躍する合唱団に所属する人々が出演しているということもあり、上映前から関係者含めて劇場前は笑顔で溢れていました。超満員を前に、本作の金素栄監督は「本日はご来場ありがとうございました」と一言、そして当館のHPにも明記されている映画監督ケン・ローチの言葉を用い「人間の生活には、パンだけではなく、バラが必要だ」とおっしゃいました。

本作の出演者によるトークイベントでは、撮影当時の思い出話も飛び出しました。撮影当時、高校生だった出演者は当時を振り返り「歌の練習でカメラを向けられると普段通り歌うことができず、撮影後は大泣きしていた。でも今では良い思い出。自分の青春を記録してくれて嬉しい」とおっしゃいました。神戸フロイデ合唱団に所属していた女性は「監督は私たちの日常を上手に撮影してくれた」とおっしゃいました。

「第九」、そして音楽にも縁がなかったシニアの男性は撮影当時、映画だとは気づかなかったようで「自分のような初心者(合唱団入団者)はみんなインタビューを受けるものなのか…」と思っていたそうです。そして「自分が歌うことで天国にいる妻と会話している、何かを突き動かしてくれる衝動、原点が第九にはあった」とおっしゃいました。

初日のトークイベント終盤には「第九」の一部を参加者で熱唱。トーク会場に広がった歌声は映画の迫力そのもの。それぞれの想いが集まった瞬間だったように思えます。

最後に金監督は「私たちたちにとって本作を作ることは忘れられない体験になりました。これからは皆さんがこの作品を育ててください」と締めくくりました。歌う理由は人それぞれ、その想いが曲になり、映画となった『ルートヴィヒに恋して』。まさに映画と曲に魅せられた人々の映像をぜひ劇場でご覧ください。

(芋羊甘)


2019.2.21
「ENGLISH CAFE at 元町映画館レッスン7」開催!!

2/21(木)「映画」×「英語」を組み合わせて英語を楽しく学ぶ「ENGLISH CAFE」。第7弾は子どもも一緒に楽しめるスティーブン・スピルバーグ監督作品『E.T.』をお題映画に開催しました。

講師の田中さんは「本作は今から英語を始めようと思う人にぴったり。単純な英語だけど日常で使えるフレーズがたくさん含まれて居る」とおっしゃいました。またこの講義前にお題映画を何度も観るそうですが、一緒に観ていた息子さんが「人生で一番面白い映画だった」とおっしゃったそうです。1982年公開の作品ですが約40年経っても子どもの心を離さないスピルバーグ作品恐るべしです。

参加者は常連の方に加えて、初参加の方もちらほら。初参加の方にお話を聞くと「参加者の英語の熟練度が気になっていた。実際に参加してみて、内容も雰囲気も知れたので、定期的に参加したい」という声が。参加者唯一の男性は「こちら(元町映画館)で実施していた“ペニス映画闘争史”に参加した。こういうイベントにも参加してみたい」とおっしゃいました。

講義では子どもたちがゲームをしているシーンや「E.T.」がクローゼットに隠れているシーンなどを取り上げました。子どもが主役の映画に難しい会話はあまり出てきません。今回は単語数は少なく、日常で使えるフレーズが多かったように思います。「中学学習英語」が多く、英語が得意でない私でも十分使いこなせるものでした。

次回は4/18(木)に開催予定です。内容だけでなく、どんなお題映画になるのか、お楽しみに!!

(芋羊甘)


2019.2.14
MOOSIC LAB 2018『ドキ死』井上康平監督・Nakanoまるさん、『左様なら』石橋夕帆監督の舞台挨拶を開催しました!

2/14(木)「MOOSIC LAB in KOBE」のFプログラム「ドキ死」+「左様なら」の上映後「ドキ死」から井上康平監督、主演・音楽のNakanoまるさん、「左様なら」から石橋夕帆監督による舞台挨拶を開催いたしました!

両監督曰く、MOOSIC LABの東京上映でもほとんど接点のなかったという2作品ですが今回神戸でカップリング上映されてお互いの作品について聞きたいことを話して頂くクロストークのような形で舞台挨拶はスタート!

まず先の上映だった短編「ドキ死」について「左様なら」の石橋監督から。石橋監督は東京では「ドキ死」を見る機会がなかったそうでお客様とご一緒にご覧になられてからの登壇だったのですが、「この「ドキ死」が作られた経緯は?」という質問が。
「20年間ストーカーし続けた男が捕まる」というニュースを見た井上監督がこれは面白い!と企画書を書き上げ、元々友達だったNakanoまるさんの「ドキ死」という曲と合わさってこの短編映画「ドキ死」が作り上げられていったとのこと。Nakanoまるさんの「ドキ死」という曲は映画を撮るより前に作られた曲で、この曲はNakanoまるさんのご友人が「毎日ドキドキしてたい」とSNSに書いてるのを見て「毎日ドキドキしてたら死んじゃうよ!」と思って作られた曲だそうです。

次に井上監督から長編「左様なら」について、「元々あった漫画を自主制作映画で原作として扱うに当たって、自分の色を出すために心がけたことは?」という質問が石橋監督に飛びました。
「左様なら」の原作は18ページほどの短編で、登場人物も限られた人数しか出てこないそうなのですが、原作者であるごめんさんから自由にやっていいよと言われ「あの時学校に漂っていた空気はなんだろう」と群像劇スタイルで登場人物が増えたそうです。
次に3泊4日の合宿スタイルの撮影について話が及び、学校のように楽しんでみんなで撮ってたという石橋監督の言葉に井上監督が「いいな〜」と羨ましがる一幕も。

Nakanoまるさんはこの日初めて「左様なら」を見たそうで壇上で感想をお聞きしたりと、神戸だけのカップリングならではの舞台挨拶になりました!

