イベントレポート


2019.3.30
『第三世代』公開記念、渋谷哲也さんによるトークイベント開催!

ニュー・ジャーマンシネマ“ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー”幻の作品『第三世代』。公開を記念して『13回の新月のある年に』でもゲストとしてお越しいただいた渋谷哲也さん(ドイツ映画研究者で本作の字幕翻訳も担当)のトークイベントを開催しました。

ってまじめな話は置いといて、この映画何回観ても「むむむむ」がつくほど難解(個人談)。しかし今回のトークにで難解の糸がするするとほどけていったような気がします(気がします)。

渋谷さんはトークタイトルに「ファスビンダーと戦後ドイツとテロリズム」とつけました。もうこれだけでワクワクしませんか。私は少なくてもワクワクでした。ここから90分にもわたるトークが繰り広げられるとは誰が想像できたでしょうか。まず渋谷さんのファスビンダー愛が爆発します。「彼の作品はあらゆるバランスを取りながら、本作を完成させた」とおっしゃいました。出演俳優のエディー・コンスタンティーヌ、ハンナ・シグラ、マーギット・カーステンゼンなどの来歴、「ファスビンダーはモテなかったけど、ウド・キアはモテた」といった映画を観たくなるプチ雑学も。最初に惚れた相手を作品の中に入れたがることや実母を風変わりな役者として登場させるなどファスビンターのちょっと変わった「演出癖」も本作には含まれているとのこと。

本作の重要なこととして「世界とは私の表象である」という言葉がでてきます。ドイツの哲学家アルトゥル・ショーペンハウアーの言葉です。私は哲学の専門家じゃないと踏まえて「これを扱ったのは『目的や理念なくして、行動するとほかの勢力に利用される可能性がある』と言いたかったんじゃないか」とおっしゃいました。登場人物の死に方にも言及し「世界には何かしようとする意志の力が必ず存在する」ともおっしゃいました。

最後に「ファスビンダーはドラマとして深刻にならないようにわかりやすいものを作ろうとした。それが如実に現れたのがこの作品かなと」おっしゃいました。

さらに「おまけ!」と題してルカ・グァダニーノ監督版『サスペリア』と本作の類似性も説明されました。約40年の時を超えてオマージュされるファスビンダー監督の作品。「置いてけぼりになったかたもいると思いますが、紐解いていきましょう」。優しい語り口調から映画をより楽しく観ることのできる貴重な時間でした。渋谷さま、1年後劇場でお待ちしております!!

(芋羊甘)


2019.3.30
3/30(土)「放課後ソーダ日和」舞台挨拶を開催しました!

“世界一美味しい飲み物”「クリームソーダ」を求めていくつもの純喫茶を駆け巡る。昨年夏に当館でも上映した「少女邂逅」のスピンオフムービー「放課後ソーダ日和」の上映を記念して枝優花監督、森田想さんによる舞台挨拶を開催いたしました!

「放課後ソーダ日和」はYouTubeでの配信が最初で、その後こういった形で再編集されたものが全国の劇場で上映される形になりました。
まず、YouTubeでの配信前提での映像制作は、劇場の大きなスクリーンで流すことを目的とした映画制作とはどういった違いがあるのかという話に。
YouTubeというのは「パソコンというよりスマホの画面、お家で見るよりは電車に乗りながらだとか”ながら”でも見られる環境」だということを意識されたと枝監督。特にスマホの画面だと、”引き”の絵を撮ると人が豆粒くらいの大きさになってしまうので引きが撮れない、カット割りを細かくしてなるべくセリフで説明していく、といった普段の映画制作とは違い難しいところも多かったとのこと。

主演の森田想さんは当館でも去年上映した「アイスと雨音」での印象が鮮烈に残る中、本作ではサナという役をコミカルに演じられました。サナという役と実際の森田さん自身に通ずるものはあるかという質問には、「高校の友達といるときは構って欲しくてずっとふざけてるので、サナのハイテンションな部分はかなり近い」と森田さん。

舞台挨拶の終盤にはQ&Aの時間も。「枝監督の作品は色使いが印象的、終盤で3人が傘をさしているシーンもカラフルで綺麗だったのですが狙ってるのですか」というお客様からの質問には「狙ってます」と即答された枝監督。本作においてはメインの3人のパーソナルカラーを決めていたそうです。森田想さん演じるサナは黄色、田中芽衣さん演じるモモはピンク、蒼波純さん演じるムウ子は地味な色と本編を見ているだけではなかなか気づかない設定を枝監督が明かしてくれました。他のお客様からの質問の手もあがり、和やかな雰囲気のまま舞台挨拶は終了!

「放課後ソーダ日和」は一日限定の上映となりましたが、また次の作品で枝優花監督、森田想さんにお会いできる日を心待ちにしております!

(石田)


2019.3.23
『山〈モンテ〉』アミール・ナデリ監督舞台挨拶開催しました!

村の眼前にそびえる壮大な山。太陽の光を遮るため作物は育たず、飢えた家族とこの地で生きるためにあらゆる手を尽くしたことで家族をも失い、すべてを苦しめる忌まわしき山と対峙する一人の男を中世後期のイタリアを舞台に描いた『山〈モンテ〉』。公開を記念して、イラン映画の巨匠アミール・ナデリ監督とプロデューサーのエリック・ニアリさんの舞台挨拶を開催しました!

