イベントレポート


2019.5.26
『カンパイ!日本酒に恋した女たち』公開記念イベントをボンゴレROSSOさんで開催しました!

5/26(日)の午後、映画パーソナリティーの津田なおみさん主催で、日本酒の世界で活躍し新たな境地を切り開いている女性3名を追ったドキュメンタリー映画『カンパイ!日本酒に恋した女たち』の公開記念イベントを元町の貝料理店「ボンゴレROSSO」で開催しました。映画のメインキャストの一人である広島・今田酒造本店代表で杜氏の今田美穂さんにもお越しいただき、今田さんご提案の5種の日本酒と、酒商熊澤のスタッフ・鈴木万希子さんがお酒に合わせて提案されたお料理を楽しみました。昼から美味しいお酒とお料理に舌鼓を打ち、楽しいひと時でした。

(mirai)


2019.5.26
彼がいるから新宿が好きになった。『新宿タイガー』舞台挨拶

5/26(日)東京・新宿をタイガーマスク姿で生活する謎の男の素性を追ったドキュメンタリー『新宿タイガー』。本作の上映を記念して佐藤慶紀監督による舞台挨拶を開催しました。

監督は開口一番「(元町)商店街の幅の広さに圧倒されました。すごいところで上映されているなと」。本作はドキュメンタリー映画ですが過去2作品は劇映画を監督されました。司会から新宿タイガーをテーマにした理由を問われると「タイガーは45年間、新宿を守ってきた。彼に密着取材をしているうちにより好奇心が湧き、今の閉鎖的な時代の中で彼のような生き様を紹介したい」と思ったそうです。タイガーさんは取材なども断ったことがあり、それも監督の好奇心をくすぐったそうです。

撮影する上で大切にしていたことを問われると「タイガーさんは一般人。公人であれば掘り下げることも可能。撮影する側はやはり強い立場にいるので、撮りたい側の主張が通ってしまう。この距離感は撮影中に考えました。やっぱり対人間なんで」とおっしゃいました。

当館のあるスタッフは本作を「タイガーさんみたいな人がいるから新宿という街があり続ける」と解析しました。これを監督に伝えると「私も本作で新宿を好きになった。昔に比べると新宿は人情味がなくなった。でもタイガーさんを通して人同士が互いに相手のことを認めているのが新宿という街じゃないかな」とおっしゃいました。

最後に監督は「タイガーさんはモテ男という演出もあったが、ちょっと盛ってます(笑)。タイガーさんに好きな映画館をお聞きすると『全ての映画館が好きだ』という答えが返ってきました。新宿で、そして映画館でタイガーさんを見かけたら知り合いに教えてほしい。何か良いことが起こると思います」という言葉で締めくくりました。

本作から見えてくるのは新宿タイガーの映画愛と新宿、彼がいるからこそ街が成立しているということ。つまり「街は人だということ」。それを教えてくれた新宿タイガーは本物のヒーローなのかもしれません。

(芋羊甘)


2019.5.11・12・13
『ニジノキセキ』舞台挨拶を開催しました!

第二次世界大戦後の1948年にGHQの指令を受け日本政府が発令した「朝鮮人学校閉鎖令」に対し、全国の在日朝鮮人たちは教育の権利を求めて立ち上がりました。なかでも兵庫県と大阪府では激しい抵抗運動が起こり、「4.24阪神教育闘争」とのちに呼ばれるようになります。在日朝鮮人たちは「4.24(=サイサ)」と呼ぶこの歴史的事件は、現在でも朝鮮学校では必ず歴史で学ぶといいます。

闘争から70年を迎えた昨年企画がスタートし、在日本朝鮮兵庫県青年商工会が制作した映画が『ニジノキセキ』です。全国に先がけ公開となった5/11(土)から3日間、監督や制作委員会のメンバーによる舞台挨拶を行いました。