「ドキ死」主題歌のNakanoまるさんの「ドキ死」は各種配信サイトで配信中!(私も買いました!)
「左様なら」は大阪アジアン映画祭での上映も決まっております!

井上康平監督、Nakanoまるさん、石橋夕帆監督、今後多方面での活躍を楽しみにしております!

(石田)


2019.2.11
2/11(月)「MOOSIC LAB in KOBE」のCプログラム「暁闇」+「下鴨ボーイズドントクライ」の上映後「下鴨ボーイズドントクライ」から監督の篠田知典監督による舞台挨拶を開催いたしました!

今年の「MOOSIC LAB in KOBE」は作品セレクト、そして作品同士のカップリングも元町映画館スタッフが考えだした渾身の全7プログラム。この日上映の「下鴨ボーイズドントクライ」も東京では違う作品と併映されてたのですが、この日の併映は「暁闇」。篠田監督自信も「暁闇」が大好きだそうで「ずっと暁闇の話をしてたいくらい」と会場の笑いを誘ってからの舞台挨拶のスタートとなりました。
「下鴨ボーイズドントクライ」は長年付き合った彼女に振られてしまったという監督の実体験から生み出された短編映画。篠田監督は現在も京都在住で、本作も多くのシーンが京都で撮影されています。

主演の赤染萌さん、田中玲子さんともにオーディションで選ばれたキャストで、特に田中玲子さんに関しては「浮気しなさそう」という印象で七瀬役に決まったという話には客席からも笑いが漏れていました(確かにしなさそう!)

篠田監督は「MOOSIC LAB 2017」にも「左京区ガールズブラボー」という女の子が主人公の作品で参加しており、その作品を撮り終えた後から「次は男の子の青春の話が撮りたい!」という構想はあったとのこと。そのエピソードから「下鴨ボーイズドントクライ」「左京区ガールズブラボー」という語感の良いタイトルのつけ方について話が及ぶと、「真ん中のワードがボーイズがよくて、ボーイズのあとにはドントクライが来ると思うんですけど…」とおっしゃった篠田監督の独特の感性にまたもや会場からは笑いが。終始和やかな舞台挨拶でした。

「他の作品と比べても一番いいライブシーンを撮りたかった」という篠田監督の言葉通り、今回の「MOOSIC LAB」の作品の中でも本作のバレーボウイズのライブシーンは今回の「MOOSIC LAB」のハイライトのひとつと言ってもいいくらいの臨場感溢れたライブシーンでした。音楽が好きな篠田監督ならでは、そして「MOOSIC LAB」らしい1本なのではないでしょうか。

篠田知典監督の今後のご活躍を楽しみにしています!

(石田)


2019.2.13
2/13(水)『無限ファンデーション』舞台挨拶開催しました!

「MOOSIC LAB 2018 in KOBE」 5日目は『デッドバケーション』と『無限ファンデーション』のEプログラム!
長編作『無限ファンデーション』から大崎章監督にお越しいただき、舞台挨拶を開催しました。
『ソナチネ』では助監督、『リンダ リンダ リンダ』では監督補など、名だたる作品に名を連ね、2015年公開の『お盆の弟』が第37回ヨコハマ映画祭で4冠に輝いたことが記憶に新しい大崎章監督。
今回なぜベテランである大崎監督がMOOSIC LABに挑戦されたのかというと…。
スバリ“新しいことがしてみたかったから”とおっしゃいます。

密かに服飾の道に進みたいと願う孤独な女子高生・未来と幽霊の女の子・小雨、演劇部のナノカらとの交流を描いた本作の見所は、なんと言っても全編が即興芝居で進むところです。
このことは有能なプロデューサー・コシカワさんからの助言があり実現されたそうなのですが、決まったのがクランクインの1ヶ月前ということもあり、現場のスタッフたちを日々納得させつつの撮影だったと当時を振り返られました。

また本作の重要な役どころを演じる西山小雨さんの『未来へ』という「自分の未来・友人の未来を想って歌った」楽曲のMVを撮ろうとしていたところから今回の長編作品へとつながったと、その制作の経緯を話されました。

次の作品の上映時間の関係もあり終了時間が迫る中、まだまだ話したりなさそうな大崎監督。
舞台挨拶終了後のサイン会では、1時間近くサイン会参加者の方々と制作の裏側についてなど尽きぬ話題で盛り上っていたようです。

すでに8月からの単独公開が決まっている本作。当館でも上映を予定しています!
MOOSIC LAB 2018で見逃した方も、ぜひ次の機会はお見逃しなく!!

(まりこ)


2019.2.9
『ノーザン・ソウル』公開記念パーティー in PUB KENNETHを開催しました!

1960年代イギリスで生まれ、若者たちを熱狂させた音楽ムーブメント「ノーザン・ソウル」。その最盛期である70年代を舞台に、ノーザン・ソウルに魅了された青年たちの成長と青春を描いた映画『ノーザン・ソウル』の公開を記念し、2/9(土) 初日。神戸のノーザンソウル文化を長年支え続けている「ヌードレストラン」クルーの北秋さんが店長を務められる「PUB KENNETH」にて公開記念パーティを開催しました!