最初に「神戸はとても綺麗な街で、食べ物も美味しく、住んでいる人も素晴らしい。元町映画館には『CUT』が上映された時は来ることができなかったので、神戸で皆さんにお会いできてとても嬉しい」とナデリ監督。

ナデリ監督は『CUT』の続編を企画していましたが日本でイメージに合う山が見つからず、イタリアまで山を求めて行きました。北イタリアの山の3000m登ったところに小さな村があり撮影を開始しました。食料の調達も難しく過酷な撮影だったそうです。山をカットする必要があったのですが許可を得ずにダイナマイトで爆破し、3カ国から訴えられたそうです…その後、ヴェネチア映画祭で賞を取り問題なくなりました。今ではその山のビフォア・アフターの絵葉書が売られているそうです。

お客様からの「今の時代にこんな映画を作る意図は?」という質問にナデリ監督は「時代を問わず、人間には対峙する山がある。不可能なことを可能にする、それを表現したかった」と力強く答えられました。

この作品は黒澤明監督へのオマージュ作品でカメラ、編集、音の使い方は全て黒澤明監督から影響を受けています。好きな黒澤作品は『蜘蛛巣城』と『七人の侍』だそうです。黒澤作品は最後に主人公が何かを成し遂げようとします。『七人の侍』は最後に次世代への希望が見えきますが、『山〈モンテ〉』も希望があります。

最後に、「元町映画館でジャン・ヴィゴ監督の『アタラント号』が上映予定なのは、とても素晴らしいです。映画は大学などではなく、映画館で学ぶものです」と締めくくられました。次回作は西島秀俊さんをまた主演に考えられているそうです!楽しみですね!

『山〈モンテ〉』は当館で4月5日(金)まで上映です。ぜひ、映画館でご覧ください。

(和田)


2019.3.27
『鉱 ARAGANE』小田香監督×山崎紀子さんトーク開催しました!

『鉱 ARAGANE』公開5日目の3/27(水)、小田香監督とシネ・ヌーヴォ支配人の山崎紀子さんにお越しいただき、トークを開催しました。

2015年の山形国際ドキュメンタリー映画祭でスクリーンに近い席で本作を鑑賞し、まるで撮影現場にいるような熱気と息苦しさを感じ、上映後の舞台挨拶も参加することなく劇場を飛び出したと山崎さんは言います。この映画が好きか嫌いか以前に、圧倒的な“体感”に圧されたのだそうです。

「これは絶対に劇場で上映しなければ」と強く感じた山崎さんは、その後東京にも先駆けてシネ・ヌーヴォでの公開を成功させます。お客さまの反応はと言えば、「一体なにを観たんだ」と、ただただ驚愕していたそうです。鳴り響く轟音にトランス状態の方もいたのだとか。

強く惹かれたからこの炭鉱を撮り始めた小田監督ですが、地下での撮影時は「自分もなにを撮っているのかわからなかった」と言います。サポートでついてくれたスタッフが炭鉱の歴史や会社のことを説明してくれてもそういった言葉での情報は自分の中に入って来ず、ただ惹かれるという自分の視点を一心に追い、見て聞いて身体に残ったものを映像にされました。だからこそ観る者にも伝わってくる圧倒的なものがあるのでしょう。

この日はシネ・ヌーヴォ20周年の改修工事を記録した『シネ・ヌーヴォ20thプロジェクト』と、2018年に公開された『さすらいのレコード・コレクター』というドキュメンタリー映画から想を得た『TUNE』という短編2本を併映。いずれも小田監督から提案されての制作だったと聞きびっくり!(うらやましい…←心の声)

2作品ともに出演している山崎さんは、小田さんの制作現場を体験して、「迷いがない」と感じたそうです。山崎さんから見た“映画作家・小田香”とはと聞くと、「突き抜けた感性を持っていて、編集力に秀でたひと。映画に限らず、絵やサウンドなど、常に何かを作り続けているところが面白い」。焼き物にも挑戦したいと小田監督。それもまた楽しみです。

趣味は読書だという小田監督、ずっと小説が好きだったけれど映画をつくるようになって物語からは距離を置き、近ごろは詩やエッセイ、実用書などを読むことが多いそう。嫌なことやしんどいことがあったときに、昔は小説に救いを求めていて、今は映画制作に救いを求めていると話されました。自ら提案してどんどん作品をつくっていることが、小田監督のパワーの源になっているのかもしれません。そんな小田監督の作品に救われるのは、スクリーンの前に座る私であり、あなたであるのかもしれません。

(mirai)


2019.3.24
『鉱 ARAGANE』小田香監督×三浦博之さんトーク開催しました!