闘争から70年という節目に民族フォーラムが神戸市内で開催となった昨年、企画をいろいろと考える中で「改めて、サイサって何やったんやろう?」と青商会のメンバーたちは考えました。前述したように、朝鮮学校では必ず“サイサ”の歴史を学びます。でも30~40代が中心となる青商会のメンバーも、歴史の授業で学ぶ概要くらいしか知らないことに気づき、「サイサを経験した人たちはもう80代、今聞いておかないと次の機会を持てないかもしれない」との思いで、誰も経験したことのない映画制作に乗り出しました。

メインの監督を務めた朴英二さんは、1年半ほどの制作期間でご自宅のある横浜から30回以上神戸に通いました。映画は、サイサの歴史を紐解きながら、兵庫県下の朝鮮学校に通う子どもたち、保護者たち、教員たち、地域の人々の姿を映し出します。差別の歴史についての証言や、日本人からの心無い罵声、今も続く差別と闘おうとする保護者たちの姿に思わず涙が溢れる場面もありますが、ラストは予想外に明るく力強く爽やかです。「これまでに闘ってきた人たちの熱い意志を受け継ぎながら、明るい未来を築いていきたい」との朴監督の思いが込められています。

青商会会長であり、本作のプロデューサーを務めた趙寿來さんは、本作の完成披露試写で日本人から聞いた「教育の原点がここにはある」という言葉にとても感銘を受けたそうです。「私たちは学校が大好きで、自分の子どもが通うようになってからも学校に関わり続けているが、“いい学校”なのかは比較対象がなくわからなかった。日本の方からの感想を聞いて、改めて朝鮮学校の魅力に気づくことができた」と話されました。

神戸での先行公開の次は大阪、京都、そして東京と全国に上映が広がっていきます。同時に、海外の映画祭にも出品を予定しているそうです。在日朝鮮人だけでなく、私たち日本人こそ広くこの映画を観てもらえたらと願います。

(mirai)


2019.5.11
『風たちの午後 デジタルリマスター版』矢崎仁司監督舞台挨拶開催しました!

矢崎仁司監督が、日本大学在学中の1980年に仲間と作り上げた長編第一作『風たちの午後』。オリジナルの16mmフィルムの劣化と音楽著作権の問題で、長年矢崎監督自らの手で封印されており、18歳で出会って以来矢崎監督作品をずっと愛し追い続けている私も、25年くらい前に京都か大阪の劇場で一度観たきり、ずっと再会の機会を持てずにいました。

そんな“幻の作品”をスクリーンによみがえらせたのが、今回の「デジタルリマスター版」。映画ファンが待ち望んだ『風たちの午後 デジタルリマスター版』公開初日の5/11(土)、矢崎仁司監督にお越しいただき、舞台挨拶を開催しました。

ゴールデンウィーク中に新作(『さくら』原作:西加奈子/出演:北村匠海、小松菜奈、吉沢亮/2020年初夏公開予定)の撮影を終えたばかりの矢崎監督。「まだ夢を見てうなされる」と現場のハードさをうかがわせつつ、「神戸で元気をもらって帰るつもり」とお客さまにご挨拶されました。

本作の制作当時、映画は「客席に座りさえすれば何もしなくても良い」ものになっており、「1本くらい“観る”ことを強いる作品があっても良いのでは」との思いで音を可能な限り絞って作ったと矢崎監督は話します。「言葉で理解しようとせず、映像で感じてほしい」。その意図を徹底するべく、公開当時は全国の上映劇場のボリュームを下げて回り、海外映画祭でも自らボリューム調整をされました。撮影中は、演技している役者たちの会話がカメラの横にいる矢崎監督に聞こえるとすぐにカットをかけたというエピソードも。

言葉や物語にはあまり興味がない、“光景”が好きだからそれを観てほしいと矢崎監督。聞き取れるか聞き取れないかのひそやかな会話に耳を澄ませてやわらかなモノクロの映像を観るのは、私にははとても「美しい時間」のように感じられました。また、SNS上では「映像が音を奏でているようだった」と素晴らしい感想を書かれている方もいらっしゃいました。

今回、長年の封印を経てデジタルリマスターを作るきっかけとなったのは、配給を手がける「映画24区」代表の三谷さんから、「今の矢崎監督が作る『風たちの午後』が観たい」と言われたことだったそうです。その新作企画につながる滑走路としてリマスター版を作るなら、と矢崎監督も納得してのスタートでした。