当日は映画鑑賞後にPUB KENNETHへ移動し、この日のために特別にご用意いただいた特製ドリンクを、ヌードレストランクルーの皆さんによる『ノーザン・ソウル』本編さながらのプレイととともに振舞っていただきました。公開記念パーティーということで、普段のダンスイベントではあまり使用しない曲など交えながらのプレイだったそうです!そして公開前からのヌードレストランの皆さんによる広報協力の甲斐もあって初日から大入りをいただき、中にはこの日のために広島や岡山、あるいは和歌山など遠路はるばる駆けつけてくださったお客様もいました!

最後には、神戸の“アンダーグラウンド”を支えてきた者同士これからも神戸を盛り上げていこう、と北秋さんから暖かいお言葉をいただきました。本当に北秋さんはじめヌードレストランの皆さんありがとうございました!

映画『ノーザン・ソウル』は2/22(金)までです!
そして2/23(土)はヌードレストラン!本当に映画本編さながらの熱狂し踊り狂う、生きたノーザン・ソウル文化を目の当たりにできますよ!

ヌードレストラン ブログ→

(酒見)


2019.2.16
『人情噺の福団治』トークイベント開催

2/16(土)、「芸人は日なたを歩くだけやない、日の当らない道もある」とおっしゃる芸歴50年を誇る落語家、四代目・桂福団治さんの姿を追ったドキュメンタリー映画『人情噺の福団治』。本作の上映を記念してトークイベントを開催しました。

ゲストには伊藤有紀監督と、桂福団治さんのお弟子さん、ご子息でもある桂福若さん。上映後の舞台挨拶、2~3分だったにも関わらず、二人が壇上に上がると話のネタが尽きません。

そして2階のイベント会場へ。先にお伝えします。このトークイベント最高でした。参加した皆さんはラッキーです。それはなぜか。ほとんどピー音を入れないとお伝えできない話ばかりだから。

冒頭は福若さんによる「ペケペンオリンピック」独唱。本作のEDテーマにも使用されている楽曲。放送NGな歌詞ですが、頭の中にメロディでした。

そして話題は本作のテーマとも言える、落語をすることと、福団治さんと福若さんとの関係性について話がおよびました。福若さんは「親父は作中でも言っていたけど、後悔ばかりしていた。近くで見ていた自分としては堂々と“する”ならする。ハッキリ言って欲しかった」とおっしゃいました。伊藤監督は学生時代に落研に所属していたこともあり本作の制作/完成を心待ちにしていたそうです。「色々なことがあったが、今回の上映が今のところ最後の劇場公開。実現できて嬉しい」とおっしゃいました。

約1時間、濃密な時間でした。最後列で観覧していましたが、やはり現役の落語家さんです。話せば話すほど引き込まれます。ここでは書けない際どい話題(ほぼアウト)もやんわり、時に過激にブラックにお話する姿が目に焼き付いています。スタッフ/参加者として楽しませていただきました。「どの組織でも、やっぱりあるでしょ、いろいろと」。これに尽きます。人生いろいろ、島倉千代子さんの歌が聴こえてきそう、充実のトークイベントでした。

(芋羊甘)


2019.2.17
『国家主義の誘惑』白井聡さんトーク開催しました!

フランス在住の渡辺謙一監督によるドキュメンタリー『国家主義の誘惑』公開2日目の2/17(日)上映後、映画にも登場されている政治学者の白井聡さんをお迎えし、「戦前・戦後と反復する日本の『国体』」と題してトークを開催しました。

日本の近代史を紹介しつつ「そして“今”、どうなっているのか」を国内外の論客によるインタビューも交え考察する本作。無謀な侵略戦争を繰り返した天皇制への反省をベースに戦後の国づくりをしたはずの日本が、なぜか戦前回帰しているのです。白井さんが戦前回帰を強く感じられたのは東日本大震災に伴う原発事故だったそうです。政府の対応は先の大戦時と酷似していたと言います。

回帰しているとはいえ「まったく同じに再現されることは歴史上あり得ない」と白井さん。たとえば国家主義=ナショナリズムが形成された19世紀的常識であった《お国のために死ぬ》という思想、これは“今”のナショナリズム現象では実現し得ず、今のナショナリズムは極めて無内容、から騒ぎでありフェイクとしてしか現れていないと続けられました。

天皇制ファシズムがまだ生きているとはいえ、天皇を批判しても「天皇制」の批判でしかなく空回りにしかなりません。今の天皇は、「天皇制の中の天皇」の役割を果たしていないからです。では、何がその役割を担っているのでしょう。それは《アメリカ》だと白井さんは言います。

“ネトウヨ”と呼ばれるインターネット上で右翼的な発言をする人たちの中には「天皇は反日左翼」と主張している人もおり、そこには論理矛盾が生じています。彼らには実際の天皇ではなく“心の中の天皇”がいるのだろうと白井さん。それは何かと言うと、やはり《アメリカ》なのです。今日本が回帰している奇怪なナショナリズムは、アメリカに支えられているに過ぎないと指摘されました。

このあたりのお話は、白井さんの著書「国体論:菊と星条旗」(集英社新書)に詳しく書かれています。ぜひご一読いただきたいです。

最後に、日本の戦後“国体”レジーム崩壊の兆しが見えている今に向け、マルクスの「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」という言葉を紹介されました。喜劇としていかに笑い飛ばせるか否かでその国の底力がわかる―さて、日本はどうなのでしょうか。

(mirai)


2019.2.12
MOOSIC LAB 2018『内回りの二人』柴野太朗監督&『月極オトコトモダチ』穐山茉由監督の舞台挨拶開催しました!

2/12(火)「MOOSIC LAB 2018 in KOBE」のDプログラム上映後、『内回りの二人』から柴野太朗監督、『月極オトコトモダチ』から穐山茉由監督にお越しいただき、舞台挨拶を開催しました。