『鉱 ARAGANE』公開2日目の3/24(日)、小田香監督と写真家の三浦博之さんをお迎えしてトークイベントを開催しました。

2015年に初めて訪れた山形国際ドキュメンタリー映画祭で『鉱 ARAGANE』を観て、すごく良くて心に残ったと三浦さん。当時の日記には「正直なリアリズムに終始徹底している」と感想を書かれていました。「撮りたいという気持ちで、見えているものを純粋に撮っている」ところに強い感銘を受けたそうです。様々な劇場で何度も鑑賞されていますが、その純粋さの強度は変わらないと話されます。

その純粋さは、一切の説明を省いた作品のつくりにも現れています。それは師であるタル・ベーラ監督に「あなたが本当に撮りたいものはなに?」と常に問われていたことが大きく影響していると小田監督。自分が惹かれているものは何か、どうすれば撮影対象にとってもっとも誠実な映像になるかを考えさせられたそうです。

元町映画館での上映では、毎日小田監督の異なる短編作品を併映しています。この日の併映作品は安藤忠雄氏が設計した六甲山上にある教会の修復工事を記録した『風の教会』で、三浦さんはカメラマンとして参加されていました。三浦さんは2年前まで、毎日新聞の写真部に在籍していた元報道カメラマン。「映像の方は全然」という三浦さんが、小田監督の作品でカメラマンとして参加されるようになったのはなぜだったのでしょう。

東京に先駆けて行われた大阪・九条のシネ・ヌーヴォでの『鉱 ARAGANE』公開時に山崎支配人から“応援団長”に任命されたという三浦さん。2016年の年末に行われたシネ・ヌーヴォの改修工事の記録映像を小田さんが撮ることになり、それに三浦さんも参加されたのが一緒に作った最初でした。その後風の教会を撮る依頼が小田さんに届き、改修工事の期間中に新作の撮影で日本を離れる時期があったため、「誰か信頼できる人にカメラを任せたい」と三浦さんに白羽の矢が立ったそうです。

三浦さんの写真には「色がなく、透明」という印象を抱いていたと小田監督。目の前にあるものに対してジャッジしないその感じが信頼に足ると感じていたそうです。そして三浦さんが撮った映像を見ても、やっぱりその信頼に誤差はなかったと話します。撮影現場では、小田さんから「こうしてほしい」という指示は一切なく、お互い別々に撮っていたそうです。まるで何十年も一緒に仕事をしてきたクルーのような信頼感!

最後に客席からは、映画に限らず作品をつくることへの根源的で純粋な質問が飛び出し、これまた興味深い話が聞けました。小田香監督を、今後もずっと追っていきたいと改めて感じた夜でした。

(mirai)


2019.3.23
『鉱 ARAGANE』小田香監督×江利川憲さんトーク開催しました!

『ニーチェの馬』で知られるハンガリーの“伝説的映画作家”タル・ベーラ監督が新しい才能の育成のために開いた映画学校「film. factory」の第一期生として3年間学んだ大阪出身の映像作家・小田香さん。その課題として制作されたのがボスニアの炭鉱で撮った『鉱 ARAGANE』です。

地下300mの暗闇とそこで働く男たち、轟音を響かせる機械などをじっと見つめた本作は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2015にてアジア千波万波部門特別賞を受賞したほか、各国の国際映画祭に次々出品され、ガス・ヴァン・サントやアピチャッポン・ウィーラセタクンら名だたる映画作家からも絶賛を受けました。

公開初日の3/23(土)上映後、小田香監督とフリー編集者の江利川憲さんをお迎えし、トークをしていただきました。

もともとタル・ベーラ監督から与えられた課題は、フランツ・カフカの短編「バケツの騎士」を映画化することだったと小田さん。その準備で訪れた炭鉱で、その世界に魅せられたのだと話します。撮影は合計10回、トレーニングを受けていない小田さんは地下に滞在できる限界が1回4時間で、そのうち撮影できたのは2時間ほどでした。小田さんのサポートをする炭鉱スタッフが毎回違うルートを選ぶのと、言葉が通じないので、目の前で何が起きているかがわからず、撮影について【予定】を立てることはできなかったそうです。

私たちが体験したこともないような暗闇で、危険を伴う作業をしており、騒音と粉塵は雨のように降り、当然足場も悪い。そんな中、どうやってこんな素晴らしいショットを撮ることができたのかと江利川さんからの問いに、小田さんは「運が良かった」とひとこと。撮影中はモニタを確認することもできず、対象物との距離を測ることもできず、ただ無心に“自分が惹かれるもの”にカメラを向け続けたのだそうです。

1回撮るごとにタル・ベーラ監督と必要なショットのセレクトを行い、1ヶ月ほどの編集を経て完成した本作。師からは「君を誇りに思う」とコメントをもらったと小田さん。最高の賛辞ですね…!

タル・ベーラ監督からは、「映画作りについて教えられるものはないが、君たちを自由にしてあげる。自分の中の声を見つけて、それを自分の映像表現として表出させる、そのための助けは何でもする」と言われたと小田さん。その教えは、小田香作品の中にしっかりと根付いていると感じました。

そしてこの日併映した短編『メキシコリサーチ映像』は、間も無く完成となる小田さんの新作のティーザー映像でした。新作ではメキシコの水中洞窟を撮っているそうで、こちらも楽しみです。

(mirai)


2019.3.24
3/24(日)『モアナ 南海の歓喜』ピアノ生演奏付き上映を開催しました!