幻となっていた作品にスクリーンで会えることもこの上ない喜びですが、さらに新作との出会いも期待できるなんて、お客さまにとって(もちろん、私にとっても!)一番のプレゼントです。現在プロットを進めており、早ければ年内に撮影に入りたいと話してくださいました。次はどんな挑戦を見せてくれるのか、楽しみに待ちたいと思います。

(mirai)


2019.5.6
スリッツにもなりたかった…『ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード』トークイベント開催。

5/6(月・祝)世界で最初に生まれた女性メンバーだけのパンクバンド「ザ・スリッツ」。支配人も大好きなこのバンド、結成後、あらゆる音楽シーンに影響を与え、メンバーの個性もあり、多くのファンを持ちます。『ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード』はそんな伝説のバンドの貴重なドキュメンタリー。上映を記念し、音楽映画には欠かせない名コンビ、安田謙一さん(ロック漫筆家)、キングジョーさん(DJ/画家)によるトークイベントを開催しました。

「はじめにリズムありき」と題されたこのイベント。野球選手のペタジーニや「ロリ撲滅」などの言葉も飛び交います。それがこのお二人の強み。その模様をお伝えします。

開口一番「スリッツは音楽シーンに影響を与えすぎている。作中のシーンで驚いた箇所などを紹介されました。本作は1970年中頃のバンド結成から2010年、カリスマボーカルのアリ・アップがガンで他界するまで記録したドキュメンタリーです。

『70年~80年代のパンクは「排他的で男尊女卑」』などメッセージが強かった」と独自に解釈。「それは無知だっただけ。モノを知らなかったから音楽は生まれた」とおっしゃいました。

中盤は名盤「大地の音」をお客様と一緒に視聴。「ダイッチノオットガスッゥル~」。聴きながら、安田さんは「(ボーカル)のアリ・アップが良いんだよね」とおっしゃり、ジョーさんも同意。

後半は全身に泥をかぶったほぼ裸のメンバーが表紙のアルバム「Cut」を例にあげ、出た結論は「何を言っても無駄、これが重要」とおっしゃいました。そして安田さんはアリ・アップのカリスマ性に憧れ、「ブルース・リー、戸川純、シンディー・ローパー、そしてスリッツにもなりたかった」とスターの名前をずらり。何をやって敵わないと思わせる魅力。そして「スリッツ、スリッツ、ワレメちゃん」と名前を連呼。褒めちぎっていました。

「In the beginning there was a rhythm!」=はじめにリズムありき。大好きだから話せる内容。スリッツの恋愛感から、ペタジーニ、高橋ジョージの連続は良い言葉のリズムでした。もう一度聴き直します!

(芋羊甘)


2019.5.4,5
5/4(土)・5/5(日)の2日間 IAPK 2019 #1を開催しました!

IAPK (Interdisciplinary Art Project Kobe) 2019 #1を5/4(土)・5/5(日)の2日間に渡り、当館2階イベントルームにて開催しました。
Interdisciplinary Art という言葉をご存知でしょうか?聞きなれない言葉ですが、ジャンルの枠をハミ出したジャンル分けできない多元芸術のことを指すそうです。
実験的で先鋭的なアートを紹介してきたインターディシプリナリー・アート・フェスティバル・トウキョウの代表である韓成南さんにお越しいただき、神戸でも新しいプロジェクトを発足させることとなりました。その序章とも言える今回。

当日はまず短編の映像作品を5つ観賞。
実際に東京で行われたパフォーマンスを映像に収めたものや、そもそも映像作品として作られたものなど多様なプログラム編成で、受ける印象も様々でした。

韓さんによる作品解説があり、その後、実際に韓さんのパフォーマンスを体感しました。
韓さんのパフォーマンスは、指定のアプリを入れた携帯を写真にかざすと映像が映るARパフォーマンスという新しい映像の鑑賞スタイルです。2018年11月に東京・善福寺公園と西荻窪北側エリアの屋外で展示したAR作品パフォーマンスを、元町映画館用に再構成してくださいました。