監督お二人には神戸のこの2本の組み合わせをとても気に入っていただけました。

まず『内回りの二人』の"後ろ向きアイドル"という発想はどこから?という司会者の質問に柴野監督は「グイグイ来ない女性にグッとくる男性は一定数いるので、売れるんじゃないかな」というところからとのことですが、今のところあまり浸透していないそうです…
柴野監督は鉄道マニアで、土地勘がある人にはわかるオープニングのネタなど自分の好きなものを映画で表現されています。
印象に残る振り付けは演劇をされている友達に依頼し、昭和の雰囲気であえてかっこよくしないように気をつけたそうです。

『月極オトコトモダチ』は「男女の友情は成立するのか」がテーマになっています。
ネットニュースの"レンタル友達"を見て面白いなと思ったのがきっかけで、実際に穐山監督はレンタルして取材されたそうです。
登場人物の名前は大事で変わったものにしたいので、主人公の那沙(なさ)という名前は響きも気に入り、宇宙も感じるNASAからです。
画角がヨーロピアン・ビスタという通常のアメリカン・ビスタより少し狭い画角の理由は、カメラマンの「この映画はヨーロピアンな気がする!」の一言と、登場人物の関係性が変化していくので通常より狭い画角にしたとの事です。

柴野監督からは「鉄道マニア的には鶴見線の国道駅で待ち合わせとはどんなデートなんだ」とつっこみがありましたが、鉄道マニアにはつっこまれても大丈夫なようにその後のデート先はすべてその駅から歩いていける場所を設定しているそうです。

『内回りの二人』主題歌、「長所はスーパーネガティブ!」がただいま配信中です!
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柴野太朗監督、穐山茉由監督、お二人の今後のご活躍を楽しみにしています!

(和田)


2019.2.10
MOOSIC LAB 2018『1人のダンス』安楽涼監督&片山享さん舞台挨拶開催しました!

2/10(日)「MOOSIC LAB 2018 in KOBE」のBプログラム(『書くが、まま』+『1人のダンス』)上映後、『1人のダンス』から監督・主演の安楽涼さんと脚本・出演の片山享さんにお越しいただき、舞台挨拶を開催しました。

『1人のダンス』は、やりたくない仕事を無気力にこなす売れない映像作家が、友人のミュージシャンのMVを撮る役から外され抱えていた鬱屈が爆発する…、そんなストーリーです。企画のアイデアはどこからかと聞くと、ほぼ実体験をベースにしていると安楽さん。ひとつのドラマでありつつ、“安楽涼”そのものでもある作品のようです。

登場するミュージシャンのRYUICHI(OOPARTZ)さんは幼なじみかつ親友で、MVをずっと安楽さんが撮っていました。ところがあるとき別の人が撮ることになり、大げんかに。口もきかないまま数ヶ月が過ぎても一向に怒りが収まらず、映画にすることを思いついたのだそうです。

クライマックスの河原のシーンでは、RYUICHIさんにほぼ何も伝えずに撮影したそうです。観ているこちらにもビリビリ伝わる緊迫感、魂から叫び続ける安楽さん、戸惑いながらも圧巻のパフォーマンスを見せるRYUICHIさん。シナリオはあるもののそこに映っているのは“生の感情”でした。

制作は、脚本を手がけた片山さんと二人三脚で行われました。安楽さんから話を聞いて片山さんが書き上げた脚本は、見せてはいなかった安楽さんの作ったプロットと不思議と共通点が多く、2人とも「いける!」と思ったと話します。

劇中での片山さんは、半ば諦めながらも現実に妥協もしきれない安楽さんの役とは対照的な、“社会”を体現するいわゆる嫌な大人の役どころ。ところが舞台挨拶では口ベタな安楽さんをフォローする良い兄貴分という雰囲気。2人の信頼関係が随所で感じられました。

MOOSIC LABでは30分の短編として公開されましたが、最初に完成させた時は60分だったそうです。長編部門への変更は叶わずやむなく30分に削りましたが、元バージョンの60分版が5月に池袋のシネマ・ロサで公開になります。そして当館でも公開することが決まりました!!ドラマ部分の厚みが増しているそうなので、30分版を観た方はぜひこちらも観てほしいです。

安楽さんも片山さんも、俳優としても映画監督としても活動していらっしゃいます。舞台挨拶後の打ち上げでも熱い想いをたくさん語ってくださいました。今後もぜひ注目してほしいお2人です!

(mirai)


2019.2.7
2/7(木) ハル・ハートリー監督〈ロング・アイランド・トリロジー〉公開記念トーク【インデーズの権化 ハル・ハートリー入門】を開催しました!

ハル・ハートリーの初期3部作(『アンビリーバブル・トゥルース』、『トラスト・ミー』、『シンプルメン』)のデジタルレストア版の上映である〈ロング・アイランド・トリロジー〉。公開を記念して2/7(木)の『トラスト・ミー』上映終了後に映画ライターであり本特集の配給も担当された村山さんによるトークイベントを開催しました。

まずどういった経緯で村山さんが本特集の配給に携わることになったのかというと、一昨年頃に村山さんが参加していたクラウドファンディングがことの発端となったようです。サイトからの自動配信と思われるメールに対し、「もしプレスなどがあるのなら日本語に訳してメディアに投げてみることはできますよ」と提案のメールを返したところ、わりと即答気味で「ぜひやってくれ!ハル」(←実際の文面は英語です)と監督から直々に返信がきたのだとおっしゃいます。
元々90年代に日本で上映されていた頃からハル・ハートリーのファンだったとおっしゃる村山さん。「これは惚れたものの弱みですね」と気がつけば無給で(!)ハル・ハートリー監督作品を日本で広めるため、ポッシブルフィルムズの日本代理として配給業務に取り組まれています。(現在発売中の〈ヘンリー・フール・トリロジー〉DVD-BOXにはフォーリンアンバサダーとして村山さんのお名前が記載されています)