『極北のナヌーク』で知られるドキュメンタリー映画の父、ロバート・フラハティが、南太平洋サモア諸島で暮らすルペンガ一家の息子・モアナの結婚を記録した1926年の『モアナ』。当時3歳で両親とともにサモアに滞在したフラハティの娘モニカが、多くの住民たちの協力を得て音声を加えた『モアナ 南海の歓喜 サウンド版』を1980年に完成、さらに今回デジタリリストア版として蘇りました。
公開を記念して、サイレント映画演奏家の鳥飼りょうさんのピアノ生演奏付き上映を開催しました。本作の生演奏付き上映は本邦初!

上映前には鳥飼さんから演奏付き上映について簡単なご説明が。すでにサウンド版を拝見され、かなりリアルなサウンドを再現されていることに驚いたご様子。1895年リュミエール兄弟がパリのグランカフェで初めて映画を上映したときからピアノなどの演奏はついていて、本当に無音で上映ということはほとんどなかったそうです。基本的には決まった演奏はなく即興で、演奏される方や演奏する楽器が変われば印象も変わってしまうのが醍醐味だとおっしゃいます。今回は映画に出てくる地域の音楽・調べをモチーフに演奏してくださるとのこと。
「音が変わっても変わらない映画の本質があると思うので、ぜひサウンド版と見比べてみてください」と締めくくられ、いざ本編の上映へ。
冒頭から鳥飼さんのピアノの調べが映像を彩ります。

とくに結婚式の準備のための踊りのシーンで、サウンド版では踊りながら自然と出てくる歓喜の声や太鼓のリズミカルな音と生演奏のピアノの強弱のついた雄大な旋律は全く違うものなのに、そこから滲み出てくる人々の喜びなど感じるものが同じであることに驚きました。

特別料金一律2000円と通常の鑑賞よりも少し高い料金設定でしたが、それ以上のスペシャル感を味わえる一日限定のピアノ生演奏付き上映でした。

当館2階イベントルームでは鳥飼さんによるサイレント上映を定期的に開催しています。
今回の上映でサイレント上映に魅力を感じられた方は、またの機会にぜひお越しください!

(まりこ)


2019.3.16
3/16(土)「真っ赤な星」井樫彩監督による舞台挨拶を開催しました!

孤独を抱える14歳の少女と、27歳の女性の交わることのない日々を描いた映画「真っ赤な星」の公開を記念して初日に井樫彩監督による舞台挨拶を開催しました!

まず舞台挨拶はメインの登場人物、陽と弥生がなぜ”14歳”と”27歳”なのか?という話からスタート。陽の14歳という設定には、14歳という年齢は思春期を経験したり多感な時期であること27歳の弥生に関しては30歳という人生における多くの選択を迫られる年齢を目前に控えるというところからこの2つの年齢設定ができ、割と早い段階で弥生という役に桜井ユキさんをキャスティングするということが決まったため、実際に桜井さんから話を聞いて作り上げたという部分も多かったそう。

脚本を書く際はどういった風に進めていくのか、話に沿って順番に書いていくのか、それとも違った形で書いているのか、という司会からの質問には「冒頭、クライマックス、ラスト。重要なところを先に書く」と井樫監督。この作品もとても印象的なラストカットからエンドロールになだれ込んでいくわけですが、そこからエンドロールで流れる主題歌のHump Backの「クジラ」について話が及びました。
元々、井樫監督はHump Backの楽曲をよく聞いていたファンだったことから、知り合いを通じて主題歌にさせてほしいと依頼、そこから本作の主題歌にこの「クジラ」が選ばれたという経緯をお話しいただきました。劇中の陽や弥生が自分のパーソナルな部分に近しい存在だと語る井樫監督が「クジラ」を初めて聞いた時に、「自分自身が救われるような気持ちになった」とおっしゃっていました。元々はピアノの曲をエンドロールに当てていたそうですが、この曲が主題歌として映画の最後に流れるのは陽と弥生に対する”救い”にも繋がっているような気がします。

作品のトーンに反して(?)、明るくポップに作品について話される井樫監督の姿にびっくりされたお客様もいらっしゃったかと思いますが、舞台挨拶中に前代未聞(ここでは書きません!笑)のハプニングも起き客席からも笑いが絶えない舞台挨拶となりました。

また次の作品で井樫監督をお迎えできることを心待ちにしております!

(石田)


2019.3.2
『21世紀の女の子』 金子由里奈監督、松本花奈監督、ふくだももこ監督による舞台挨拶を開催しました!

山戸結希監督が企画・プロデュースし、新進女性監督15名による8分以内の挑戦的短編作品集「21世紀の女の子」公開を記念して2度目の舞台挨拶を開催いたしました!今回ご登壇くださったのは金子由里奈監督、松本花奈監督、ふくだももこ監督の3名です。

まずは作品の着想の経緯について各監督にお伺いました。
前回もご登壇くださった金子監督。「projection」は18歳の時にヌード写真の被写体を体験したことで初めて自分を美しいと思えた経験を作品に落とし込んだとおっしゃいます。
映画全体の一貫したテーマとして“ジェンダーの揺らぎ”というものがあり、その感情は誰かのことを好きになるという感情が根底にあるからだと考え、そこを深く掘っていきましたとおっしゃるのは「愛はどこにも消えない」の松本監督。
友だちの何人かセフレ関係で悩んでいる子がいて、なんて名前をつけたらいい関係なのかはわからないけれどもどうにか関係は続けたいという人はきっと沢山いるんだなと思ったというふくだ監督。女の人が報われる作品であればいいなと思って「セフレとセックスレス」を作られたとおっしゃいます。