気がつけば自分もただの受け身の観客ではなく巻き込まれているという、なんとも不思議な体験でした。
とくに印象的だったのは、同じ写真に時間差で携帯をかざした方が近くにいらっしゃり、しばらく続く無音の後にポツリポツリと発せられるセリフが時間差で自分の耳に届いたことでした。同じ映像を見ているはずなのに、体験としてはズレがあり、完全に同じものを見ているというわけではないという経験も含め、アートの新たな可能性を感じました。
また写真だけでなく手紙のようなものにかざしても映像が浮き上がるなど、シーンの活性化、アートの新たな可能性の広がりを大いに感じるイベントでした。

今回体験したような IAPKのARパフォーマンスのワークショップを今年9月と来年1月に開催する予定です。
一観客としてではなく自分自身で作品を作りだせたなら、アートの見え方がまた大きく変わるのではないでしょうか?
ぜひ奮って、ご参加ください!

韓成南さんHP→

(まりこ)


2019.5.3
「出張!サメ映画学会 in KOBE」開催!

ハイテンション”サメ”映画祭最終日となったこの日、映画の上映前に2Fイベントルームにてこんなトークイベントが開催されておりました。

前日の「シャークネード カテゴリー2」のトークにもご登壇いただいたサメ映画ルーキーさんが発起人、中野ダンキチさんが主催で東京にて開催されている「サメ映画学会」。このイベントの初の出張版として今回元町映画館での開催となりました。

あくまで”学会”というスタイルのトークイベント、中野ダンキチさんから「サメ映画学会とは?」という説明、そして「アメリカの映画制作会社『アサイラム』とはどんなところ?」という話からトークがスタート!
いわゆるB級映画を多数手がける「アサイラム」。サメ映画だけではなくアサイラムの作った他の映画も見てみたい!と思ったお客様も多かったのでは(私もその1人です)。

その後は各々が研究発表を行うという”学会”スタイルでイベントは進みました。
このハイテンション”サメ”映画祭の企画担当であるわたくし石田も前に立って発表を行わせていただきました。
中野さんからは「鳴きザメ」の研究。サメ映画における”鳴く”サメの紹介。あんなにもサメ映画の中ではサメが鳴いていたのか、と驚くばかりでなく鳴き方にもかなりの数のバリエーションがあり、サメ映画の深みを知りました。
サメ映画ルーキーさんからは「今後日本に上陸予定の新作サメ映画」の紹介。サメ映画のあらすじがスクリーンに映し出されるたび、爆笑が巻き起こるのはサメ映画ならではといったところでしょうか。

イベント中、ほとんど笑いが絶えることはなくサメ映画は見るもの全てを幸せにするのでは?と錯覚してしまうような2時間でした。
「ジョーズ」、「ディープブルー」だけではない奥深いサメ映画の世界を垣間見れた1日でした!

サメ映画学会は東京では定期的に開催されております!気になった方は東京へ出向いていただくか、当館での第二回「出張!サメ映画学会 in KOBE」の開催にご期待ください!とか言いながら私はまたやりたいと思ってますが!!!!!!!

(石田)


2019.5.2
『ハイテンション”サメ”映画祭』「シャークネード カテゴリー2」トークイベント開催!

毎年恒例となりましたハイテンション映画祭、今年はなんと”サメ映画”にスポットを当てた特集上映を開催し、中野ダンキチさん、サメ映画ルーキーさんのトークイベントを行いました。

この日の上映作品は「シャークネード カテゴリー2」。知る人ぞ知るサメが台風に乗って空から飛んでくる「シャークネード」シリーズの2作目。なぜ2作目?と思われた方もいらっしゃったと思いますが、この2作目がファンの間でもシリーズ最高傑作と呼び声も高いのです。本作は本国アメリカでもテレビ映画として制作され、劇場公開もされていない作品。それを今回元町映画館は劇場のスクリーンに流しました(気が狂ってる)