村山さんはハル・ハートリー監督がインデーズの権化である理由を“青臭く頑固”“良い意味で妥協ができない人”なところだとおっしゃいます。
作風としては“善き人であれ”という特徴があるということと“ネッド・ライフル”“ヘンリー・フール”を筆頭に、何度も繰り返し同じモチーフを使うということを挙げられました。
“善き人であれ”という作風であるということに関しては、『アンビリーバブル・トゥルース』を除いてほとんどの作品で最後に登場人物たちが追い詰められて終わるのは、ハル・ハートリー監督自身の「社会というものは“自分らしくあるということを抑圧するもの”だから、どうしても自分の描く人物は最後、追い詰められるしかないんだ」という考えが反映されてのことだと語られました。

また当館で12月に上映した『あみこ』の山中瑶子監督も、劇中に『シンプルメン』のオマージュのダンスシーンを取り入れるなど、大のハル・ハートリー監督ファンのお一人。これらの作品に影響を受けた今の19歳の子が、そこからさらに自分で映画を撮り、その作品が世界に受け入れられてというこの流れを“健全な継承”と村山さんはおっしゃいます。

当日、当館にいらしたお客さまに挙手していただくと、今回初めてハル・ハートリー監督作を観たという方が約9割だったものの、最終上映回にしては、全日多くのお客さま(リピート率も高し!)に足を運んでいただいた本特集。
神戸でもハル・ハートリー監督作品の“健全な継承”があったように感じる一週間でした!

(まりこ)


2019.2.9
『ゆかちゃんが愛した時代』舞台挨拶開催

映画×音楽が組み合わさった映画祭「MOOSIC LAB」。今回の上映では候補作品から当館スタッフが厳選してラインナップを決定しました。そんな話題性抜群の映画祭、連日舞台挨拶を開催中ですが、初日となる2/9(土)は伝説の夜となりました。

トップバッターは『ゆかちゃんの愛した時代』から監督/出演の吐山ゆんさん。子ども役時代を演じたひがし沙優さん。プロデューサーの西尾孔志さんの3名。

冒頭、ひがしさんが「今夜はこの作品とまさかのR18ぽい『松永天馬殺人事件』の異色な組み合わせのために、えらい大人たちが動いたそうです」とおっしゃいました。ぐぬぬぬぬ…大人の事情を理解しているとはさすが平成生まれ…。そして「時間があったので神戸町歩きをしていました。松永さんのコスプレも…どうですか、松永さん…?」と困り顔。実は予定では松永さんが会場に入る予定でしたが、別件で不在、それでもひがしさんは堂々としていました。そしてその活躍がその後の奇跡を生むとは…。

吐山さんは本作に対して「平成元年生まれとして、平成が終わるということを悲観的に捉えずに昭和の景色が残っているように平成も普遍的に続く風景もあるのでは…という想いで作品を作りました」とおっしゃいました。それを表現するように本作では平成生まれには分かるオマージュが散りばめられていました。やっぱり平成も捨てたもんじゃないな(個人談)。

最後にひがしさんは次の時代を代表して西尾さんが「どんや役を演じてみたい?」という質問に「アクションやってみたい、体育は得意じゃないけど」とおっしゃり、笑いを誘っていました。
(『松永天馬殺人事件』舞台挨拶に続く…)

まさに日本映画の今があるMOOSIC作品、選りすぐりのラインナップを最後までお見逃しなく!

(芋羊甘)


2019.2.9
『松永天馬殺人事件』4DIEX上映、舞台挨拶を実施しました。

2/9(土)「MOOSIC LAB 2018」神戸編、初日ラストを飾ってくれるのは『松永天馬殺人事件』で監督/主演などを務め、本映画祭では「松永天馬賞」を受賞した松永天馬さん。

本作の4DIEX上映。何を言ってもネタバレになのでこれだけ。「真犯人はあなたなんです!!」「股間!、それは狂気(狂気)なんです!!」以上!!。「こんな映画館体験はじめて」。松永さん「こんなところでごめんね。」「映画っていいもんですよね」という言葉から始まった舞台挨拶。次の目標は「シネコンで同時多発的に実施したい…」。これがどういう意味を持つのかは想像にお任せします。

松永さんは初めて本作を観たお客様に「映画館それぞれにノリがある。皆さんも映画の一部になってほしい。自分の人生を楽しんでほしい。人生はミュージカルなのだから」とおっしゃいました。そして「何か悩んで苦しい時、それは自分に“スポットライト”が当たっている、それを楽しめよ」と。

そして、事件はこの現場で起きました。

終盤、司会から「松永さん…実は一人の女の子の人生を変えてしまったのかもしれないんですよ」と。これには松永さんも驚きの顔を隠せません、「え?どういうこと?」。そして登場したのは先ほど舞台挨拶したばかりのひがし沙優さん。松永さんのために用意したコスプレ写真を本人に見せることができず、リベンジです。作品の枠を超えた競演が実現。これには会場も大盛り上がり。ひがしさんが私のコスプレ何点ですがと聞くと「そんなの100点中の300点だよ」という答えが。そしてひがしさん持参の顔ハメパネルとともに2ショット写真撮影へ。「パパだよ~こういう大人もいるんですよ」という松永さんに対してひがしさんは満天の笑顔。最後に松永パパへ一言「テンション高っ!」というと、パパも負けじと「テンション低っ!」良いコンビ(親子)が生まれた瞬間でした。退場の際には「階段に気をつけて」と優しい言葉をかける松永パパにグッときました。