また15名の監督が携わっている本作。各々がとくに好きな作品について伺いました。
金子監督は首藤監督の「I wannt be your cat」を挙げ、その理由を「私も書けなくなることとかがよくあるので、その書けないってなってる姿を可愛く描いているのがいいな」とおっしゃいます。松本監督は「最後の玉川さんの楽曲との合間ってのエンドロール。最後まで見終わった後のあの充実感のある感じが好きです」とおっしゃいます。
ふくだ監督は見れば見るほどに好きな作品は増えていくものの、やはり一番の衝撃は山戸監督の作品とのこと。それは山戸監督のデビュー作『あの子が海辺で踊ってる』を観た時に監督を辞めようと思ったとおっしゃるほど。「今回の「離れ離れの花々に」もそうなんですけど、あの人が思っていたことはこういうことやったんやなって初めて全部の作品がやってきたことの意味があの作品を観てよくわかった」というと、司会を務めたスタッフの石田も「最後に山戸さん自身の作品を見ることでそれまでの作品たちの“21世紀の女の子”っていうテーマとともにスッと入ってきて、最後のエンドロールの歌でいつも泣いてしまう」と自身の感想をポツリ。

話しながらまるでラップを刻んでいるかのように動きの止まらない金子監督。弱冠21歳にして終始落ち着いた態度の松本監督。柔軟な対応力で常に客席からの笑いが絶えないふくだ監督。
今回は約10分という時間の制約のある中での舞台挨拶。もっともっとお話を聞いていたいとその場にいた皆から惜しまれつつの終了となりました。
金子監督、松本監督、ふくだ監督、神戸までお越しくださり本当にありがとうございました!

これからも21世紀を代表するような映画を撮り続けていくであろう個性豊かな監督たちによって生み出された『21世紀の女の子』。

3/24(日)と3/31(日)には参加監督たちの過去作を集めた上映会「21世紀ガール」を開催します!
『21世紀の女の子』を観て、なにか引っかかるものがあった方には是非ともご参加いただきたい本上映会。
“今”このタイミングで改めて出会っていただきたい作品たちです!!

21世紀ガール詳細→

(まりこ)


2019.3.16
『13回の新月のある年に』渋谷哲也さんトーク開催しました!

『13回の新月のある年に』2週目に入った3/16(土)の上映後、ドイツ映画研究者で本作の字幕翻訳も手がけられた渋谷哲也さんにお越しいただき、【『13回の新月のある年に』をめぐる8つの謎】と題してトークを開催しました。

監督のライナー・ヴェルナー・ファスビンダーはちょうど50年前に長編デビューし、フランスのヌーヴェルヴァーグから約10年遅れてドイツで起こった「ニュー・ジャーマン・シネマ」の旗手として活躍しました。初期はゴダールの影響でミニマルな映画を制作していましたが、ダグラス・サークのメロドラマに傾倒してからは女性が主人公で家族など身近なテーマを扱った作品を制作するようになり、世界的な名声を獲得していきました。

70年代半ばからは仕事的にも個人的にも暗雲が立ちこめ始め、そんな個人的な事情を反映させた私的な映画を作るようになります。本作も、伴侶であったアルミン・マイアーの自死というファスビンダーの苦しみから生まれた作品で、美術や撮影、編集なども本人が手がけた自主制作映画です。

映画の冒頭には「1978年7月24日」、ラストには「1978年8月28日」という日付が映し出されます。これは何を意味するのか?というのがひとつめの謎。映画を観ると数日内の出来事に思え、実際シナリオは5日間の物語として書かれているそうです。ではこの日付はというと、これは撮影開始日と終了日なのだそうです。劇中の物語だけでなく、現実で撮影した時間も同じように重要だということが示されており、フィクションの世界を現実に開こうとするのはファスビンダーの特徴的な表現だと渋谷さんは指摘されました。

映画のフレームの中にもうひとつのフレームを作り、観る者の視線を乱反射させたり、人物の多重性のイメージを想起させる“鏡像”もファスビンダー作品に多く見られる表現です。カット割の節約という意味も持つそうです。これがふたつめの謎でした。

そのほか、不思議な時間経過、主人公であるエルヴィラ(=エルヴィン)の人生の語られ方、エルヴィラの人生に重要な影響を与えたアントン・ザイツという人物、奇妙な脇役たち、レコードの針飛び、エルヴィラの最期などについての謎を解き明かしてゆかれました。何気なく見過ごしているシーンにも多数の比喩が散りばめられていることを知ることができ、作品を観返したくなりました。

エルヴィラがアントンに会いに行く途中で出会う首吊り自殺をしようとする男は、死を選ぶということは生の否定ではなく、“この世界”では生きていたくないという積極的な意志の現れなのだと話します。作品のところどころで、アルミンの死を受け容れ乗り越えようとしているファスビンダーの思いが感じられました。極私的であるからこそ、ファスビンダー自身の姿が色濃く感じられる本作。ファンならずとも必見です!