上映は中野ダンキチさん、サメ映画ルーキーさんの前説からスタート。中野ダンキチさんの「『シャークネード』を今までご覧になったことがない方」という問いかけに、劇場のお客様のほとんどが手を挙げられました。次に簡単にお二人から「シャークネード」シリーズの楽しみ方のレクチャー。ニューヨークが未曾有のサメ台風に見舞われるという本作に対して、サメ映画ルーキーさんからは「自由の女神の使い方がすごい」という話も(ご覧になった方は納得していただけると思います)

本編の上映後には再び中野ダンキチさん、サメ映画ルーキーさんにご登壇いただき、トークのスタート!本作そして今回のハイテンション映画祭でも上映した「シックスヘッド・ジョーズ」などを手がけるアメリカの映画制作会社「アサイラム」を2度訪問した中野ダンキチさんからコアな「シャークネード」の裏話が飛び出しました。あのシーンとあのシーンのロケ地は実はこんな距離感!、あのシーンで出てくるあの人は実は監督!などなど聞かなきゃわからない小ネタの応酬!
主演アイアン・ジーリングの来日時のインタビュー映像(シリーズ5作目ではなんと日本ロケを敢行!その時のインタビューとのこと)もご提供いただき本編も上映後トークも振り落とされそうな勢いのままこの日は終了!

元町映画館”サメ映画”元年として最高の滑り出しを切ったと感じさせる熱い夜でした!

(石田)


2019.5.1
イスラーム映画祭4『判決、ふたつの希望』菅瀬晶子さんトーク開催しました!

元号が平成から令和に変わった5/1(水)、「イスラーム映画祭4」にて『判決、ふたつの希望』上映後、国立民族学博物館 超域フィールド科学研究部 准教授の菅瀬晶子さんをお迎えし「映画から読み解く、レバノン内戦の傷痕と中東の現在」と題してトークセッションを開催しました。

本作は、ジアド・ドゥエイリ監督が自身の体験をもとに、キリスト教徒のレバノン人男性とムスリムであるパレスチナ難民の男性の間で起きた口論が、やがて国を揺るがす法廷争いへと発展してゆく様を描いたドラマです。レバノン映画では初めて米アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、ベネツィア国際映画祭では最優秀男優賞を受賞するなど国際的に高い評価を得、日本でも劇場公開されました。

菅瀬さんには、レバノンはどういう国なのか、そして彼らの諍いはなぜ起きたのか、それぞれのキャラクターの背景と思いをより深く理解する助けとなるお話をしていただきました。

レバノン共和国は、中東にあって例外的にキリスト教徒の多い国です。ひとくちにキリスト教と言っても、マロン派を中心にメルキト派や東方正教、ローマ・カトリック、プロテスタント、アルメニア正教と多岐に渡り、イスラーム教徒もスンナ派とシーア派がおり、シーア派から派生したドルーズという特殊な宗教をもつ人たちもいます。

独自の宗教的多様性の象徴として面白いのは、聖者崇敬の共有です。特に聖者エル・ホドル(ハディル)はさかんに崇敬されており、ラファエロが描いた聖ジョージ(ゲオルギオス)を模したホドル画を祀っているモスクがあったり、カトリックが聖者を祀っている場所にムスリムも訪れたりしているそうです。

本作のふたりの争いに深く関わる歴史的出来事は、今も傷痕が生々しく残るレバノン内戦です。権力を保持したいキリスト教マロン派と、ヨルダンから大量に流入したパレスチナ難民が加わり政治力を強化したいムスリムとの対立が激化しました。

パレスチナ人によるレバノン人虐殺の被害者であるトニーと、どこへ行っても正当に扱われないパレスチナ難民のヤーセル。父系社会であり男性優位主義、“男の体面”を何より大切にするレバンにおいて、劇中で使われた互いへの侮辱の言葉はどういう意味を持つのかを詳細に解説していただき、彼らの諍いが大ごとに発展してしまったことに納得できました。

“異種共存”は、これからの世界の大きなテーマであり課題です。「自分にとって譲れないことは何だろう」と考えたのは、もしかしたらこれまでの人生で初めてだったかもしれません。〈世界を知る〉ことの重要性を改めて感じました。

(mirai)

本日の上映作品

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