「松永天馬映画祭2019」に引き続き、奇跡の夜となった「MOOSIC LAB 2018」神戸編1日目。日本映画の“今”は元町映画館にあると感じた一夜でした。

(芋羊甘)


2019.2.9
シネマルネサンスプレゼンツ「松永天馬映画祭2019~神戸編~“映画談義”」開催

2/9(土)、FM MOOVにて放送中のラジオ番組「シネマルネサンス」から生まれたこの企画。番組では映画を切り口に文化を発信していく中で、松永天馬さんにも本番組に出演していただきました。その中で、松永さんの音楽はもちろん、映画や文化に対する考えかたに感銘してこの企画が実現。

司会には松永さんの出演作にエキストラでも出演したというキムラユウナ(シネマルネサンスMC)が務めました。

当日は松永さん主演の短編映画『カメラ×万年筆=夏』の上映に加えて、影響を受けた映画についてお聞きしました。

『カメラ×万年筆=夏』の話題から松永さんの好きな映画になり、「シネマハラスメント」について話が。「映画好きは自分の好きを相手に押し付けてくる。「自分が好きなのに、観ていない人がいると少し馬鹿にしてくる。これをシネハラと言うで皆さん気をつけてください」とおっしゃいました。

そんな松永さん、自身のファンクラブ会報紙に好きな映画を掲載したことがあるそうです。松永天馬さんの大ファンでもあるキムラも勿論観たそうです。松永さんオススメ映画の中でも涙したというのが『トーク・トゥ・ハー』(監督:ペドロ・アルモドバル/2002)。昏睡状態に陥った美女と看護士、女性闘牛士とその恋人たちが複雑に絡み合った名作です。邦画では『メイン・テーマ』(監督:森田芳光/1984)をあげられました。松永さんは「『家族ゲーム』という傑作を作った森田監督の描く、実験映画。薬師丸ひろ子さんがキラッキラしているが、桃井かおりさんの演技も見所」とアツくなりました。「桃井さんだと、もう一つ『幸せの黄色いハンカチ』…ていうのもあって…」とここでタイムアップ。

中盤では『松永天馬殺人事件』のもう一人の主役でもある冨手麻妙さんを「発見」した『アンチポルノ』(監督:園子温/2017)の紹介など、話題は事足りません。この作品を「映画から脱出しなければならない」とおっしゃった松永さん、独特の言い回しに釘付けでした。

4月からはサンテレビ開局50年目にて初制作ドラマ「元町ロックンロールスウィンドル」の出演も決定。松永天馬さんの活躍(映画も)から目が離せません。

(芋羊甘)


2019.2.11
2/11(月・祝)『バスキア、10代最後のとき』関連企画「オリジナル缶バッジをつくろう!ワークショップ」開催!

映画『バスキア、10代最後のとき』上映期間中(2/2〜2/15)、2階ロビーにバスキアをテーマに描かれた絵が展示されています。展示の絵を描かれた廣中薫さん(アーティスト/神戸芸術工科大学ビジュアルデザイン学科准教授)にお越し頂き、バスキア風のラクガキ缶バッジを作るワークショップを開催しました。

缶バッジ作成に必要なものは、元になる素の缶バッジ、色とりどりのペン・インク、絵を描く白い紙、円型にくり抜く機械、缶バッジ表面を覆う透明フィルム、そしてレバーを下げると絵と缶バッジがくっ付くプレス機、です。

さて白紙に何を描こうかという参加者へ廣中先生が、「今日食べた朝食とか身近なものにしましょう、バスキアはバナナとかもそうだけど身近な物をたくさん描いてる」と言って始まりました。参加者の皆さんが何かを描くというか白紙に色を塗って線を引くのを廣中先生が見て励ますという進み行きでした。手本として廣中さんがあっと言う間に缶バッジ1個を完成させ、その色鮮やかさに皆やってみようという愉しい気分になりました。

廣中さんが呟きながら励ますのがとても良かったです。
「それきれい、その色重ねるのもいい、同じ色でもきれい、これもかわいい」
「こういうのは上手に描くとダメ、左手で描くのもいい」
「無になってやるのが一番いい」(この言葉に夢中は無中なのかと思い付く)
「ただの黒、ただの緑なんだけど重ねるときれい」

そして皆さん缶バッジが完成して行きました。紙に描いた色が缶バッジ表面の透明フィルムと合わさることで鮮やかさがとても増すのが不思議でした。光がフィルム表面に集中してるんでしょうか。

廣中先生も仰ってましたが「バスキアと落書き缶バッジは合う、かわいい」
ワークショップのあと参加者の皆さまは映画をご鑑賞されました。

『バスキア、10代最後のとき』は2/15(金)まで連日16:10から上映しております。ご来館をお待ちしております!

(高橋)


2019.2.8
映画ライター・村山章さんによるトーク「ペニス映画闘争史 ~スピルバーグからキュアロンまで 表現の自由と可能性への飽くなき挑戦~」開催しました!