(mirai)


2019.3.9
3/9(土)鈴木創士さん×瀧本雅志さん「快楽は可能なのか」『アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ』トーク開催!

小説家・映画監督アラン・ロブ=グリエの日本未公開5本を含む6作品の回顧上映の公開を記念して、これまで機会ある度にトークをお願いしてきた御二方をお招きしてトークイベントを開催しました。

フランス文学者でミュージシャンの鈴木創士さん、春らしい服装に赤が今回のトークにピッタリ!?元町映画館の経営スタッフでもあり都市論や表象文化論がご専門の大阪芸術大学教授、瀧本雅志さん。

『快楽の漸進的横滑り』を観終わったばかりのお客様の前で『快楽は可能なのか』と題して話されました。お題は鈴木さんのご提案だったのですが、話は直接にはそれに触れない形で進みました。

印象的だったお話をピックアップして簡単にですが紹介します。

鈴木さん、
「漸進的横滑り」分かりやすく言えば、ちょっとずつの変化くらいの意味、昔フランスで観たけど憶えてない。
小説家アラン・ロブ=グリエに対してアンビバレンツな思いがあって、映画の方が面白い。
ヌーヴォーロマン、として括られる小説は即物的な特徴がある。
クロード・シモン、ナタリー・サロート、ミシェル・ビュトールらが他にいて、彼らにもベケット、ジョイスらのお手本があり、シュールレアリズムの影響もある。
僕はその後に来たソレルスの方に関心があった。
何かの縁か今度ビュトールを訳すことになった。

実はロブ=グリエと喧嘩したことがある(!?)
昔、京都に来た彼に「68年五月革命の後ジャン・シュステルやモーリス・ブランショとキューバのカストロに会いに行ったそうですが何をするつもりで行ったのですか?」と質問したら「君は極左主義者だ」と怒り出した。

そう言えばロブ=グリエ『エデン、その後』(1970年)は五月革命の後のダレた感じが出ている。

イメージを扱う映画は小説を書くのとは全く違う。
演出が全てであって、アルトーも言うように脚本は叩き台でしかない。
他方シェークスピアの演劇はつまらない、本の方が面白いから。

瀧本さん、
『快楽の漸進的横滑り』で出てくる囚人服、この4つのボタンの大きさがかっこいい。
イブ=クラインや当時のフランスの流行と無関係ではないと思う。
青いハイヒール、港に汚水が浮かんでいるイメージ。
それらはキッチュギリギリで時にマネキンを出したりホドロフスキーっぽい。

『囚われの美女』で繰り返し出てくる安っぽいイメージがあって、
女ボスが動いていないバイクに跨ったところを横から上半身だけ撮ったショット。
黒のライダースーツの中にフリル満載の白い服が覗いている。
『あの胸にもういちど』のマリアンヌ・フェイスフルを想起しました。

トークのお題「快楽は可能なのか」へ快楽という言葉で近づいた話では、鈴木さんが、僕は嫌いだけど蓮實さんの映画の快楽/快楽の映画というのは、彼が最近書いたポルノ小説のように横滑りでしょう。
どうですかと瀧本さんへ話をふると、いわゆる表層批評、私は蓮實さんのゼミにいて、、鈴木さん、それはすみませんでした。

ちなみに蓮實さんは今回のロブ=グリエ特集にコメントを寄せておられます。
映画の公式サイトやチラシの裏面にありますのでお読みください。

元町映画館の『アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ』は3/22(金)迄、皆さまのご来場をお待ちしております!

(高橋)


2019.3.6
3/6(水)『想像だけで素晴らしいんだ-GO TO THE FUTURE-』豪華舞台挨拶を開催しました!

上映5日目の本日はゴッチさん(PAN)、ダイスケさん(PAN)、うっちーさん(EGG BRAIN)、やっさん(超能力戦士ドリアン)の4名にお越しいただき舞台挨拶を開催しました!

本作の出演者ではない、うっちーさんとやっさん。「ここって出てる人が立つところじゃないんですか?僕らお客さんでもいけたやん」と言うやっさんに対し「あえて初めて見た人の感想が聞きたいんですよ」とゴッチさん。「やっぱり発言力があるからか」と舞台挨拶初めから関西色強めのやりとりで観客を笑いを誘う登壇者たち。

うっちーさんの感想はというと、冒頭15分くらい知っているバンドの人が出過ぎていて集中できなかったとおっしゃいます。またその5分後には、なんで自分が呼ばれへんかったんやろうと思ったと寂しげにポツリ。ぜひとも次回作には出演したいと意欲的なご様子でした。

映画好きを公言されるやっさんはというと、3部作まで出ている超メジャー洋画作品を引き合いに、このままいけば某テーマパークに“『想像だけで素晴らしいんだ-GO TO THE FUTURE-』ザ・ライド”ができてもおかしくない!それくらいによかったとコメントされました。
また最終的には街ブラロケをするタレントになるのが目標だとおっしゃるやっさん。「その前には一回俳優を経てないと街ブラタレントにはなれないから、出演料が出るなら次回作に出演します!」と語り、「なんの話してんの!?」と周囲からツッコまれつつも「想像だけでも素晴らしい。ズルしてでも叶えたい夢やから!」と本作のテーマと絡め、周囲をアッと言わせました。

全国4箇所(東京・大阪・名古屋・神戸)で公開となった本作。お笑い芸人のダイノジさんが気に入り、大分での上映も決まったそうです! 当館でも上映した『カメラを止めるな!』の上田監督とお友達だとおっしゃるうっちーさんは、今までショートフィルムばかりとっていた監督の長編一作目がヒットしたことにかけて、「本作もぜひ金曜ロードショーで!」とおっしゃいます。

また2を作るならと次回作の構想にまで話は広がり、某テーマパークの子ども向けエリアにアトラクションを作ることを目標に『ギョウザ食べチャイナ』(PANの楽曲)を主題歌にしたコメディー寄りの作品がいいのではと盛り上がりました!