メジャー映画において“男性器”がどのように扱われてきたかを30年来独自に追い続けている映画ライターの村山章さんにお越しいただき、「ペニス映画闘争史 ~スピルバーグからキュアロンまで表現の自由と可能性への飽くなき挑戦~」と題してトークをしていただきました。

まず冒頭に、〈ペニス映画〉とは何か?をお話いただきました。村山さんの定義は、「ペニスが映り込んでいるメジャー映画、またはペニスと向き合う強い意識のある映画」。そしてこの視点から映画史をふり返っていきます。

1991年以前は、【出しちゃダメ】な時代でした。当時の映倫は18禁指定でもボカシ必須。その限界に挑戦した野心的な作品が、ピーター・グリーナウェイ監督の『プロスペローの本』です。シェイクスピアの「テンペスト」を下敷きにした作品で、村山さん曰く「全裸のシルク・ドゥ・ソレイユ」。登場人物みな全裸で、多すぎてボカシきれていないと知った当時高校生の村山さんは衝撃を受けます。

そして1993年、ある天才監督が歴史を変えます。村山さん言うところの〈チ◯コ元年〉到来です。それはスティーブン・スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』。収容所のシーンで身体検査される大勢のユダヤ人の全裸が登場しますが、ボカシは無し。ホロコーストの映画なので、ボカシを入れる(=猥褻だと判断する)ことはふさわしくないと、誰にも文句を言わせずにペニスを堂々とスクリーンに映し出したのです。ハリウッドの革命児はペニスでも革命を起こしていました。

そこからは次々とペニス映画の黒船が来襲、特殊メイクが流行ったりアクション映画に進出したりさまざまな展開を繰り広げ、ターニングポイントとなった2008年を迎えます。それは所謂〈メイプルソープ事件〉。写真家ロバート・メイプルソープの写真集の猥褻の是非を問う裁判で、性器が見えている問題よりも芸術性が認められ、原告が勝利したのです。これにより、映倫もただただ【出しちゃダメ】でいられなくなり、その内容が見直されました。

その後の大きな変化は、2015年のNETFLIXの登場です。映画ともテレビとも違うこの媒体は、現在村山さん曰く「ペニスの無法地帯」。法整備がされる前にぜひご覧くださいとのことです。映画祭で話題になったアルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA』もNETFLIXでボカシ無しで観ることができます。

爆笑に次ぐ爆笑の2時間、たっぷりとお話しいただきました。最後に、参加者のみなさんからもリクエストがあったので、トークで紹介された作品の一覧を載せておきます。その数、実に39本…(よくメモした、私)!ぜひこれからの映画鑑賞の参考にしてください!

『プロスペローの本』1991/『クライング・ゲーム』1992/『バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト』1992/『ピアノ・レッスン』1993/『シンドラーのリスト』1993/『アミスタッド』1997/『ミュンヘン』2005/『ショート・カッツ』1993/『ワイルドシングス』1998/『ブギーナイツ』1997/『メリーに首ったけ』1998/『トランスアメリカ』2005/『ファイト・クラブ』1999/『エニイ・ギブン・サンデー』1999/『ブラウン・バニー』2003/『バッファロー'66』1998/『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』2006/『ブルーノ』2009/『さくらな人たち』2008/『イースタン・プロミス』2007/『恋する女たち』1969/『リストマニア』1975/『ハードキャンディ』2005/『ホステル2』2007/『セックス・アンド・ザ・シティ 劇場版』2008/『タクシデルミア ある剥製師の遺言』2006/『寝取られ男のラブ♂バカンス』2008/『バッド・バイオロジー 狂った性器ども』2008/『思春期まっただ中』2008-2010/『メビウス』2013/『ニンフォマニアック』2013/『リアリティのダンス』2013/『名もなき塀の中の王』2013/『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』2013/『最後の1本 ペニス博物館の珍コレクション』2012/『世界の果てまでヒャッハー!』2015/『俺たちポップスター』2016/『はじまりへの旅』2016/『ROMA/ローマ』2018年/アルフォンソ・キュアロン監督

(mirai)


2019.2.2
『毎日がアルツハイマー~ザ・ファイナル~最期に死ぬとき。』新城拓也さん、青山ゆみこさんトークイベント開催

2/2(土)『毎日がアルツハイマー』シリーズ、通称“毎アル”完結編である本作。上映を記念して新城拓也さん(しんじょう医院院長)、青山ゆみこさん(フリーランスのエディター/ライター)によるトークイベントを開催しました。

新城さんは緩和ケア専門の在宅診療クリニックを開業後、「がんと命の道しるべ」余命宣告の向こう側』(日本評論社)を出版。青山さんは編集業を経て、淀川キリスト教病院ホスピスの「食のケア」を取材した『人生最後のご馳走』を出版するなど、どちらも本作のテーマにぴったりなお方です。お二人の体験談も交えつつ、内容の濃い時間となりました。

「死に方のオプション」から話は始まり、新城さんは「20年近くこの医療の現場で働いているが、痛みを軽減する能力はぐっと減ったが、痛みはなくならない」とおっしゃいました。最も盛り上がった話題が「トイレの話」。「患者さんが辛いとおっしゃるのはトイレ。今までできていたことができない。転倒し、怪我をする。そして漏らしてしまう。患者さんの家に行くとベットからトイレまでの導線が混雑している。車椅子必須なのに廊下が狭い。これでは患者さんも辛い」とおっしゃいました。

青山さんはご自身の家族の体験も交えて「父の入院中、身体のさすり方一つ、いろいろと言われる。『看護師』の方がうまい』など」とおっしゃいました。家族の「死ぬ時」、それをどうしてほしいかを事前にどういう形で残すのが良いかという問いに「冷蔵庫に貼るのが良し」と新城さん。迷惑をかけないために毎日見るものに掲示しておくのが一番だとおっしゃいました。

お客様との交流会では「ガンや老老介護は必ずイバラの道になる。でもその棘を少なく小さいものにしていくのか…それが私たちが患者さんにできること」とおっしゃいました。

イベント参加者もお二人の話を熱心に聞いておられ、誰にでも起こりうる、「近い」問題だと痛感しました。本作や『ぼけますから、よろしくお願いします。』(監督:信友直子)もお客様の関心が高く、当館でも連日満席となるほど盛況でした。自分にはまだ遠い話…と思っている方も一度ご覧ください。「これから」を今、考えましょう。

(芋羊甘)


2019.2.3
『赤い雪 Red Snow』永瀬正敏さん&菜葉菜さん&甲斐さやか監督舞台挨拶開催しました!