劇場で映画を上映するとPANを知らない方にもこの映画を知ってもらえて嬉しいとダイスケさん。『想像だけで素晴らしいんだ-GO TO THE FUTURE-』の勢いはまだまだ止まらない!そう感じる舞台挨拶でした。

(まりこ)


2019.3.4
『想像だけで素晴らしいんだ -GO TO THE FUTURE-』豪華舞台挨拶開催しました!

3/4(月)の上映後はPANから川さん+よこしんさん、セックスマシーン!!から森田剛史さん+日野亮さん、ガガガSPのコザック前田さんにお越しいただきました!

まずはセクマシ森田さんに映画の感想をお聞きしました。物語の結末にハラハラしながらご覧になられたそうです。
日野さんは上中丈弥さん(THE イナズマ戦隊)の工場員姿がはまり役だったと。知ってるバンドマンが多数出演しているので見つけるのが楽しかったとコメントされました。

コザック前田さんは十三でもご覧になられていたので2回目のご鑑賞でした。前回は知ってる出演者に目がいったりしたが今回はストーリーをより楽しめたそうです。自分がベロベロに酔っ払った高田馬場が出て来たり、ご自身と重なるシーンもあったとか。

もし映画のオファーがあればという質問には
森田さん「出たがりなんでもちろん。学生で出たい」
日野さん「面接官の役がいい」
前田さん「丈弥くんの役をリアルにやりたい。酒とタバコは俺の方が好き」
実は上中丈弥さんはお酒を飲まないので酔っ払った演技がわからなかったそうです。
それを聞いた森田さんが「今まで自分が酔っ払って丈弥くんに絡んでいたのにシラフだったとは!」と驚いていました。
丈弥さんはスケジュールが1日しか取れなかったので朝の6時から深夜の4時ごろまで撮ったそうです!
PANのみなさんも映画の撮影中にMVの撮影やライブなどが詰め込まれ大雪などとても大変でしたが映画をまた観ると感慨深いと川さんがおっしゃっていました。

普段の映画のトークとはまた違う、関西のノリで笑いの絶えないトークでした。
みなさん、ありがとうございました!

(和田)


2019.3.9・10
「the face 品田誠特集」を開催いたしました!

いつか映画の”顔”になるように。毎回若手俳優の1人にスポットを当てこれからの活躍に期待してもらうための企画「the face」の第1弾として品田誠特集が開催。2日間計4プログラムで全回上映後に品田誠さん、そしてゲストの方によるトークを開催いたしました。

3/9の1回目の上映は「なけもしないくせに」。
監督の私的な作品で品田さんはオーディションで役を得られたそうです。のちに品田さんの監督作「不感症になっていくこれからの僕らについて」の主演である池田大さんとはこの作品で出会われたと品田さん。この日は役者としてキャリアをスタートさせた品田さんがどうして監督となり映画を撮るようになったのかそんな話も品田さんからお聞きできました。

2回目の上映は「Dear」「太宰橋」「ただ・いま」の3本。
「ただ・いま」から辻秋之監督、同作出演の橋本致里さん、そして脚本家の小寺和久さんをお迎えしての上映後トークでした。「Dear」は品田さんの監督作、他の2本は品田さんの出演作で、役者として共演された橋本さんから「Dear」について「役者とは違う品田さんの一面も見れた」という感想も。
「ただ・いま」に登場するアベラヒデノブさん演じる道真というキャラクターのモデルは辻監督自身だという話が品田さんから飛び出したトークでした。

日付が変わって3/10の1回目の上映は「モラトリアム」。
品田さんにとっては長編初主演映画で撮影をしたのは2014年とのこと。撮影前から1年間の四季を描くという話は聞かされていたものの、1年の撮影が終わり取りこぼした部分を撮影しているとも1年かかってしまい撮影に2年、そして編集にも2年を費やした作品だったそうです。この日は本作の制作に携わったスタッフの方が映画を見にこられていて、オーディションでの品田さんがすごく印象に残っているとお話くださいました。

2回目の上映は「Lemon & Letter」「桃の缶詰」「不感症になっていくこれからの僕らについて」の3本。
この回は「Lemon & Letter」の梅木桂子監督、「桃の缶詰」の川上信也監督もトークに参戦。
残る一本の「不感症に〜」は品田さんの監督作なので短編3作品の全ての監督が揃い、役者としてだけではなく監督目線でお互いの作品について聞きたいことを聞きあうようなトーク展開となりました。

2日間に渡るイベント上映でしたが、役者であり監督である品田誠さんの”顔”をみなさまに知っていただけるいい機会になったのではないかと思います!「the face」という企画はこれからも続きます!品田誠さんのこれからのご活躍を楽しみにしております!