30年前の雪の日、一人の少年が忽然と消えた。事件の真相を追う記者が容疑者の娘を見つけ出したことから、自分を責め続ける被害者の兄と容疑者の娘、それぞれの運命の歯車が大きく動き始める…。『赤い雪 Red Snow』公開を記念して、主演の永瀬正敏さん、菜葉菜さん、これが長篇デビュー作となる甲斐さやか監督の舞台挨拶を開催しました!

まず一言ずつ、永瀬正敏さんは以前「戦争と一人の女」(2013年)で来ていただいたので「ただいまです」と、菜葉菜さんには「初めて来たけど観たい作品がいっぱい!」、甲斐監督「こだわりのラインナップに加えていただいて感動」とおっしゃっていただきました!

菜葉菜さんは撮影中、難しい役だったのでひとりぽつんとされている事が多かったのですが、他の演者の方もその孤独感がよくわかるので、いろんな方に声をかけてもらい肩の力を抜いていたそうです。夏川結衣さんに役の相談をしたり、甲斐監督に見守られながら早百合という役を演じ切りました。甲斐監督からは面白いお話ですごくぴったりな役があるとオファーされ、この早百合が私にぴったりなのかと衝撃を受けつつも、大変だけどやりがいがある、こういう役こそやりたいと思い受けたそうです。

永瀬さんは「脚本を読んで凄い脚本だと驚きました。読んでいて途中で中断する脚本もありますが、これは一気に読んでしまった」と。久しぶりに心にズシンとくる脚本に出会ったと思えたそうです。

お客様から背中や表情の見えないショットが多かった理由を聞かれると、「永瀬さんは背中で伝わる部分が多かったので、前に回らず、背中から撮りました」と監督。
菜葉菜さんが演じる早百合はやばい雰囲気の人だと監督に言われ、旅館のシーンではその雰囲気を出すために何度も撮り直したそうです。監督は一見、小柄な可愛い方ですが、現場では一切ブレずに役柄や作品の向かうべき道を示し、演者は監督を信頼し撮影は進んでいきました。

「10年に1本」と言われた脚本に、日本映画界屈指の実力派俳優陣が勢揃いした『赤い雪 Red Snow』。元町映画館では2月15日までの上映です!是非、劇場でご覧ください。

(和田)


2019.2.2
『バスキア、10代最後のとき』廣中薫さんトーク開催しました!

『バスキア、10代最後のとき』公開初日の2/2(土)、バスキアとN.Y.をこよなく愛するアーティストで神戸芸術工科大学ビジュアルデザイン学科准教授の廣中薫さんにお越しいただき、「HOW TO バスキア & ‘80sアート」と題してトークを開催しました。

廣中さんは、多摩美術大学に入りたてのときに行ったアート界隈の人たちが集まるパーティで、映画『ワイルドスタイル』の出演者たちがおり、アーティストなのにジャージを着ていてびっくりしたのだそうです。幼少の頃から油絵を描いて美術に親しんできた廣中さんですが、このとき“ストリートカルチャー”を初体験し、絵を描くことと音楽やダンスをすること、ファッションなどが一緒になっていることに驚くと同時に強く惹かれたと言います。

瞬く間にこのカルチャーにのめり込んだ廣中さんは、80年代なかばからN.Y.に通い始めます。時代の寵児グレン・オブライエンが司会を務める「TVパーティー」を貪るように観て、紹介されるアーティストたちに夢中になりました。そのうちの一人がバスキアだったのです。

映画では、グラフィティからドローイング、コラージュ、洋服のペインティングなどバスキアの挑戦したいろんな表現や作品の変化が、ともに時間を過ごした人たちのある種生々しい言葉からよく見えてきて興味深いと廣中さん。同じ界隈にいてバスキアの創作にも大きな関わりを持っていたのにこの映画には出てこない人がいたり、サラ・ドライバー監督自身の人間関係もそことなく見えているのが面白いと、当時のシーンをよく知る廣中さんだからこその感想も飛び出しました。

廣中さんが感じるバスキアの絵の最大の魅力は「リズム感」。たくさんの線を重ねていますが、いらない線はひとつもないと言います。手先だけでなく身体全体を使ってストロークを決めながら描き、描いては塗りつぶして…を繰り返して層を重ねていきます。よく見ると筆圧を変えたり、様々な画材を使って質感を変えたりしていて、それがリズム感を生み出しているのかもしれません。

実際に作品の画像を見ながら、色を重ねた順やストロークの方向などを解説していただきました。「無になって作品と向き合っていると、描いた手順がだんだん見えてきて、当時本人が描いていた“ライブ感”が蘇って肌で感じられるようになる。それがとても好き」と廣中さん。絵を描く人が絵を見る視点が新鮮で、次に美術館に行ったときには私もチャレンジしてみようと思いました。

『バスキア、10代最後のとき』上映期間中の2/15まで、2Fロビーでは廣中さんのバスキアへオマージュを捧げた作品展示を行っています。こちらもぜひ合わせてお楽しみください!

(mirai)

本日の上映作品

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