(石田)


2019.3.2
「想像だけで素晴らしいんだ-GO TO THE FUTURE-」PAN(川さん、ゴッチ、ダイスケ、よこしん)、原田ちあきさんによる舞台挨拶を開催いたしました!

幅広い楽曲と情熱的でユニークな歌詞で人気の関西の4人組ロックバンド「PAN」。結成20周年を記念して制作した楽曲「想像だけで素晴らしいんだ」をモチーフにアベラヒデノブ監督が映画化した「想像だけで素晴らしいんだ-GO TO THE FUTURE-」。公開を記念してPAN(川さん、ゴッチ、ダイスケ、よこしん)そしてイラストレーターで出演もしている原田ちあきさんによる舞台挨拶を開催しました!

舞台挨拶はKiss FMの番組公開収録が入り、普段の舞台挨拶とは違いKiss FM川田さんの進行で進みました。
まず初めにPANの川さんからこの映画が出来上がった経緯についてのお話がありました。
元々PANの結成20周年を受けて制作された楽曲「想像だけで素晴らしいんだ」をミュージックビデオではなく映画にできないかという話になったタイミングでアベラヒデノブ監督と出会い、30分のショートフィルムとして制作するはずが気がつけばこの93分という尺になったそうです。

本作にはPANの盟友とも呼べるたくさんのバンドマンが出演されています。どのように役者が本業ではないバンドマン達がこの映画に出ることになっていったのか、という質問には「こういう役でこんなバンドはいませんか?」というようなアベラ監督からの発注で、PANから仲間のバンドを誘っていった結果このようにたくさんのバンドマンがでる映画になった、とのこと。

原田さんは本業であるイラストレーターの仕事で、出演されてるバンドとも親交があるとのことで司会から「バンドマンが演技をしているのを見てどうでしたか?」と質問が飛ぶと「普段と同じ感じでした」と答えて会場から笑いが起きる場面も。

普段ライブハウスのステージ上で鍛えられたと言っても過言ではないPANの皆さんの爆笑トークで、笑いが絶えない舞台挨拶でした!

(石田)


2019.3.9・10
『津軽のカマリ』上映記念、津軽三味線生演奏、開催!

「津軽の匂い(カマリ)がわき出るような音」。故、初代・高橋竹山さん、二代目・高橋竹山さんの姿を追ったドキュメンタリー『津軽のカマリ』。上映を記念して、元町映画館初「津軽三味線」の生演奏を開催しました。

3/9(土)には津軽三味線奏者の高橋栄水さん、吉川大山さん。これ、奏者の全員に言えることかもしれません。冒頭、話のツカミで会場を自分の世界に一気に引き込みます。「映画の上映に加えて、おまけで我々の演奏がついてきます」と高橋さん。一般的に言われる竹山流「弾き三味線」。披露された3曲、短い中でお二人にしか出せない音が響きます。「曲弾き」を用いた最後の曲では「ぶっつけ本番です」とおっしゃいましたが、見事に繊細な音同士が会場全体を包みこむ…そんな音色でした。

3/10(日)は内弟子・高橋竹童さんがゲストでした。神戸に津軽三味線教室ができたということで生徒の姿も。本作についてお話をきくと「この作品の“カマリ”から、弟子時代に出会った人や場所を思い出し、匂いを感じた」とおっしゃいました。

そして演奏へ。“津軽じょんがら節中節”では竹童さん曰く「師匠の竹山は最も苦労したのがこの中節だったと言いました。戦時中に自分の力で生きていくためにこの曲を練習したそうです。その音色に近づけるように…」。昨日のお二人とはまた違う音。一気に空気が張り詰めます。演奏後は「6時間くらいしましょうか?」という冗談も。驚いたのは、本番の衣装。かつて竹山さんご本人が着用していたものだそう。形見として引き継いだその衣装はピンクの袴とよくお似合いでした。

後半は怒涛の2曲「津軽あいや節」。竹山さんはなぜか半音下げて演奏していたとのこと。竹童さんは「『津軽の厳しい冬』を音で体験してほしい」とおっしゃいました。そして最後には竹山さんがいつも最後に披露していたという即興曲「岩木」。「同じ音は出ない。場所、日によって違う音になる」というこの即興曲。静かに始まったと思いきや後半は怒涛の音力。どんなに手もとが動いても視線、姿勢を変えないその姿勢はまさに圧巻でした。竹童さんはおっしゃいます。「自分はオリジナル曲を作らない。生涯をかけて、師匠の曲を自分のものにしたい。今もこれからも追い求めている」と。

初めて津軽三味線の演奏を生で聴きました。「カマリ」が音とともに漂ってくる贅沢過ぎる時間でした。それを受け継ぐのは演奏者の皆様ですが、それを広めていくのは演奏を見た私たちなのかもしれません。

全身でカマリを感じてください。『津軽のカマリ』3/15(金)までの上映。

高橋竹童 津軽三味線教室 神戸教室→

(芋羊甘)

本日の上映作品

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